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「あなたが何者であろうとも,自らの務めを果たしなさい」:素顔を隠す覆面を取りなさい

クエンティン・L・クック長老

十二使徒定員会

ヤングアダルト対象のCESディボーショナル・2012年3月4日・ブリガム・ヤング大学-アイダホ校


 
クエンティン・L・クック長老

ヤングアダルトの皆さんにお話しするこの機会を嬉しく思います。大管長会と十二使徒定員会から愛とごあいさつをお送りします。ここブリガム・ヤング大学アイダホ校のカンファレンス・センターに来られて光栄です。わたしの心の目には,世界各地に集っている皆さんも映っています。

わたしが皆さんくらいの年齢のとき,教会の預言者はデビッド・O・マッケイ大管長でした。マッケイ大管長は,1951年から1970年まで大管長を務めました。大管長が亡くなられたとき,わたしは30歳でした。ヤングアダルトのころの預言者に対しては,特別な思いを抱くものです。わたしもマッケイ大管長を愛し,尊敬しています。大管長はスコットランドで伝道していたときの経験についてよく話してくださいました。伝道に出た直後にホームシックにかかったマッケイ長老は,気分転換のために同僚とともに近くのスターリング城を訪れて数時間の観光をしました。帰宅する途中,通りかかった建物の扉の上の石の壁に,シェークスピアの作とされる言葉が刻まれていました。「あなたが何者であろうとも,自らの務めを果たしなさい」という言葉でした。

マッケイ大管長は1957年の説教の中でその経験について語りました。「そのとき自分自身か,あるいは御霊が,わたしの心にこう告げました。『あなたは末日聖徒イエス・キリスト教会の会員です。そして今,主イエス・キリストを代表するためにここにいます。教会を代表する責任を受けているのです。』それから,その日の午後に自分が行ったことを考えました。観光をしていたのです。その土地の歴史を知り,情報を得て,それらの出来事に感動すら覚えました。……でもそれは伝道ではありませんでした。……その石に刻まれたメッセージは,わたしに向けられたものだったのです。その時から,わたしたちはスコットランドで宣教師の務めを果たすよう努力しました。」1 

「あなたが何者であろうとも,自らの務めを果たしなさい」というメッセージは,マッケイ長老にとって非常に大切で,また大きなインパクトを持っていたので,彼にとってその後ずっと霊感の源となりました。どのような責任でも,最善を尽くすと決意したのです。

デビッド・B・ヘイト長老は,スコットランドの伝道部会長時代に,そのメッセージが刻まれた石を探し,レプリカを作らせました。それは現在ユタ州プロボの宣教師訓練センターにあります。皆さんの中にも,その文字を読み,その意味を深く考えたことのある人がいるでしょう。ラッセル・M・ネルソン長老は,最近行われた,プロボ宣教師訓練センターの50周年記念集会の中で,このメッセージについて教えてくれました。

皆さんが何者であるかについて考えると,皆さんは自分の世代の重要性を十分に理解していないのではないかという思いが頭をよぎります。社会では一般的に,それぞれの世代の人々に何らかのレッテルをはるようです。合衆国などの国では,現在最高齢の世代の人々を「偉大な世代」と呼んでいます。なぜなら,その世代の人々が1930年代の世界恐慌に耐え,第二次世界大戦をくぐり抜け,戦後にすばらしい世界を築いたからです。教会の年配の幹部たちも,それらを経験しました。トーマス・S・モンソン大管長は合衆国海軍,ボイド・K・パッカー会長は合衆国空軍,ペリー長老は合衆国海兵隊でした。彼らが経験したことと,彼らが学び,教えてきた教訓の一部を,後ほど紹介したいと思います。

1980年代から1990年代前半にかけて生まれた皆さんは,「新世紀世代」と呼ばれています。一部の評論家は,皆さんの世代は果たして何かを成し遂げられるのだろうかと疑っています。しかしわたしは,特に天の御父の計画を推進させることにおいて,皆さんは最も優れた世代となることを信じています。

