決断は行く末を決める
第一副管長
トーマス・S・モンソン
ヤングアダルト対象のCESファイヤサイド,2005年11月6日,ブリガム・ヤング大学
ここブリガム・ヤング大学のマリオットセンターを初めとする様々な場所に集まる皆さんは栄光ある,選ばれた世代です。皆さんとともにいることができるのは光栄なことです。今晩,ここ以外に集いたい場所はありません。
わたしは熱心な祈りをささげてここに来ました。皆さんの信仰が必要です。わたしのために祈ってください。
この場や別会場に集う人たちのことを思うとき,わたしは皆さんの両親のことを考えます。何年もの間,わたしは毎週のようにステーク大会に出席し,ステーク会長や副会長の家を訪問する特権にあずかってきました。すると,時々おもしろいことに遭遇しました。父親と母親が自分たちの寝室やベッドを中央幹部に提供していることを知らない小さな子供たちが,朝早く寝室に忍び込んで,両親がいると思ってベッドにもぐり込んでくるのです。そして全然知らない人が寝ていることを知って驚き,戸惑います。
何年も前,インディアナポリスステークを訪問したときです。パーデュー大学に勤めていたロー会長がわたしに言いました。「モンソン兄弟,土曜の夜は,わが家に来てお泊まりになりますか,それとも,40マイル(約64キロ)の移動をせずにこのインディアナポリスに住む副会長の所にお泊まりになりますか。」
わたしはこう答えました。「そうですね,ロー会長,今晩はもう遅いですし,どちらでもよいのでしたら,インディアナポリスの副会長のお宅に泊まります。」
翌朝8時に会うとロー会長は言いました。「モンソン兄弟,御霊に導かれた決断でしたね。」
「どういうことですか」とわたしは尋ねました。
会長はこう答えました。「実は,わたしの息子は家を離れて大学に通っています。もちろん昨晩はモンソン兄弟にわたしたちの寝室を使っていただきたいと思っていました。でも,まったく驚いたことに,その息子が今朝2時に学校から戻ってきたんです。息子は家に入り,2階のわたしたちの寝室に来て電気をつけると大声で『サプライズ!』と叫びました。」ステーク会長の家に泊まっていたら,その学生とわたしのどちらがもっと驚いていたでしょう。泊まらずにいて正解でした。
若い友人の皆さん,胸躍る人生が皆さんを待っています。皆さんは,王の特命を受けて大海原に乗り出し,新しい大陸を発見したジョン・カボットや発見の旅路の末「奇妙な名前を持つ,はるか彼方の地」1 まで行ったジェームズ・クックのようではないかもしれません。しかし霊の探検家になることはできます。生きることと物事を成し遂げるより良い方法を発見することによって,より良い世の中を作る使命を受けた探検家です。探検家の精神には,それが地球の表面,広大な宇宙,あるいは,偉大な人生を送る原則を探ることであっても,勇気を持って問題に立ち向かい,失望に明るく向き合い,勝利に謙虚さを忘れない資質が求められます。
「屋根の上のバイオリン弾き」というミュージカルを知っている人は大勢いるでしょう。大好きな作品です。ロシアに住むユダヤ人家族の昔かたぎの父親が,美しい娘たちによって否応なしに家庭に持ち込まれる時代の変化になんとか対応しようとする姿を見て人々は笑みをこぼします。娘たちは「仲人さん,わたしにすてきなお婿さんを見つけてください」とわれを忘れて歌います。父親のテビエはそれにこたえて「もし金持ちだったら」と歌います。テビエが「サンライズ・サンセット」の美しいメロディーを歌えば見る人の目には涙が浮かび,出演者全員が「アナテフカ」を歌うとき,テビエが生まれ育った村をどんなに愛しているか分かるのです。
陽気な踊りや,音楽のリズム,すばらしい演技も,テビエがミュージカルのメッセージともなる言葉を言うとき,すべてがそれほど重要でなくなります。彼はかわいい娘たちを周りに集め,いかにも農夫らしい簡潔な言葉で,将来を思う娘たちに勧告を与えるのです。「忘れるんじゃないぞ,アナテフカでは,自分が何者で,神がわたしたちにどうなるよう望んでおられるか,皆知っているんだ。」
