互いに愛と関心を示し合う厳粛な責任
十二使徒定員会
L・トム・ペリー長老
責任のバランスを取る
わたしに与えられたテーマは,「家族――世界への宣言」の中の次の一節です。「夫婦は,互いに愛と関心を示し合うとともに,子供たちに対しても愛と関心を示すという厳粛な責任を負っています。」1今日,わたしはこのテーマについて,皆さんがほかの訓練集会でよく聞く話とはかなり違った方法で話します。手引きからはあまり引用せず,天の御父の王国における皆さんの奉仕について,率直に話したいと思っています。家族に愛と関心を示すという責任と,主から与えられたほかの特別な召しとのバランスをどう取るべきか,ともに理解を深められればと願っています。
1830年4月6日に教会が組織されたとき,預言者ジョセフ・スミスは現在教義と聖約 第21章となっている啓示を受けました。その啓示の一部を読んでみましょう。
「見よ,あなたがたの間で記録を記さなければならない。そして,その記録の中で,父なる神の御心とあなたがたの主イエス・キリストの恵みによって,あなたは聖見者,翻訳者,預言者,イエス・キリストの使徒,教会の長老と呼ばれなければならない。
あなたは,教会の基を据えて,最も聖なる信仰のためにこれを築き上げるように,聖霊による霊感を受けた。
それゆえ,彼がわたしの前を完全に聖く歩み,わたしの言葉と戒めを受けるとき,あなたがた教会員は,彼があなたがたに与えるそれらのすべてを心に留めなければならない。
あなたがたは忍耐と信仰を尽くして,あたかもわたし自身の口から出ているかのように,彼の言葉を受け入れなければならない。」(教義と聖約21:1-2,4-5)
このように,新しく組織された教会で最初に与えられた教えの一つは,神の王国を建設する責任を果たすに当たって,主の預言者を通して主から与えられる霊感と啓示に従うことだったのです。主はこの偉大な業を推し進めるために,わたしたちの取るべき道を示すと約束されました。
預言者の勧告
今日の預言者ゴードン・B・ヒンクレー大管長は,2003年6月21日に放送された世界指導者訓練集会で,責任のバランスを取る鍵について教えました。
「皆さんはこの業を前進させるに当たって世の贖い主を代表する特権を受けています。また,主の息子や娘のために主イエス・キリストの贖いの血の尊さを語る機会を得ています。これ以上に大いなる特権があり得るでしょうか。
皆さんのものであるこの特権を喜んでください。この機会は永遠には続きません。あっという間に,今皆さんが経験している大いなる事柄が,思い出になってしまう日が来ます。
望むすべてを成し遂げる人はいないでしょう。それでも最善を尽くしましょう。その後に贖い主が次のように言われることを思うと,心が満たされます。『良い忠実な僕よ,よくやった。』(マタイ25:21)」2
覚えていると思いますが,放送の中で大管長は,わたしたちに与えられている4つの責任について説明しました。今日の放送に関連するのは,そのうちの第1の責任です。読んでみましょう。
「第1に,家族を絶対にないがしろにしないでください。家族ほど大切なものはありません。奥さんや子供たちには,夫であり父親である皆さんの配慮を受ける資格があります。結局のところ,後の世に持って行くことができるのは,この家族関係なのです。聖典の言葉をもじって言えば,『たとい人が忠実に教会に奉仕しても,自分の家族を損したら,なんの得になろうか』というところでしょうか(マルコ8:36参照)。」3
教会が組織された初期のころから,預言者たちが変わらず教えてきたのは,まさにそのことです。福音の教えと指導力が最も必要とされている場所は家族と家庭なのです。この教えに従えば,わたしたちが与える割り当ても,プログラムや活動,レッスンの計画も,家族を補い助けるようなものになるでしょう。
正しい優先順位を確立する
家庭での務めと教会での奉仕を上手に両立させるうえで基本となるのが,時間の使い方と生活のバランスです。時間の使い方にどのように優先順位を付けるかについて預言者が与えた勧告に従えるよう,自己訓練してください。
永遠の伴侶
まず,結婚生活を堅固なものとし,愛を互いに示し合うためにどれくらいの時間が必要か,永遠の伴侶と話し合うことから始めてください。それが第一の優先事項です。