そう信じる理由は,皆さんは過去のどの世代よりも,セミナリーとインスティテュートで学ぶ機会があり,過去のどの世代よりも,初等協会,神権組織,若い女性で優れた訓練を受けてきたからです。皆さんの世代で,宣教師として奉仕した,あるいは今奉仕している人の数は,約37万5千人にも上ります。この数字は,この神権時代に奉仕したすべての宣教師の人数の3分の1以上を占めているのです。この神権時代の最初の宣教師サミュエル・スミスが長老に聖任され,宣教師に任命されたのは, 1830年4月6日,つまり教会が組織された日でした。それ以降働いてきたすべての宣教師について考えたときに,その3分の1が皆さんの世代に輩出されているという事実は驚きに値します。わたしが18歳から30歳になるまでの12年間に働いた7万6千人の宣教師は,この神権時代全体の宣教師の8パーセント以下です。もちろん,伝道する機会のなかった人でも,大きな貢献をすることができます。大管長会と十二使徒定員会の約半数は,伝道に出る機会がありませんでした。

覆面をかぶった偽りの行動を避ける

皆さんには善をなす大きな力があります。そのことを踏まえて,皆さんの未来についてわたしが心配する幾つかの点について助言したいと思います。第一に,皆さんは,覆面をかぶる……つまり自分らしくない行動をとり,なりたいと思う自分とかけ離れた者になるように誘う大きな力にさらされるでしょう。

昨年の夏,L・トム・ペリー長老とわたしは教会の広報活動の一環として,マイケル・オターソン兄弟2 とともにニューヨークに行き,名誉棄損防止組合の全国理事長を務めるエイブラハム・フォックスマン氏の事務所を訪れました。その組合の目的は,ユダヤ人への名誉棄損を防止することで,フォックスマン氏は過去40年以上にわたってこの活動に携わっています。彼の生い立ちは,彼がこの職に就いた理由を雄弁に物語っています。彼は第二次世界大戦が始まったころに生まれました。ユダヤ人への迫害が起こる中,1941年9月に,彼の両親のジョセフとヘレンは,リトアニアのビルナにあるユダヤ人隔離地区へ移る直前に,生後13か月のエイブラハムをカトリック信者であるポーランド人の女性に預けました。両親は戦争と大虐殺を生き抜き,当時4歳になっていた息子と再会できました。ナチによる虐殺で,殺されたユダヤ人の子供の数は150万人と推定されています。エイブラハムを守ったカトリックの女性は,エイブラハムがユダヤ人であることを隠し,毎週日曜に教会へ連れて行きました。3 エイブラハム・フォックスマンがユダヤ人に対する差別,憎悪,偏見と闘うために生涯をささげてきたことは,当然と言えるでしょう。

わたしは以前に何度かフォックスマン氏と一緒に働く機会がありました。彼の勇気と献身ぶりを尊敬しています。ニューヨークでの会談で,わたしは「教会の広報に関連して何か助言はないですか」と尋ねました。すると,彼は一瞬考え込んでから,「覆面をかぶらないよう奨励することが大切です」と言いました。そのことを説明するために,彼はKKK団を引き合いに出しました。KKK団とは,1900年代の前半に大きな影響を及ぼし,ほとんどのアメリカ人を恐怖に陥れた組織でした。特徴的なローブと覆面をつけ,素顔が分からないようにして,標的とする人々の家の庭で十字架を燃やし,自らを道徳の番犬であると称しました。彼らが最大の標的としたのはアフリカ系アメリカ人でした。しかし,カトリック教徒,ユダヤ人,移民もその標的とされました。KKK団の中でも最も過激な者たちは鞭を振い,暴行を加え,殺人さえ犯しました。フォックスマン氏は,KKK団の中の少数は1930年代ヨーロッパの専制国家で茶色のシャツを着た秘密国家警察と同じだと指摘しています。しかし,KKK団の大多数は覆面をかぶらないときには,ビジネスマンや教会に行く普通の人でした。素性を隠し,覆面をかぶることによって,普段はしない行動に参加できたのです。4彼らの行為は,アメリカ社会にひどい衝撃を与えました。

