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2006年4月
万物の回復

万物の回復

ジェームズ・E・ファウスト
第二副管長

わたしたちは,末日聖徒イエス・キリスト教会が,イエス・キリストによって組織された本来の教会が回復されたものであると信じています。

ジェームズ・E・ファウスト わたしたちは末日聖徒イエス・キリスト教会の会員として,現在と過去を問わず,この地上に生を受けた人々を気にかけています。1978年に大管長会が出したこの声明にあるとおりです。「わたしたちのメッセージは……宗教的信条や人種,国籍にかかわらず,すべての男女の永遠の福利に特別な愛と関心を寄せるというものです。なぜなら,わたしたちは同じ永遠の御父の息子,娘であって,真の兄弟姉妹であることを知っているからです。」1 また,ダリン・H・オークス長老は数年前にこのように述べました。

「末日聖徒イエス・キリスト教会の教えには,ほかのキリスト教会の教えと共通したものが数多くあります。しかし違いもあります。わたしたちがほかのクリスチャンに向けて宣教師を派遣したり,教会堂以外に神殿を建てたりする理由は,その違いの中にあります。またわたしたちの信仰が,人生の数々の問題や死に立ち向かう力や大きな喜びをもたらしてくれる理由も,この違いの中にあります。」2

今日(きょう)わたしが (あかし)したいのは,回復された完全なイエス・キリストの福音が,他の教派の信条に付け加えられていることです。それはキリスト教であっても,それ以外の宗教であっても変わりありません。この完全な福音は,もともとは救い主が地上で務めを果たされたときに確立されたものです。しかしその後,背教が起こりました。

初期の使徒の何人かは,主イエス・キリストの再臨に先立って背教があることを知っていました。パウロは,それについてテサロニケ人にこう伝えました。「だれがどんな事をしても,それにだまされてはならない。まず背教のことが (おこ)……るにちがいない。3

この背教の結果,神権の (かぎ)が失われ,救い主が組織された教会の貴い教えの一部が変えられてしまいました。変えられた教えには次のものがあります。水に沈めるバプテスマ,4  按手(あんしゅ)により聖霊を授けられること,5 御三方がそれぞれ独立した御方であるという神会の性質,6「正しい者も正しくない者も」皆キリストの (あがな)いによって復活すること,7 天が開かれ,継続して与えられる啓示,8 生者と死者のための神殿の業。9

背教に続く時期は,暗黒時代として知られています。使徒ペテロは背教をこのように予見して,宣言しています。「このイエスは,神が聖なる預言者たちの口をとおして,昔から預言しておられた万物更新の時まで,天にとどめておかれねばならなかった。」 10 更新は,これらの貴いものが失われて初めて必要になります。

その後の数世紀の間に,イエス・キリストの組織された教会が少しずつ本質から離れていることに気づく宗教家が何人もいました。一部の宗教家は自身の信条に大いに悩み,それがやがては,ヨーロッパにおけるキリスト教の宗教改革を目的とした16世紀の宗教革命へとつながりました。その結果として,主流のキリスト教会からプロテスタント教会が分かれました。

ジョン・ラスロップ牧師はこのような改革者の一人で,イギリスのケント州にあるエジャートン教会の教区牧師でした。ちなみに預言者ジョセフ・スミスの先祖に当たる人でもあります。1623年,ラスロップ牧師は,英国国教会が神の 御名(みな)によって行う権能に対して疑問を投げかけ,聖職を奪われてしまいます。彼は聖書を読んで,使徒の鍵が地上には存在しないことを悟りました。1632年にはどの派にも属さない非合法な教会の牧師となり,投獄されます。投獄中に妻はこの世を去り,母親を亡くした子供たちは主教に父親の釈放を求めます。主教は,国に戻って来ないことを条件に釈放に同意します。ラスロップ牧師はそのとおりにし,32人の信徒を連れてアメリカへと旅立ちました。11

ロードアイランド州の創始者で,17世紀の聖職者であったロジャー・ウィリアムズは,ロードアイランド州プロビデンスの聖職者を続けることを拒否しました。彼はその理由をこう言っています。「この地上には正しく設立された教会はないし,主の教会の儀式を執行する権能を持つ者もいない。それらが実現するのは,教会の偉大な管理者である御方から新しい使徒たちが遣わされる時であろう。わたしはその訪れを待ち望んでいる。」12