教会の目的は,個人と家族がキリストのみもとに来て永遠の命を得るよう助けることです。永遠の命とは,神が人に与えられる最高の賜物であり,家族関係を通してのみ得られるものです。家族関係はまず,夫婦の結びつきから始めなければなりません。それは主にとって神聖で,軽んじてはならないものです。主の計画にあって,結婚の聖約 は欠かすことのできないものであり,主が天地を創造されたのはそのためでした。だからこそ,主は歴史上のどの時代にも,この夫婦の神聖な結びつきを守る律法を与えてこられたのです。
子供
第2に,子供の霊的な必要についてよく考えてください。子供と親密な関係を保つために必要な時間はどれくらいでしょうか。子供を教えるために十分な時間を取ることも,父親,母親としての皆さんの責任です。なぜなら,子供にとって両親の教えほど大切なものはないからです。わたしたちは,子供が教会で学んでいることを熟知したうえで,子供一人一人に教会の教えと一致したことを教える必要があります。例えば,小冊子『若人の強さのために』では,「家族――世界への宣言」を引用して,若い人たちに家族に関するこの勧告を与えています。
「家庭生活における幸福は,主イエス・キリストの教えに基づいた生活を送るときに達成されるに違いありません。実りある結婚と家庭は,信仰と祈り,悔い改め,赦し,尊敬,愛,思いやり,労働,健全な娯楽活動の原則にのっとって確立され,維持されます。」4
続けて,小冊子にはこう記されています。
「家族がいるというのは,とても大きな祝福です。家族がいるおかげで,親しみのある交わりや幸福があり,愛に満ちた雰囲気の中で正しい原則を身に付けたり,永遠の命を得る準備をしたりする助けが得られます。家族全員が同じ性格ではないかもしれませんが,天の御父の計画では一人一人
皆大切です。
幸せな家庭を築くために,あなたは自分の役割を果たしてください。明るく,いつでも相手を助け,思いやりを示してください。家庭内の問題の多くは,家族の自分勝手で不親切な言動から生まれます。家族の必要に心を配ってください。いじめたり,けんかをしたり,口争いをしたりするのではなく,平和を作り出す人になるように努めてください。教会では家族がいちばん神聖な単位であることを忘れてはなりません。」5
家族を養う
第3の優先事項は経済的に家族を養うことです。もう一度,「家族――世界への宣言」から読んでみましょう。
「神の計画により,父親は愛と義をもって自分の家族を管理しなければなりません。また,生活必需品を提供し,家族を守るという責任を負ってい
ます。」6
わたしたちは,収入を得るのに役立つ技能を保つ必要があります。移り変わりの激しい今の世の中では,常に技能を磨いていないと時代に取り残されてしまいます。教会の責任で忙しいときも,自らの能力を伸ばし家族の福利を向上させる機会をおろそかにすべきではありません。将来に備えるには,十分な時間をかけることと,よく考えることが必要です。
この助言は兄弟たちだけでなく,姉妹たちにも当てはまります。家族の経済的な必要を賄う責任はおもに父親にありますが,宣言にあるように,「心身の障害や死別,そのほか様々な状況で」7姉妹たちにも家族を養う責任が生じることがあり,必要な技能を使ったり伸ばしたりしなければならないことがあるからです。
教会での奉仕
第4の優先事項は,教会活動に時間を使うという決意です。活発な末日聖徒の家族であれば,教会で過ごす時間を大切にし,教会での活動のために家族の生活を調整するはずです。
指導者は召しを与え,何が求められているかを説明するに際して,家族の事情に特に配慮すべきです。小さな子供がいる家族の両親が二人とも負担の大きな召しを受け,家を空けることが多くなれば,教会活動が家族生活の妨げになっていると感じてしまうかもしれません。教会の指導者は,教会での奉仕と家族の責任のバランスを取ろうとしている会員たちの努力をよく心に留め,支援することで彼らを助けることができます。
家族とともに召しを果たす
適切な場合に限りますが,家族とともに教会の召しを果たすことで家族と過ごす時間を増やす方法もあります。個人的な経験を話しましょう。
わたしが子供のころ,父は監督を務めていました。弁護士の仕事も忙しく,多忙を極めていましたが,地域社会の活動にも積極的でしたし,講演の依頼もよくありました。それに,もちろん,6人の子供の父親でもありました。わたしは父が正しい優先順位を持っていたことに,ずっと感謝してきました。父の優先順位のトップはいつも母でした。母に接する父の態度で,それは明らかでした。また,わたしたち子供にも実に献身的な父親でした。