フォックスマン氏は,覆面をかぶってほんとうの自分を隠すことをしないようにと力説しました。

教会歴史の初期に,預言者ジョセフは,妻のエマと,生後11か月の双子の赤ちゃんジョセフとジュリアとともに,オハイオ州ハイラムのジョンソン家族の農場で暮らしていました。二人の赤ちゃんは,はしかにかかっていました。ジョセフは,幼い息子とともに家の入り口近くのベッドで寝ていました。

マーク・L・ステーカー兄弟は,次のように記録しています。

夜中に顔を黒く塗った男たちがドアを破って押し入り,預言者を外へ引きずり出して殴り,預言者とシドニー・リグドンにタールを浴びせた。

「エマは,ジョセフが殴られ,タールを浴びせられるのを見て,気を失った。……」

「預言者は歯を1本折られ,脇をひどく傷つけられ,髪の毛を抜かれ,硝酸をかけられた。しかし,日曜の礼拝ではいつもどおり説教をした。聖徒たちに混じって,昨夜の暴徒のうちの少なくとも4人が会に出席していた。」5 

この事件の最大の悲劇は,父親が引きずり出されたとき,幼いジョセフが夜の空気にさらされ,風邪をこじらせ,数日後に亡くなったことでした。

興味深いことに,預言者ジョセフと兄のハイラムの殉教にかかわった者たちも自分の素性を隠すために顔を黒く塗っていました。6 素性を隠して,秘密結社に入る人々には特に警戒が必要です。モルモン書には,ルシフェルが「……人の子らをそそのかして人殺しをする秘密結社を作らせたり,あらゆる隠れた闇の業を行わせたりする」ことが記されています。(2 ニーファイ 9:93 ニーファイ6:27-30も参照)

皆さんのうちのだれかが,今話したような恐ろしい場面に遭遇するとは思いません。しかし,今日,自分の名を伏せることがかつてなく容易になっています。そのような中で,覆面を着けないことと,「殉教者の持つ真理を信じ」ることについての重要な原則があります。7

誤った選択を避ける最も優れた手段の一つは,素顔を隠す覆面を着けないことです。素顔を隠すことを望んでいる自分に気づいたら,それは危険が迫っている印であり,サタンがすべきでないことをさせようとしているのだと理解してください。宣教師が慎みのある服装をし,長老たちにひげをきれいに剃るように勧められている一つの理由は,自分が何者であり,どのような行動をとるべきかを明確にするためです。「それはうわべだけのことではありませんか」と思う人がいるかもしれませんが,わたしはそうは思いません。預言者モルモンは,モルモン書の中で,服装と装飾品について述べました。彼は高慢を「非常に華やかな服」を着ることに結び付けています。「非常に華やかな衣服」を着ることは高慢であり,「ねたみや争い,悪意,迫害,またあらゆる罪悪」と結び付いています(モルモン8:36)。 わたしは,今日の服装と装飾が,道徳の標準に反している,あるいは,標準に達していないことと,道徳基準に悪い影響を与える可能性があることを,非常に心配しています。

心から信じていることに従って行動する

二つ目の助言は,自分が信じていることに従って行動する,つまり,人格を築き,高め,いっそうキリストのようになるために時間を使うことです。皆さんの中に人生が「お遊び」であるなどと考えている人はいないと思います。神にお会いする用意をする時期なのです(アルマ 34:32)。