末日聖徒であるわたしたちは,自分が何者で,神がわたしたちにどうなるよう望んでおられるかを知っています。創世記に記されている真理に耳を傾けてください。「神はまた言われた,『われわれのかたちに,われわれにかたどって人を造〔ろう〕,……』神は自分のかたちに人を創造された。すなわち,神のかたちに創造し,男と女とに創造された。……神は彼らを祝福〔された〕。」(創世1:26-28)
「神にかたどって創造された。」わたしたちは,真に強さと力を感じなければ,この確信を持つことはできません。末日聖徒として,わたしたちは地上に来る前どこに住んでいたのか知っています。また,地上での生活は,神の戒めに忠実であり,日の光栄にふさわしいことを証明する試しの期間であることを知っています。そうです。わたしたちは自分が何者で,神がどうなるように望んでおられるかを知っているのです。しかし,それを知っていても,永遠の命という目標に到達する保証にはなりません。
過去50年ほどの間に,人々の生活の多くの部分が世界中で少しずつ,しかし継続して衰退しています。道徳観のない人間関係,人間性のない科学,人格のない学識,倫理観のない商業,犠牲のない信仰,良心のない快楽,理念のない政治,労働のない富が見られます。
今日の様子をいちばんよく描写したのは,有名な小説家であるチャールズ・ディケンズでしょう。ディケンズは200年以上も前に,その傑作「二都物語」の冒頭でこう述べています。
それはおよそ善き時代でもあれば,およそ悪しき時代でもあった。
知恵の時代であるとともに,愚痴の時代でもあった。
信念の時代でもあれば,不信の時代でもあった。
光明の時でもあれば,暗黒の時でもあった。
希望の春でもあれば,絶望の冬でもあった。
前途はすべて洋々たる希望にあふれているようでもあれば,
また前途はいっさい暗黒,虚無とも見えた。
これが皆さんの住んでいる世界です。未来は皆さんの手にあります。どんな結果になるかは皆さん次第です。昇栄への道は展望が利き,速度制限がなく,事前の技術試験がないことをうたった無料の道路ではありません。それどころか,分かれ道と曲がり角,急カーブが多く,スピードを制限しながら走行しなければならないのです。運転技術は試されます。準備はできていますか。運転しているのは皆さんです。初めて通る道です。しかし幸いなことに,この道路の設計者,つまり,天の御父は行き方を示した道路地図を用意しておられます。目的地まで皆さんを導くために標識を立ててくださっています。標識の幾つかを目にすることがあるでしょう。
- •「あなたの父と母を敬え。」(創世記20:12)
- •「聖文を調べなさい。聖文はわたしについてあかしをするものである。」(ヨハネ5:39)
- •「まず神の国と神の義とを求めなさい。」(マタイ6:33)
- •「清くあれ。」(3ニーファイ20:41)
あの悪しき者もまた,標識を立てて皆さんの成長を邪魔し,真理の道から罪の横道へと連れて行こうとしています。サタンの横道の先は全部行き止まりです。このような標識を見たことがあるでしょうか。
- • 一度だけなら大丈夫。
- • 傷つくのは自分だけで,だれの迷惑にもならないから。
- • 愛は自分のもの,人生は自分のもの。
- • 時代は変わった。
わたしたちの選択に責任が伴うことがはっきりしてきます。それは人生の岐路における避けられない危機です。皆さんを堕落に導く者は,暗い夜,定まらない意志,困惑した良心,混乱した心を辛抱強く待っています。人生の岐路で決断する用意はできていますか。
決断は行く末を決めます。これを強調しすぎることはありません。永遠に関する決断には,永遠の結果が伴います。
選択に迫られたときに対処するための簡単な方式を教えましょう。覚えるのは簡単ですが,実行は難しいことがあります。間違ったことをして正しくはなれません。正しいことをして間違うことはありません。良心は裁き人として罰を下す前に,常に友人として警告を発してくれます。
