教会,宗教の自由を擁護する法律を要請する

提供者: サラ・ジェーン・ウィーバー,チャーチニュース編集補佐

  • 2015年8月22日

2015年1月27日(火)にソルトレーク・シティーのカンファレンスセンター内で開かれた記者会見で話をし,末日聖徒の指導者として,宗教の自由を擁護するLGBT不当差別禁止法に対する支持を再度強調する十二使徒定員会のオークス長老  写真/スコット・G・ウィンタートン,デゼレトニュース

「わたしたちは差別や報復から信仰に基づく社会および個人を守るための法律を今すぐにでも必要としています。一国民としてのあり方や市民としての受け継ぎの中心にあり,自由な表現や宗教的実践の核となる権利を主張するためです。 」 ―ダリン・H・オークス長老,十二使徒定員会

教会の指導者は1月27日に行われた記者会見で,宗教の自由の擁護者と同性愛者の権利の擁護者間の「敵対関係や分裂の激化」に対する懸念を表明した。

「わたしたちは自分たちとは異なる信条,価値観,行動パターンを有する周囲の人々への尊重を示す方策を見いだすべきですが,同時に,自分たちの違いを否定あるいは放棄するよう強要されるべきでもありません」とジェフリー・R・ホランド長老は述べた。 「市民のあらゆる権利を守る最善の方法は,全ての人,全てのグループが相手に守ってほしいと願う権利を守ることです。」

十二使徒定員会のホランド長老とダリン・H・オークス長老および中央若い女性会長会のニール・マリオット姉妹は,ソルトレーク・シティーの中心街にあるカンファレンスセンターで開かれた記者会見で,宗教の自由について話をした。 同じく十二使徒定員会であるD・トッド・クリストファーソン長老が,この報道機関に向けた会見の進行役を務めた。

教会の指導者は,アメリカの一般国民を対象として話すと同時に,「合衆国におけると同様の問題に直面し」苦しんでいる,全世界の1500万人に上る教会員に向けても語った。

2015年1月27日(火)にソルトレーク・シティーのカンファレンスセンター内で開かれた記者会見で話をし,LDS指導者として,自由を擁護するLGBT不当差別禁止法への支持を再度強調する,十二使徒定員会のD・トッド・クリストファーソン長老。 写真/スコット・G・ウィンタートン,デゼレトニュース

2015年1月27日(火)にソルトレーク・シティーのカンファレンスセンター内で開かれた記者会見で話をし,LDS指導者として,宗教の自由を擁護するLGBT不当差別禁止法への支持を再度強調する,教会若い女性中央会長会のニール・F・マリオット姉妹。 写真/スコット・G・ウィンタートン,デゼレトニュース

2015年1月27日(火)にソルトレーク・シティーのカンファレンスセンター内で開かれた記者会見で話をし,末日聖徒の指導者として,宗教の自由を擁護するLGBT不当差別禁止法に対する支持を再度強調する十二使徒定員会のオークス長老。 写真/スコット・G・ウィンタートン,デゼレトニュース

2015年1月27日(火)にソルトレーク・シティーのカンファレンスセンター内で開かれた記者会見で話をし,LDS指導者として,宗教の自由を擁護するLGBT不当差別禁止法への支持を再度強調する十二使徒定委員会のジェフリー・R・ホランド長老。 写真/スコット・G・ウィンタートン,デゼレトニュース

2015年1月27日(火)にソルトレーク・シティーのカンファレンスセンター内で開かれた記者会見の後,握手をするジェフリー・R・ホランド長老とダリン・H・オークス長老。両長老はLDS指導者として,宗教の自由を擁護するLGBT不当差別禁止法への支持を再度強調した。 写真/スコット・G・ウィンタートン,デゼレトニュース

「教会に厳密に従い,さまざまな社会問題に関する教会の教えと立場を熟知している人々にとっては明確なことでしょうが,わたしたちは今日においても教義すなわち教会の教えに変更はないと発表しています」と,十二使徒定員会のD・トッド・クリストファーソン長老は述べた。 「しかし,わたしたちはこうした複雑な問題に関して異なる見解を持つ人々が協力し合って,全ての人々にとって公平な解決策を見いだせるような建設的な方法を提案しています。」

クリストファーソン長老によると,教会は報道機関と毎日,数多くの交流を行っているが,記者会見をそれほど頻繁には開いていない。長老は次のように述べた。「恐らく1年か2年に1回,大きな発表を行うときや重要なことをお伝えするときぐらいかと思います。 そこで今日は,皆さんにお伝えすることがあります。」

最初にマリオット姉妹が話をし,アメリカ国民は,結婚,家族,個人の良心と集団の権利,また社会における宗教の自由の位置付けについて激しい論争を繰り広げていると述べた。 「この論争の結末は予測し得る将来に,多種多様な背景と異なる物の見方,価値観を有する大勢の人々が互いに調和しながら共存できるかどうかに大きな影響を及ぼすことになるでしょう」と述べたうえで,

マリオット姉妹は,どの民主的な社会でも違いが敵対関係を生むことはよくある,と付け加えた。 「そのような敵対関係は,極端になり過ぎて,社会の仕組みそのものを分裂させる恐れが出てこないかぎり,恐れる必要はありません。 ……

今日取り上げる議論のテーマは,いかにして他の人々の権利を損なうことなくある人々の権利を認めるかということです。 議論の一方には,LGBT(訳注―同性愛者や性同一性障害など性的少数者)の権利の擁護者がいます。 この動きは,同性愛者に対する何世紀もの嘲笑,迫害,さらには暴力の後で表面化しました。 最終的には,そのような取り扱いは単純に間違っており,仕事や住居の確保といった基本的人権はその人の性的嗜好に左右されるべきではないということを,ほとんどの社会が認めました。」