6歳のとき,わたしは赤いワゴンをクリスマスプレゼントとしてもらいました。このミニチュアにそっくりのものです。この小さなワゴンは父とのきずなを強めてくれたのです。忙しい父は,家族を参加させしかも成果を上げる方法を見つけなければなりませんでした。
父が監督だった時期のほとんどが1930年代の大恐慌時代と重なっていました。当時,ワードの会員の多くが深刻な状況に置かれていました。監督として,父にはそのような人たちの生活に必要な物資を届ける責任がありました。これは監督と息子と小さな赤いワゴンにはうってつけの活動でした。
学校から帰って来ると,ガレージの横に小麦粉,砂糖,麦などが積まれていることがよくありました。わたしは,そんな日の晩は父とともに時間が過ごせることを承知していました。
父が帰宅すると,わたしたちは二人で小さな赤いワゴンに1家族分の品物を載せました。そして二人で話をしながら歩いて行き,助けが必要な人たちに物資を届ける福祉の責任を果たしました。
わたしは善き神権指導者がワードの会員に示す愛と思いやりを,この目で見ることができたのです。さらに大切だったのは,父と貴重な時間を過ごせたことでした。
基本的な優先順位に的を絞る
第1回世界指導者訓練集会で教えられたことを実践するようにお勧めします。留意してほしいのは,教会のすべてのユニットがいずれも異なる発展段階にあり,異なる必要を抱えているということです。教会のプログラムは,家族を考慮に入れて計画しなければなりません。
ホームティーチャーまたは訪問教師の責任は別として,会員には複数の召しを与えないように,もう一度警告します。基本的な優先順位に従うよう自制してください。そうすれば,主が王国の僕として責任を果たす皆さんに霊感を与え,導いてくださることに,皆さんは驚くでしょう。
回復された教会の究極の目的は,人の不死不滅と永遠の命をもたらす主の業をよりよく支援し,実現することにあります。それは,おもに家族を強めることによって達成されます。道徳心が地に落ち,政情不安,国際紛争,経済不安が蔓延するこの時代に,わたしたちは家族を強め安定させることに,いっそう力を注がなければなりません。教会の目的はまさに,家族が永遠の天の王国で救いと永遠の命を得られるよう助けることなのです。
『家族ガイドブック』
数年前,教会はこの『家族ガイドブック』という冊子を出版しました。これは全会員向けに作られたものですが,特に新会員や教会での経験が少ない会員に役立つと考えています。ぜひ活用してください。この冊子の冒頭にはこう書かれています。
「家族は末日聖徒イエス・キリスト教会の基本単位であり,この世から永遠にわたって最も大切な,社会の構成要素です。神は家族を,神の子供たちが幸福を得,愛のうちに正しい原則を学び,永遠の命への備えをする場として定められました。
家庭は福音の原則を教え,学び,実践する理想的な場所です。」8
この冊子から役立つ教えを学ぶよう,お勧めします。
救い主の模範
主なる救い主は,一人一人を教え導き,虐げられた者を高め,落胆している人に希望を与え,道に迷った人を捜し求められました。主は言葉と行いを通して,人々に愛と理解と感謝の思いを示されたのです。主は,わたしたち一人一人の持つ天与の特質と永遠の価値を認めておられました。悔い改めを説くときでさえ,主は犯した罪はとがめても,罪人をとがめることはなさいませんでした。
教会の指導者は,救い主の模範に従い,仕える対象となる人たちを愛して,一人一人に思いやりと配慮をもって接しなければなりません。主の祝福があって,託された神聖な責任を果たせますように。イエス・キリストの御名によって,アーメン。
注
1.「家族――世界への宣言」『リアホナ』2004年10月号,49
2.「仕える特権を喜ぶ」『世界指導者訓練集会』2003年6月21日, 25-26
3.『世界指導者訓練集会』2003年6月21日, 23-24
4.『リアホナ』2004年10月号,49
5.『若人の強さのために』10
6.『リアホナ』2004年10月号,49
7.『リアホナ』2004年10月号,49
8.『家族ガイドブック』1
『家族ガイドブック』(31180 300)は教会配送センターから入手することができます。