1831年5月,主はオハイオ州カートランドで預言者ジョセフ・スミスを通して与えられた啓示の中でこう勧告されました。「人を教化しないものは,神から出てはおらず,暗闇である。神から出ているものは光である。」(教義と聖約50:23-24)
愚かな人々は神の知恵に背を向けて,移り変わる流行の誘惑やまやかしの人気,一瞬のスリルを追いかけています。彼らの行動は,長子の生得権を一皿のあつものと交換してしまったエサウの破滅的な経験とよく似ています。
これを説明するために,ある調査結果を話しましょう。ある著名な団体が行い全国版の雑誌2 に報告が出ていたものです。「1,000万ドルのためなら,あなたはしますか?」というタイトルでした。調査で使われていた同じ質問をしましょう。
- • 現金で1,000万ドル手に入るとしたら,家族の元から永遠に離れますか。
- • 愛していない人と結婚しますか。
- • 友人全員を永遠に手放しますか。
- • 無実の罪で1年間刑に服しますか。
- • 公衆の面前で服を脱ぎますか。
- • 10回に1度の割合で死ぬ可能性のある危険な仕事を引き受けますか。
- • 1年間物乞いをしますか。
調査対象となった人たちの中で,家族を去るとこたえた人は1パーセント,愛のない結婚をする人は10パーセント,友人を放棄する人は11パーセント,人前で服を脱ぐ人は12パーセント,一年間刑務所に入る人は13パーセント,危険な仕事に就く人は14パーセント,そして,一年間物乞いをするとこたえた人は21パーセントでした。
道徳ではなく金銭が人の行動を左右するとき,人は神から離れていきます。神からの離反は聖約を破り,夢を壊し,大志を消し去り,期待を果たさず,希望を砕き,人生を破滅させます。
このような足をすくう流砂を避けてください。皆さんには高貴な生得権があります。天の御父の王国で永遠の命を得ることこそが目標なのです。そのような目標は一回の華々しい試みで達成できるものではなく,生涯を通じて義を貫き通した結果であり,賢明な選択の積み重ね,目的を終始貫いた結果達成できるものです。困難で履修義務のある大学のコースで念願のAを取るように,永遠の命という報いを得るには努力が必要です。
ユークリッドとパロと幾何学の寓話があります。ユークリッドの説明と立証の幾つかに夢中になったパロは,幾何学を勉強したいと思いました。そこでユークリッドがパロを教えることになったのです。短期間勉強したパロはユークリッドを呼び,勉強の進度が遅すぎると言いました。パロは王様です。もっと早い方法があるはずです。幾何学を学ぶのに一生かけたいとは思いませんでした。するとユークリッドはこの偉大な真理を告げました。「陛下,幾何学に王道はございません。」3
若い友人の皆さん,救いと昇栄に王道はありません。どのようなことでも成功に王道はないのです。Aの評価は一つ一つのテーマ,小テスト,授業,試験,学期論文の結果として得るものです。ですから,心からの祈り,教会の集会への出席,一人一人の良い友人,義にかなった決断,奉仕,これらすべてがあってからこそ,永遠の命という目標が達成されるのです。
数か月前にドイツでの責任から帰国するとき,飛行機の窓の外に見える星にすっかり感嘆していました。それらの星を使って航海士は行路を決めるのです。そのとき,皆さんと今晩皆さんに会うこの機会について考えました。そして次の真理について考えました。「理想とは星のようなものである。星を掴むことはできないが,……それらを道案内として選び,従うならば,目的地につく。」4
心から探し求める祝福を,皆さんが従うならもたらしてくれる理想にはどのようなものがあるでしょうか。静かな良心ですか。平安に満ちた心ですか。愛ある家族ですか。それとも,満ち足りた家庭ですか。
3つの提案があります。
注意深く友人を選ぶ。
目的を持って将来を計画する。
信仰をもって人生を築き上げる。
第1――注意深く友人を選ぶ。