自分の務めを果たし,時間を適切に使うことについて,L・トム・ペリー長老の人生からすばらしい模範を見ることができます。それは第二次世界大戦終結後,占領軍が日本に駐留していたときのことでした。ペリー長老はこの体験を,「救い主の特別な証人」というビデオの中で紹介しています。このビデオは,訪問者センターでも視聴することができます。ペリー長老の実話を聞きましょう。

ペリー長老の話

「救い主だったらこんな時どうなさるだろうか。」ある出来事を思う度に,わたしはこのように考えることによってもたらされる喜びを思い起こします。

わたしは平和条約が調印されて第二次世界大戦が終結した直後に最初に日本に上陸した米軍の軍人の一人でした。荒れ果てた長崎の町に入ったときのことは,人生で最も悲しい経験の一つとなっています。町の大部分は完全に破壊されていました。放置されたままの遺体もありました。進駐軍として,わたしたちは本部を設置して任務を開始しました。

その荒涼とした状況に,わたしたち数名は,任務以外にも何かしたいと思いました。そこで自分たちの部隊の従軍牧師のところに行き,キリスト教の教会の再建を支援する許可を求めました。政府による戦時下での規制のため,これらの教会はほとんど機能していませんでした。数少ない建物はひどく損壊していました。わたしたちは休日にこれらの教会堂を修理して漆喰を塗り,キリスト教の礼拝行事を再開できるようにしました。

言葉はまったく分かりませんでした。わたしたちにできたのは建物の修理という肉体労働だけでした。わたしたちは戦時中に礼拝行事ができなかった牧師たちを尋ね当て,説教壇に戻るよう励ましました。彼らが再びキリスト教の信仰を実践する自由を体験したとき,わたしたちは彼らとともに素晴らしい経験をしました。

忘れることのない出来事が起きたのは,わたしたちが長崎を出発して国へ帰ろうとしていた時でした。祖国へ帰る船に向かって列車に乗ろうとしていたとき,わたしたちは他の大勢の軍人たちにからかわれました。彼らはガールフレンドたちと別れの言葉を交わしていました。そして彼らは,日本での楽しみを逃したと言ってわたしたちのことを笑いました。労働したり壁に漆喰を塗ったり,まったく時間の浪費だったと言うのです。

彼らがわたしたちをからかっていた最中のことです。駅の近くの小さな丘の向こうから,わたしたちが修理した教会の偉大な日本人クリスチャン約200人が,「戦い進め」を歌いながらやって来たのです。彼らは下りて来て,たくさんのプレゼントを渡してくれました。そして彼らは線路に沿って並び,わたしたちは動き出した列車から手を伸ばして,彼らの指に触れながら去ったのでした。お互いに胸が詰まって,話すことはできませんでした。しかし,戦争が終わった国で,わずかではあってもキリスト教の再建を手助けできて,わたしたちは嬉しく思いました。

わたしは神が生きておられることを知っています。わたしたちは皆御父の子どもであり,御父はわたしたちを愛しておられることを知っています。御父は全人類のため,そして主の福音を受け入れて主に従う者が,神のあらゆる賜物の中で最も大いなるものである永遠の命を得られるように,贖いの犠牲として御子を送ってくださいました。神の指示によって,預言者ジョセフ・スミスを通じて福音が再び地上に回復されました。死すべき生涯において見いだすことができる唯一の永続的な喜びと幸福は,救い主に従い,主の律法に従い,主の戒めを守ることによってもたらされることを証します。主は生きておられます。わたしのこの証をイエス・キリストの聖なる御名によって申し上げます。アーメン。8

キリスト教徒の教会を再建するために時間をささげていた何人かの兵士と,愚かで邪悪な行いに,気ままに手を染めていた兵士たちを比べてください。時間の使い方の選択についてよく考え,慎重に行動しましょう。