教会は,婚姻関係にある男女間以外の性的関係は神の律法に反していると信じていると,マリオット姉妹は述べた。 「この戒めと教義は神聖な聖文に由来し,わたしたちがそれを勝手に変更することはできません。 しかし,神は愛と憐れみに満ちた御方です。 神の心は,その全ての子供たちに等しく向けられ,神がわたしたちに期待しておられるのは,互いに愛と公平をもって接することです。」

だからこそ,教会は住居と雇用における差別からLGBTの人々を守る法律や条例に対して公に支持を表明してきた,とマリオット姉妹は語った。

しかしながら,オークス長老は,宗教の自由な実践を求める人々は,合衆国憲法で保証されている大切な自由がじわじわと浸食されている様子を目のあたりにしている,と語った。

「動機が宗教上の信念と良心というだけで,その人は偏っていると告発され,結果的に,言論および議論の自由が委縮してしまいます。 公の場で意見を述べ,大義のために献金をし,選挙に参加したからという理由で,宗教を信じる人々が公に辱しめられ,報復を受け,解雇され,個人的な損失を被るとき,わたしたちの唱える民主主義は敗北を喫します。

そのようなやり方は,人種や性別のゆえに住居の確保や雇用の機会,あるいは公的サービスの利用を拒否されることと全く同様に間違っています。

今日,全国の州議会は,LGBT問題関連の法律を強化するように言われています。住居や雇用の機会を公平に得られるようにするためです。 末日聖徒イエス・キリスト教会の指導者も,そのような方策に支持を表明したと報じられています。 同時に,わたしたちは差別や報復から信仰に基づく社会を守るための法律を今すぐにでも必要としています。一国民としてのあり方や市民としての受け継ぎの中心にあり,自由な表現や宗教的実践の核となる権利を主張するためです。 」

オークス長老によると,教会はイエス・キリストの教えならびに信仰ある人々を含む全ての人々に対する公平さに基づいて,以下の原則を主張している。

1. 「わたしたちは,他の人の健康または安全を害することなく,自分の良心の命じるとおりに信仰を実践するために,全ての人に神から授かった憲法上の権利を与えるよう主張します。」

2. 「わたしたちは,同じ良心の自由が,自分で選んだ宗教上の信念に従う全ての男女,またはそうすることを選べば全く何の宗教にも属さない全ての男女にも当てはまることを認めます。」

3. 「法律は,価値観の異なる人々を尊重しながらも,全ての人々の自由を守るという均衡を保つ形で起草されなければならないとわたしたちは信じています。」

4. 「わたしたちは,人種,民族,宗教的信条,経済状況,あるいは性別や性的嗜好の違いに基づく迫害を含む,あらゆる種類の迫害と報復に反対します。」
 

2015年1月27日(火)にソルトレーク・シティーのカンファレンスセンター内で開かれた記者会見で話をし,LDS指導者として,宗教の自由を擁護するLGBT不当差別禁止法への支持を再度強調する,教会若い女性中央会長会のニール・F・マリオット姉妹。 写真/スコット・G・ウィンタートン,デゼレトニュース

オークス長老は次のように述べて話を終えた。「わたしたちは地方自治体,州政府,そして連邦政府がその全ての住民に奉仕するよう求めます。そのために個人,家族,教会,またその他の信仰グループにとって不可欠な宗教の自由を守り,それと同時に,住居,雇用,またホテル,レストラン,交通機関の公共施設といった分野におけるLGBTである国民の権利を守る法案を通過させるよう各政府に求めます。実際,この国の多くの地域でLGBTの人々はこれらの利用が制限されています。」

またホランド長老は,国民の宗教的権利を含む全ての人々の権利のために便宜を図るには,知恵,判断,思いやり,公平さが必要だと述べている。 「こうした深刻な問題は,丁寧かつ思いやりのある対話の中で真剣に取り組む必要があります。」

さらにホランド長老は,これには「自分たちの信仰の命じるとおりに機能する憲法上保障された宗教共同体の権利」についての話し合いも含まれると述べた。この権利には,説教壇から,また教会の教室で自分たちの信じていることを教え,公の場で自分たちの見解を共有し,自分たちの指導者を選び,自分たちの会員に自由に仕え,教え,導く権利, また,自分たちの信条に基づいて教会の財産を使用する権利も含まれる。 宗教的権利には,家族が家庭で礼拝し,宗教活動を行う権利も含まれるとホランド長老は述べた。

また制度上の保護に加えて,信仰を有する人々は個人としても自分たちの憲法上の権利を保持しなければならない,と長老は付け加えた。 「互いに譲歩しつつ理解と友好感情をもって当たるなら,信仰をもつ人々に保証されたこうした権利はいずれも,自分たちの権利と原則に従って生活したいと願っている同性愛の男性や女性の権利を侵害するものではありません。 」

ホランド長老は最後に,1835年に教会が発した声明文を引用した。これは現在,教義と聖約134章に収めれている。

「この聖文の内容は,わたしたちが今日取っている立場における二つの要素を主張するものです。 まず,わたしたちは皆, 自分の宗教的信条の実践について神に対し責任を負っています。わたしたちは全ての末日聖徒に,与えられている宗教の自由を行使するうえで責任を持つよう求めています。 次に,この聖文は,自由な実践といわゆる『心の自由』を侵害することなく,公の利益を守る政府の正当な役割を提示しています。

およそ180年がたっても,末日聖徒イエス・キリスト教会が宗教の自由を守るために下したこの決定が色あせることはありません。」