特定のワードとステークで行われた調査で,大変重要な事実を知りました。友人が神殿で結婚した人の多くは,自分自身も神殿で結婚します。反対に友人が神殿で結婚しなければ,その人も大抵は神殿で結婚しません。友人の影響は親の勧めや,クラスでの教え,神殿が近くにあるかどうかということより大きな要素になっているようです。
わたしたちは自分があこがれる人のようになる傾向があります。ナサニエル・ホーソンの名作「大きな石の顔」にあるように,わたしたちはあこがれる人,それは通常友だちなのですが,その人の癖や態度,振る舞い方までも自分に取り入れます。一時的な利便や,軽薄な目標,視野の狭い望みのためではなく,皆さんのように,大切なもの,つまり永遠の目的のために計画をする人と交わってください。
スタンフォード大学の記念教会堂の東側の翼廊(訳注――キリスト教建築で,身廊と直交し,建物の左右に突き出した廊)の壁にはある真理が刻まれています。「永遠でないものはすべて短く,無窮でないものはすべて小さすぎる。」5
永遠の友人の輪を超えて,天の御父と友人になるよう強く勧めます。御父は皆さんの心の祈りにこたえる準備をされています。皆さんの霊の父として,御自分のかたちに皆さんをお創りになり,初めから終わりを知っておられる神の知恵は決して衰えることはなく,その勧告は真実です。神と友達になってください。
もう一人,皆さんがぜひ友達になるべき大切な人がいます。それはワードの監督です。監督は預言と権能を持つ人たちの按手により神に召された人です。皆さんに勧告と導きを与えるように天からの助けを得る資格のある人です。監督と友達になってください。
かつて監督として管理していたワードで,青少年が難しい問題に直面していたことをよく覚えています。ある晩,美しい10代の少女がボーイフレンドとともに話し合うため,わたしのオフィスにやって来ました。深く愛し合っていて,二人が対処できないほどに誘惑は強くなっていました。
話し合いの中で二人は誘惑に負けず,神殿結婚という目標を最優先にすると決意しました。どのように行動すべきかを提案した後で,次のように言うべきだと感じました。「妥協しそうになったり,もっと強い力が必要になったりしたときは,何時でもいいからわたしに電話しなさい。」
ある日の午前1時,電話が鳴りました。「監督,スーザンです。誘惑に会ったときには電話をしなさいと言ってくれたこと覚えていますか。今誘惑に直面しています。」どこにいるか尋ねると,ソルトレーク盆地で人気ある駐車スポットにいると言いました。彼女と婚約者は近くの電話ボックスまで歩いて行って電話をかけたのです。勧告を与えるうってつけの状況ではありませんでしたが,切羽詰った状況で,若い二人は言われたことをよく受け入れました。
スーザンが何回電話してきたかは言いません。けれども,郵便配達が彼女の結婚の通知をわが家に届けたとき,モンソン姉妹は喜びでいっぱいになりました。こう記されていました。「ジョーンズ夫妻は娘スーザンの結婚披露宴において,貴下の臨席を賜りたく存じます。」わたしはカードの下に小さく「ソルトレーク神殿で結婚」と印刷されたのを見て,「末日聖徒の青少年の強さは何とすばらしいのだろう」と静かに言いました。
注意深く友人を選んでください。
第2――目的を持って将来を計画する。
偉大なトーマス・カーライルは言いました。「目的のない人は,舵のない船,放浪者,無,存在しない人である。人生に目的を持ちなさい。目的を持ったら,神がお与えになった頭脳と筋力を仕事に投入しなさい。」6
何年も前,わたしは伝道部長を務め,450人ものすばらしい,献身的な宣教師と働きました。3年後にソルトレーク・シティーの家に戻り,愛する妻とわたしはある晩宣教師たちの近況を調べていました。すると,何人かの姉妹宣教師がまだ永遠の伴侶を見つけられないでいることが分かったのです。彼女たちを助けるためにできることをやってみようと決心し,モンソン姉妹に言いました。「フランシス,目的をもって計画を立て,3,4人のすばらしい姉妹宣教師を家に招待しよう。そして我が家で開く小さなファイヤサイドに,独身の帰還宣教師の中から彼女たちが招待したいと思う人を言えるようにしよう。それから伝道中の写真を見せて,皆がよく知り合えるように座る場所を考えてあげよう。」すぐに実行に移し,招待を受けた4人の姉妹は張り切ってこのチャレンジにこたえました。