このビデオを見ていると,わたしが5歳の時の思い出がよみがえってきます。当時のステーク会長はペリー長老のお父さんでした。第二次世界大戦終結後の聖餐会で,ペリー会長は帰還した兵士たち全員を壇上に座らせました。軍服に身を包んだ彼らは順に短い証を述べました。ペリー長老と弟のテッドが証を述べている間,二人の父親であるペリー会長は泣いていました。それは幼いわたしに大きな感動と霊感を与えました。証の内容は憶えていませんが,受けた印象の記憶は消えません。

ビデオの中のペリー長老の模範から分かるように,わたしは自分の宗教を誇示するとか,うわべだけの忠実さを強調するつもりはありません。そのようなことは皆さんと教会を困惑させることになります。わたしは本来あるべき姿に到達することについてお話しています。伝道活動のガイド『わたしの福音を宣べ伝えなさい』の制作にかかわっていたとき,特に6章の「キリストのような特質を伸ばすにはどうしたらよいでしょうか」は宣教師と会員が生涯にわたって指針とすることができると感じました。自分の伸ばしたい特質を見つけて,努力するとき,それらの特質について教えている聖句をリストにして,詳しく研究し「目標を決めて,生活の中でその特質を応用する計画を立て」,「その特質を伸ばせるよう主の助けを祈り求め」ます9。ここで覆面をかぶり,自分の真の姿を隠してはなりません。

お遊びの域を超え,依存症になってしまった人がいるかもしれません。ポルノグラフィーやその他不道徳な行為に染まっている人は自分が望んでいる,あるいはあるべき姿から離れた行動をとっているのです。ポルノグラフィーにかかわっているほとんどの人は自分を偽りの姿に変え,その事実を隠します。その行為は非難されるべきものであり,すべての大切な人にとって有害であることを自分で承知しているその行動に,彼らは覆面をかぶせます。ポルノグラフィーは人を神の前に立ちにくくさせるだけでなく,結婚と家族を破壊し,社会に悪影響をもたらす伝染病です。インターネット依存症とポルノグラフィーはともに結婚生活をむしばむものです10。 結婚を前にしている皆さんは自分と結婚にとって有害で,不適切な行動を隠すために,いかなる覆面もかぶってはなりません。

すでにこの破壊的な習慣に陥っている人であっても,悔い改めて,癒されることが可能ですから安心してください。癒しを得る前に悔い改めが必要です。癒しには長い時間がかかるかもしれません。癒しの過程で必要とする助けを受けられるように,ビショップはその方法を助言してくれます。わたしたちはビショップに対して,皆さんに最善の助けができる人々を紹介するようお願いしています。

ポルノグラフィーと性的不道徳以外にも,社会を毒し,道徳規範をむしばむ有害な行為があります。不愉快で,辛辣で,偏見に満ちた意見を匿名でインターネット上に書き込むとき,今日では素性を隠すのが一般的です。それをフレーミング(訳注:電子メールや電子掲示板などで攻撃的または卑猥な言葉を使用すること)と呼ぶ人もいます。特定の団体では意見の検閲を試みています。例えば,『ニューヨーク・タイムズ』(New York Times)は,個人攻撃,わいせつ,下品,口汚い罵り,他人になりすますこと,矛盾,激しい口論の基となる投稿を容認しません。

また『タイムズ』(The Times)は,実名を使用することを奨励しています。その理由について,「自分の名前を使う人は,人々を引きつけ,誠意のある対話を展開することが分かった」12から,と述べています。11

使徒パウロはこう記しています。

「悪い交わりは,良いならわしをそこなう。

目ざめて身を正し,罪を犯さないようにしなさい。あなたがたのうちには,神について無知な人々がいる〔からである〕。……」(1 コリント15:33-34

邪悪な通信はマナーに反するだけでなく,もしそれを末日聖徒が行うとすれば,神について知らない人や救い主の証を持っていない人に悪影響を及ぼす可能性があります。

インターネットを使って,いじめを行い,評判を下げ,他人を不利な状態に陥れるのはとんでもない行為です。人々は匿名という覆面をかぶると,理解を深めるための対話を著しく妨げるこの種の行動に走り易くなることを知っています。それは救い主が教えられた基本原則にも反することです。