イエス・キリストによって組織された教会の背教と,失われた神権の鍵の回復が必要であることに気づいた宗教学者は,この二人以外にもたくさんいます。使徒ヨハネは示現で,「もうひとりの 御使(みつかい) 中空(なかぞら)を飛〔び〕地に住む者,すなわち,あらゆる国民,部族,国語,民族に ()べ伝えるために,永遠の福音をたずさえて」13 来るのを見ました。この預言は成就しました。わたしたちは完全なイエス・キリストの福音が,預言者ジョセフ・スミスによってこの時代に回復されたと信じており,そのために,すべての人々がこの教えを聞いて,受け入れる機会があるよう望んでいます。

回復された教会には現在,パウロがエペソ人に述べた使徒,預言者,牧師,教師,伝道者がいます。14 これらの神権の職は,時の中間に救い主が教会を組織されたときに確立されたものです。また,わたしたちは神権に二つの位があり,それぞれに複数の職があることを理解しています。アロンの名を取った小神権であるアロン神権,そしてアブラハムが 什分(じゅうぶん)の一を納めたメルキゼデクの名前を取った,大神権であるメルキゼデク神権です。アロン神権は1829年5月15日にバプテスマのヨハネによって回復され,メルキゼデク神権はそれから1か月のうちに古代の使徒ペテロ,ヤコブ,ヨハネによってジョセフ・スミスとオリバー・カウドリに回復されました。したがって, 今日(こんにち)神権を授かっている人々は,「天においても地においても効力を持つ力」15 である神権を通して,神の御名によって行動する権能を有しているのです。

1836年4月3日,カートランド神殿で,預言者ジョセフ・スミスとオリバー・カウドリにモーセが現れ,イスラエルの集合の鍵を授けました。その後,エライアスが現れ,「わたしたちの後の時代のすべての者が祝福を受けるであろう」16 と述べ,アブラハムの福音をゆだねました。この後,預言者エリヤが現れて,神殿において地上でつなぐことを天でもつなぐ結び固めの力を含む,この神権時代の鍵をゆだねました。17 このように,使徒パウロがエペソ人に語ったこの最後の「時の満ちる」神権時代に,過去の福音の神権時代の預言者たちが預言者ジョセフ・スミスに鍵を授けました。18

主が,再びこの民に什分の一とささげ物の律法を確立するにふさわしいと判断されたことに感謝しています。什分の一の律法を守ると,天の窓がわたしたちに開かれます。すばらしいことに,什分の一を守る信仰を持つ人々には,天からあふれんばかりに祝福が注がれます。

地上の長い歴史を通して,神殿での礼拝は聖徒にとって重要な意味を持っていました。この礼拝によって,創造主に少しでも近くありたいと願う気持ちを表します。救い主が地上におられたとき,神殿は主にとって学びの場所でした。主の生活とは切っても切れないものだったのです。現在のわたしたちにも神殿の祝福に浴する機会が与えられています。神殿に関する教えと,神殿で行われるあらゆる事柄の永遠にわたる意味は,末日聖徒イエス・キリスト教会に特有のものです。今日,荘厳で美しい神殿は,世界の多くに存在しています。そこでは最も神聖な業が行われています。神殿についてゴードン・B・ヒンクレー大管長はこのように述べています。「人生についての疑問に不変の答えを与えてくれる場所は,この世にわずかしかありません。」19 わたしたちはどこから来たのか,なぜここにいるのか,そしてどこに行くのかという厳粛な疑問は,神殿においてさらに深い答えを得ることができます。わたしたちは神のみもとから来て,みもとへ帰るためにこの地上で備えをしています。

神殿の重要な意義の一つは,その神聖な場所で夫と妻が永遠の聖約を交わすことです。この聖約は神権の権能により結び固められます。このような聖約の下に生まれる子供たちは,ふさわしさを保つなら,自分の家族と,また神の子供として,永遠の関係を維持することができます。使徒ヨハネはこう書いています。「『この白い衣を身にまとっている人々は,だれか。……それだから彼らは,神の御座の前におり,昼も夜もその聖所で神に仕えているのである。』」20

主は,御自身の業は「人の不死不滅と永遠の命をもたらすこと」だとおっしゃいました。21 これは,生者も死者も,すべての人がこの地上かあるいは霊界において,福音を聞く機会が与えられなければならないことを意味します。パウロはコリント人にこう語っています。「そうでないとすれば,死者のためにバプテスマを受ける人々は,なぜそれをするのだろうか。もし死者が全くよみがえらないとすれば,なぜ人々が死者のためにバプテスマを受けるのか。」22 これこそが,すでに亡くなった先祖のためにわたしたちが神殿の儀式を行う理由なのです。自分で選ぶ機会や選択の自由はだれからも取り上げられません。儀式を授けられた本人が,受け入れるかどうかを自分で選ぶのです。