わたしたちは靴箱に,縦5インチ(約12.5センチ)横7インチ(約17.5センチ)の宣教師一人一人の写真を入れています。そのような箱が4つあります。わたしは居間に座った4人の姉妹たちに言いました。「皆への贈り物だよ。箱の中の写真を見て,このファイヤサイドにいちばん招待したいと思う男性を教えてくれるかい?」すてきな光景でした。そのときのことを適切に説明する唯一の方法は,次の質問をすることだと思います。「クリスマスの朝の子供たちを見たことがありますか?」わたしたちは計画を勧め,この4人の若い女性と選ばれた4人の青年たちを我が家に招待しました。すばらしい夜でした。その夜の終わりに,その中の二人がゆっくりと歩いて行くのに気がつきました。「期待が持てそうだよ」とわたしはモンソン姉妹に言いました。二人はぴったりと寄り添って歩いていたのです。
それから間もなく,そのときの青年から電話がありました。「モンソン伝道部長,恋に落ちたら必ずあなたに知らせる,と約束したことを覚えていますか。」
「ああ,覚えているよ」とわたしは答えました。
すると彼はこう言いました。「伝道部長,好きな人ができました。」
こう答えました。「すばらしい。それはだれだい。」
「きっと分からないでしょう」と彼は言いました。
わたしは推測などせずに,ただ「教えなさい!」と言いました。するとあの晩,寄り添いながら手をつないで歩いていたあの姉妹宣教師の名前を言ったのです。二人は結婚して42年がたち,5人の子供と大勢の孫がいます。
この話を聞いている人の中には,すでに結婚している人もいるでしょう。また,永遠をともに過ごしたいと思える特別な人を探している人もいます。夢の男性,あるいは女性を探す後者に属する皆さんは,ミュージカル「キャメロット」の中でアーサー王が授ける勧告に耳を傾けるとよいでしょう。深い悩みでジレンマに陥ったアーサー王は,「情熱に夢を壊させてはならない」7 と言いました。これはわたしたちに対する勧告とも言えます。この最も重要な勧告に従うことができますように。 標準をしっかり守るよう強くお勧めします。ぐらつくことのないように。
子供のころ,大好きな日曜学校の教師がいました。すでに亡くなりましたが,名前をルーシー・ガーシュと言いました。
ルーシーは魅力的で優しい人でした。すばらしい伴侶がいて当然でしたが,だれも現れませんでした。年月とともに,自分はもう結婚はしないとあきらめるようになっていましたが,40代の半ばになってディックと出会ったのです。まさに一目ぼれでした。でも一つ問題がありました。ディックは教会員ではなかったのです。相手がいつかは教会員になってくれるというはかない望みを抱いて,必死の思いで結婚する人たちがいます。この昔ながらの誤りに,ルーシーは屈したでしょうか。そうではありませんでした。彼女はずっと賢明でした。ディックにただこう言ったのです。「ディック,あなたはすばらしい人だわ。でも,デートしてもわたしたちは決して幸せにはなれないのよ。」
「どうしてだい?」とディックは聞きました。
「あなたがモルモンではないからよ。」
「どうしたらモルモンになれるんだい。君とデートがしたいんだ。」それからディックは福音を学び,ルーシーは質問にこたえました。そして証を得てバプテスマを受けました。
そこでディックは言いました。「さあ,ルーシー,ぼくは教会員になった。やっと結婚できるね。」
ルーシーはこたえました。「ディック,あなたを愛しているわ。でも教会員になったあなたは,神殿結婚以外,満足しないと思うわ。」
「神殿結婚できるようになるまで,どれくれいかかるんだい,ルーシー。」
「ほかの条件を満たすなら,だいたい1年ね。」1年後,ルーシーとディックは主の宮に参入しました。