皆さんがユースの時代から学んできたイエス・キリストの福音の基本となるメッセージの一つは「神はそのひとり子を賜わったほどに,この世を愛して下さった。それは御子を信じる者がひとりも滅びないで,永遠の命を得るためである」ということです(ヨハネ3:16; 教義と聖約34:3も参照)。救い主は,御自分が世に来られたのは世を罰するためでなく,救うためであることを説明した後に,罰の定めを受けるとはどのようなことか説明されました。

「光がこの世にきたのに,人々はそのおこないが悪いために,光よりもやみの方を愛したことである。」

「悪を行っている者はみな光を憎む。そして,そのおこないが明るみに出されるのを恐れて,光にこようとはしない。

しかし,真理を行っている者は光に来る。その人のおこないの,神にあってなされたということが,明らかにされるためである。」(ヨハネ3:19–21; 17–21参照)

義人は覆面をかぶって自分が何者かを隠す必要がありません。わたしはトーマス・S・モンソン大管長の生涯で実際に起きたことについての話が好きです。彼が18歳になったのは第二次世界大戦が終わるころでした。ヨーロッパ戦線は実際に終結していましたが,太平洋での戦闘はまだ続いていました。

大管長は合衆国海軍に入隊し,カリフォルニア州サンディエゴに配属されました。先の総大会で大管長が話されたのを覚えていると思います。最初の日曜日に,兵曹長は全員に教会へ行くよう命令しました。カトリック教徒は一つの場所へ,ユダヤ教の信者は別の場所へ,そして残りはプロテスタントの集会へ行かせました。モンソン大管長は,自分がカトリックでも,ユダヤ教でも,プロテスタントでもなく,モルモンであることを自覚していたと語りました。彼は勇気をもって,そこに立っていました。そして,自分の後ろに忠実な会員たちがほかにも立っていることを知りました。大きなグループに混じってプロテスタントの集会に行くことは容易なことだったでしょう。しかし彼は自分が何者であるかを明らかにして,そのように行動することを決意したのです12

適切な目標を設定する

3つ目の助言は,皆さんが考えるべき幾つかの目標についてです。ペリー長老が海兵隊として日本に駐留していたのとほとんど同じ時期,第二次世界大戦終結時にボイド・K・パッカー会長も空軍の一員として日本にいました。

今年の1月22日に開かれたセミナリー100周年記念行事でパッカー会長はそれが人生で大きな形成期となったことを説明しました。132004年にわたしはパッカー会長やほかの人々とともに日本を訪れました。パッカー会長は自分の足跡の一部をたどり,当時の経験や決意に思いをはせる機会がありました。セミナリーの集会でその幾つかを話しました。わたしはパッカー会長の許可を得て,彼が考え,感じたほかのことを紹介したいと思います。

パッカー会長は沖縄の沿岸に浮かぶ一つの島で起きた出来事を語りました。会長は,この経験は荒野における自分にとってのシナイ山であったと考えています。彼は自身の勉強と会員たちとの交わりを通して,福音の教えに対する信仰を深めていました。しかしまだ,「確認」すなわち真実であると考えるようになっていたことへの確かな知識がありませんでした。

パッカー会長の伝記作家はその後に起きたことを次のように記録しています。「彼は『確認』と平安を求めていたにもかかわらず,目の前に突きつけられたのは罪のない人々を巻き込んだ戦争の地獄絵図でした。独りになって考える時間を求めて,彼はある日,海を眺められる小高い場所へ行きました。そこで目にしたのは全焼した田舎家の残骸と放棄されたサツマイモ畑でした。そして枯れた植物の間に見たのは,虐殺された母親と二人の子供の死体でした。その光景から,深い悲しみと自分の家族とすべての家族に対する愛が心にあふれました。」14