使徒ヨハネは,福音の回復の一部として,天使が地上にって来る時代を示現で見ました。この天使は預言者ジョセフ・スミスに現れたモロナイです。モロナイは,古代の記録が刻まれた金版が埋めてある場所をジョセフに示しました。金版を受け取ったジョセフ・スミスは,神の力と 賜物(たまもの)によって翻訳し,モルモン書として出版しました。この書物は,アメリカ大陸に何世紀も前に存在した二つの民に関する記録です。モルモン書が世に出るまで,これらの民についてはほとんど知られていませんでした。しかし,もっと重要なのは,モルモン書がキリストについてのもう一つの証だということです。この書物を通して,堕落や 贖罪(しょくざい),復活や死後の生活について貴い真理が回復されました。

回復以前は,何世紀にもわたって天が閉じられていました。しかし,地上に再び預言者と使徒が与えられ,示現と啓示により天が開かれました。預言者ジョセフ・スミスに与えられた啓示の多くが書き記されて,教義と聖約としてまとめられました。ここには,原則と儀式についてさらに深い教えが記録されており,神権組織についても貴重な情報が含まれています。さらに,わたしたちには高価な真珠というもう一つの聖典が与えられています。預言者ジョセフ・スミスに啓示されたモーセ書,そしてジョセフが購入したエジプトの巻き物を翻訳したアブラハム書から構成されています。これらの記録から,モーセやアブラハム,エノクなどの預言者について多くのことを学べますが,それだけではなく,創造についてもさらに詳しく知ることができます。イエス・キリストの福音は最初から,つまりアダムの時代から,すべての預言者に教えられてきたことが分かります。23

わたしたちは,末日聖徒イエス・キリスト教会が,イエス・キリストによって組織された本来の教会が回復されたものであると信じています。それは「使徒たちや預言者たちという土台の上に建てられたものであって,キリスト・イエスご自身が隅のかしら石」です。24 どこかの教会から分派したものではありません。

キリストの完全な福音は回復されましたが,それは神のほかの子供たちに対して優越感を抱く理由にはなりません。むしろわたしたちは,キリストの福音に従って生活する大きな責任を負っています。人を愛し,仕え,祝福をもたらす必要があります。わたしたちは,大管長会が1978年に出した声明に書かれている事柄を信じています。「マホメットや孔子,宗教改革者など世界の偉大な宗教指導者や,ソクラテス,プラトンなどの哲学者たちは,神の光の幾分かを受けました。国々を 啓蒙(けいもう)し,個々の理解をより高い水準に引き上げるために,倫理的真理が神から彼らに与えられました。」25 したがって,わたしたちはほかの人々が心から信じている宗教的信条を尊重し,わたしたちが大切にしている教えに人が示してくれる同様の敬意に対して,感謝の思いを持っています。

わたしは預言者ジョセフ・スミスを通して回復された聖約,教え,そして権能が真実であることについて,個人的な証があります。この確信は,人生を通して常に心の中にありました。わたしたちの時代に,完全な福音が回復されたことを感謝しています。それは永遠の命へと続く道です。父なる神の力と平安と思いが,また,主イエス・キリストの変わらぬ愛と恵みとがともにありますように,イエス・キリストの御名により祈ります。アーメン。

1.人類に対する神の愛に関する大管長会の声明,1978年2月15日付

2.「背教と回復」『聖徒の道』1995年7月号,90

3.2 テサロニケ2:3,強調付加

4.マルコ1:9-10参照

5.使徒8:14-17;19:3-6参照

6.マタイ3:17;使徒7:55;教義と聖約130:22参照

7.使徒24:15

8.ダニエル2:28;アモス3:7; 教義と聖約121:26参照

9.オバデヤ1:21;マラキ4:6;1コリント15:29; 黙示7:15参照

10.使徒3:20-21

11.マーク・E・ピーターセン The Great Prologue(1975年),34-35

12.ウィリアム・カレン・ブライアント編Picturesque America; or, the Land We Live In,第2巻(1872年),1:502;リグランド・リチャーズ「不思議な驚くべきわざ」29も参照

13.黙示14:6

14.エペソ4:11参照

15.ジェームズ・E・タルメージ Articles of Faith,第12版(1924年),204

16.教義と聖約110:12

17.教義と聖約110:13-16

18.エペソ1:10

19.「なぜ神殿を」『末日聖徒イエス・キリスト教会の神殿』14

20.黙示7:13,15

21.モーセ1:39

22. 1コリント15:29

23.モーセ5:58; 8:19;アブラハム2:10-11参照

24.エペソ2:20

25.大管長会の声明,1978年2月15日付

 
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