ルーシーは次の言葉の真理に従ったのです。
モルモンとして勇気を持とう
一人でも気高く立ち
福音を固く守り
人々に知らせよう 8
目的を持って将来を計画してください。
第3――信仰をもって人生を築き上げる
混乱した時代にあって,良心と日々の喧騒との葛藤の中で人生のよりどころとなるのが,いつまでも変わらない信仰です。
小さな子供たちは,興味深い方法で信仰の模範を示してくれます。しばらく前,アメリカの全国版の雑誌から,「かみさまへのてがみ」という短い手紙集を書き移していました。非常におもしろいものでした。幼いミッキーはこう書いています。「神様,ずっと春がくるのを待っているのに,全然来ません。どうしたんですか。忘れないでください。」もう一人の子供は言いました。「神様へ。子供がゴミを出すようにという規則を作ったのがあなたなら,どうか変えてください。」小さなベスも書きました。「愛する神様へ。日曜日に教会で見ていてくれるなら,わたしの新しい靴を見せてあげます。」ジェフの言葉です。「神様へ。いつも星を正しい場所に並べておくのはすごいことです。月でも同じようにできませんか。」「神様,弟をありがとう。でもわたしが欲しいってお祈りしたのは子犬です」とジョイスは書きました。わたしがいちばん気に入っているのはマシューの手紙です。「愛する神様,あなたの本を読みました。いい本ですね。」マシューは続けて質問しています。「ぼくもいつか,同じようなお話の本を書きたいです。どこからアイデアを得るのですか。敬具。」9
真の信仰には決意が必要です。その決意とは,大学4年生になる21歳のある女性が次に示したような決意です。彼女はこう宣言しました。
「わたしたちの年代は,あらゆるコミュニケーションの手段を通して大なり小なり様々な恐怖にさらされてきました。ある口臭消臭剤を使わなければデートの相手を見つけられないというちょっとした脅しや,『それが人間の本性』だからということで低い道徳標準に屈しなければだれにも受け入れなれないという恐れなどです。
わたしたちの多くは,明日には核戦争かほかの大惨事のために滅びてしまうのだから,『政府には逆らえない」『人生を最大限楽しもう』という考えを受け入れています。
わたしは古くさく神を信じています。神の創造物である人間の尊厳と可能性を信じています。また,理想主義ではなく,現実に目を向け,このように信じているのがわたしだけではないと知っています。
ほかの世代とは違って,わたしたちに人生の使命はないという人々がいます。あらゆる物が与えられているからです。わたしたちは甘やかされてはいませんが,霊的に貧弱です。貧しさの中を生きたくはありません。また,独りで生きることはできません。」
信仰と疑いが同時に一つの心に存在することはできません。一方が他方を払いのけるからです。確固とした信仰を持ってください。
初期の開拓者の伴侶についての物語を思い出します。彼女の名前はキャサリン・カーティス・スペンサーと言いました。夫のオーソン・スペンサーは感受性の強い,学識のある人でした。キャサリンはボストンで育った,教養のある上品な女性でした。二人には6人子供がいました。ノーブーを発ってから彼女の繊細な健康状態は,過酷な状況と困難により悪化していきました。スペンサー長老はキャサリンの両親に手紙を書き,西部で家を整えるまで,キャサリンが両親のもとに帰り,一緒に暮らすことを許してほしいと頼みました。返事はこうでした。「あの下劣な宗教を止めさせるなら,帰ってもいい。それまではだめだ。」スペンサー姉妹は信仰を捨てませんでした。両親からの手紙を読んでもらった彼女は,夫に聖書を持ってきてルツ記を読むように頼みました。「あなたを捨て,あなたを離れて帰ることをわたしに勧めないでください。わたしはあなたの行かれる所へ行き,またあなたの宿られる所に宿ります。あなたの民はわたしの民,あなたの神はわたしの神です。」(ルツ1:16)外では嵐がうなりをあげ,馬車には雨が漏っていました。友人たちはスペンサー姉妹の頭が濡れないようにミルク鍋をさしかけていました。このような中で,一言も不平を言うことなく,彼女は最期に目を閉じました。10