彼はその後,仮設の貯蔵庫に入り,そこで深く考え,祈りました。パッカー会長はこの出来事を振り返りながら語りました。わたしは,それが「確認」となる霊的な経験だったと思います。人生で成すべきことについて霊感を感じたのでした。もちろん,現在の崇高で神聖な召しを受けるとは考えていませんでした。彼は救い主の教えを説く教師になることを思い描いていました。そして,義にかなった生活を送ることを決意しました。

義にかなう妻を見つけなければならないこと,二人で大きな家族を築くであろうことを理解していました。この若い兵士は,そのような職業を選ぶことによって質素な生活を送ることになり,また,伴侶はその優先事項を共有し,物質的に恵まれなくても喜びをもって生活する人でなければならないことを理解していました。

わたしは,パッカー会長が中央幹部に召されて間もなく,ある先任の中央幹部とともに教会の指導者会に行くことになりましたが,着て行くような新しいワイシャツがなくて困ったことがあったという話を聞いて,心を打たれました。

この実話を紹介したのは,わたしたちがこの世の価値に基づいて目標を決めることがあまりにも多いからです。救いの儀式を受けた会員にとって基本となる事項は単純明快です。義を重んじ,家族を築き,養育するための適切な方法を見つけ,召しを受けた時に奉仕し,神に会う用意をすることです。

救い主は「……人のいのちは,持ち物にはよらないのである」(ルカ 12:15)と教えた後,次のたとえを話されました。

「ある金持の畑が豊作であった

そこで彼は心の中で,『どうしようか,わたしの作物をしまっておく所がないのだが』と思いめぐらして

言った,『こうしよう。わたしの倉を取りこわし,もっと大きいのを建てて,そこに穀物や食糧を全部しまい込もう。

そして自分の魂に言おう。たましいよ,おまえには長年分の食糧がたくさんたくわえてある。さあ安心せよ,食え,飲め,楽しめ。』

すると神が彼に言われた,『愚かな者よ,あなたの魂は今夜のうちにも取り去られるであろう。そしたら,あなたが用意した物は,だれのものになるのか。』

自分のために宝を積んで神に対して富まない者は,これと同じである。」(ルカ 12:16-21

あなたが住んでいる国と地域社会を築き上げる

皆さんの世代がなるべき世代になるとすれば,個人の特質,資質,決断に加えて,住んでいる国と地域社会を築き上げることに力を尽くすでしょう。最も偉大な世代と同様,皆さんは義と宗教の自由を守る必要があります。わたしたちが受け継いでいるユダヤ教とキリスト教の遺産は大きな価値があるばかりでなく,天の御父の計画において欠くことのできないものです。わたしたちは将来の世代のためにそれを守っていく必要があります。宗教の別を問わず善良な人々,特に自分の行動について神に対する責任を感じている人々と手を携えていく必要があります。このような人々は「あなたが何者であろうとも,自らの務めを果たしなさい」というテーマについて,わたしたちが今晩なぜ話しているのかを理解することでしょう。ユダヤ教とキリスト教の価値を高め,宗教の自由を強化することによって,皆さんの世代は偉大な世代として認められることでしょう。

大管長会と十二使徒定員会は,現在の世の中に見られる問題を踏まえて,皆さんが住んでいる国において政治のプロセスに適切に参加することを強く望んでいます。教会は選挙について中立であり,候補者を支持したり,政党を支持したりすることはありません。しかし,会員たちには,善良な政府を擁護する原則に基づいて選ばれた候補者と政党を積極的に支持することを望んでいます。わたしたちの教義ははっきりしています。「正直な人々と賢明な人々を熱心に捜し求め」るべきです(教義と聖約98:10)。「邪悪なものが治めるとき,民は嘆き悲しむ」(教義と聖約98:9)。つまり,すべての人が自分には投票の義務があると感じるべきなのです。

党員集会が開かれる合衆国の各州において,皆さんは問題と候補者を理解し,精一杯参加すべきです。たとえばユタ州とアイダホ州の党員集会は今週から始まり, 4月中旬まで続けられます。出席する人は,参画することが認められます。自分が選んだ政党の党員集会の予定を調べて,そこに出席する義務があると考えてください。教会員であるなしを問わず,選挙が行われるあらゆる州と国の市民にこれを実行してほしいと思います。あらゆる市民にとって自由の代価は非常に大きく,不参加の招く結果はあまりにも大きいので,その責任を無視することはできないのです。

わたしたちは皆さんに大きな信頼を寄せていることを知ってください。教会の指導者は皆さんが過去の世代以上に王国を築くことができると心から信じています。皆さんにはわたしたちの愛と信頼だけでなく,祈りと祝福が寄せられています。教会が引き続き確立され,王国が成功を収めるために皆さんの世代の成功がどうしても必要です。覆面をかぶることなく,自分の真の姿に基づいて行動し,適切な目標を設定し,住んでいる国と地域社会を築き上げるという務めを立派に果たすよう祈っています。

預言者ジョセフ・スミスを通して福音が回復されたことを証します。ジョセフ・スミスは父なる神とイエス・キリストにまみえました。天の御父は愛にあふれる父親であって,子どもたち一人一人に祝福をもたらす計画を定めておられます。イエス・キリストはわたしたちの救い主であり,主の贖罪は歴史全体を通じて大きな意味を持つ出来事です。聖霊はわたしたちを教え導き,御父と御子を証してくださいます。これらのことを救い主の証人の一人として,イエス・キリストの御名により証します。アーメン。

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Show References

  1.  

    1. デビッド・O・マッケイ, David O. McKay: Apostle to the World, Prophet of God(1986年), 45でフランシス・M・ギボンズが引用。 “Pres. McKay Speaks to Pioneer Stake Youth,” Church News,1957年9月21日付, 4も参照

  2.  

    2. 2.マイケル・オッターソンは教会広報部管理ディレクターである。

  3.  

    3. ジョセフ・フォックスマン,In the Shadow of Death(2011年),10参照

  4.  

    4. 2011年6月14日,ニューヨーク州,ニューヨーク・シティーの事務所におけるエイブラハム・フォックスマンとの会談

  5.  

    5. マーク・L・ステーカー,“Remembering Hiram, Ohio,” Ensign, 2002年10月号,35-37

  6.  

    6. 『歴代大管長の教え:ジョセフ・スミス』 24参照

  7.  

    7. 「シオンの若者,真理を守り」『賛美歌』 163番

  8.  

    8. L・トム・ペリー,『キリストの特別な証人』 (DVD, 2003年)から筆写

  9.  

    9. :『わたしの福音を宣べ伝えなさい:伝道活動のガイド』 〔2004年〕, 123。 115–26も参照

  10.  

    10. エリザベス・スチュアート, “Internet Addiction Harming Marriage,” Deseret News, 2011年7月20日付(http://www.deseretnews.com/article/700164510/Internet-addiction-harming-marriage.html)参照

  11.  

    11. マーク・ブレント, “The Public Forum,” The Salt Lake Tribune, 2011年7月27日,付 A16

  12.  

    12. トーマス・S・モンソン「一人でも気高く立ち」『リアホナ』 2011年11月号,61-62;ヘイディ・スウィントン,To the Rescue: The Biography of Thomas S. Monson (2010年), 96–97

  13.  

    13. ボイド・K・パッカー, 敵陣で生き残る方法セミナリー100周年記念放送,2012年1月22日,http://seminary.lds.org/history/centennial/eng/how-to-survive-in-enemy-territory/

  14.  

    14. ルシール・ C・テート, Boyd K. Packer: A Watchman on the Tower (1995年), 58–59