わたしたちが神の業のために命を失うことは,必ずしもないかもしれませんが,神によく仕えることによって,神への愛を示すことはできます。心の祈りをお聞きになり,わたしたちの人目につかない行いを見てくださる御方は,必要なときに報いてくださいます。
疑いの念を抱きそうになるとき,疑り深い,心迷わす反抗的な考えにただこう言ってください。「わたしは自分の信仰と,人々の信仰を守り通す。そこに幸せと満足があることを知っている。不可知論の疑い深い思いよ,お前にはわたしの信仰の家を壊させない。聖書の数々の奇跡を説明できないことは認めるし,説明しようとも思わない。しかし,わたしは神の言葉を受け入れている。わたしはジョセフ・スミスと一緒にいなかったが,彼のことを信じている。わたしの信仰は科学によって与えられたものではない。いわゆる科学が信仰を破壊するのを,わたしは許さない。神と神の業についてわたしの気持ちが変わるとすれば,それは神の霊感が変える時である。」
信仰によって人生を築き上げてください。
注意深く友人を選び,目的を持って将来を計画し,信仰をもって人生を築き上げるとき,皆さんは聖霊を伴侶にすることができます。完全な希望の輝きを持つようになります。主の約束が真実であることを自らの経験を通して証するようになります。「主なるわたしは,わたしを畏れる者に憐れみ深くかつ恵み深く,また最後まで義をもって真理にかなってわたしに仕える者に誉れを与えるのを喜びとする。彼らの受ける報いは大きく,彼らの栄光は永遠である。」(教義と聖約76:5-6)
これらの完全な真理を厳粛に証します。皆さん一人一人に天の御父の祝福が注がれますように。イエス・キリストの御名によって,アーメン。
注
1. 作詞:ジョン・ホイットニー,作曲:アレックス・クラマー,
“Far Away Places,”
1948年
2. ジェームズ・パターソン,ピーター・キム, The Day America Told the Truth: What People Really Believe About Everything That Really Matters (1991年)参照
3. Euclid to Ptolemy I, from Proclus, Commentary on Euclid, Prologue.
4. カール・シュルツ, 講話, ボストン, 1859年4月18日
5. http://religiouslife.stanford.edu/memorial_church/inscriptions.html
6. ハロルド・B・リー, Conference Report, 1952年10月, 17; トーマス・S・モンソン, Conference Report, 1982年4月, 84参照
7. アラン・ジェー・ラーナー, フレデリック・ロー, Camelot, 1960年
8. トーマス・S・モンソン 「永遠の家庭」『リアホナ』2000年7月号, 69; マーク・E・ピーターセン, Conference Report, 1952年4月, 104も参照
9. スチュアート・ハンプル,エリック・マーシャル共編, More Children's Letters to God (1967年); Children's Letters to God: The New Collection (1991年)
10. ニコラス・G・モーガン,
“And Thus History Was Made,” Improvement Era, 1940年7月号, 399参照; プレストン・ニブレー, Exodus to Greatness (1947年), 132—35も参照
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