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    10月 2003 | 声を届かせる

    声を届かせる

    10月 2003 総大会

    最初は小さな声かもしれませんが、声を上げて,人を高め励まし,喜んで受け入れられるメディアを応援しましよう。

    秋を迎えると,テレビは新番組の放送を始めます。友人によれば,この秋始まる新番組は37あるそうです。番組批評を読んだら,子供に見せたい番組はほとんどなかったと言いました。ホームコメディーやドラマ,実録番組にはだいたいどれも不道徳や暴力の描写があり,伝統的な価値観や家族制度を巧みにあざ笑っています。新番組は年々質を下げ,大衆の許容範囲をどんどん押し広げようとしているようです。ハリウッドが送り出すもの,インターネットで見られるもの,今日こんにちの音楽の多くは,退廃という名の「クモの巣」,子供たちをとりこにし,すべての人を危機にさらすクモの巣を張り巡らしています。

    教会の指導者には道徳的な問題について率直に述べ,個人と家族に助言を与える責任があります。家族は社会の基本単位であり,永遠の基本単位です。ですから家族が脅かされるなら,教会の指導者は対抗しなければなりません。

    家庭は天の御父の計画の中核を成します。人は皆,天の御父の家族の一員であり,現世は自分自身の家族を形成し,親の役割を果たす機会なのです。人は家庭の中で神の愛に非常に近い「無条件の愛」を学びます。価値観を教え,人格を形成するのは家庭の中です。「父親」と「母親」という召しは,決して解任されることのない召しであり,家族の中にやって来る神の霊の子供に対する責任以上に大切な管理の職はありません。

    家族のこの上ない大切さと,今日の家族が直面している脅威を考えると,大管長会と十二使徒定員会が「家族一世界への宣言」の中で,次のような厳しい言葉を用いているのも不思議ではありません。「わたしたちは警告します。……家族の責任を果たさない人々は,いつの日か,神の御前みまえに立って報告することになります。またわたしたちは警告します。家庭の崩壊は,個人や地域社会,国家に,古今の預言者たちが預言した災いをもたらすことでしょう。」1そのような預言者の一人がマラキでした。マラキは親に対して,全地がのろわれることのないように,親の心をその子供たちに向け,子供たちの心をその親に向けるよう警告しました(マラキ4:5参照)。

    旧約時代の記録にも,家族に関する現代の宣言にも記されているこの警告に付け加えて,わたし自身も警告したいと思います。特に,今日のメディアと,家族や家庭生活がメディアから受ける著しい悪影響について警告します。

    今日の巨大メディアが発信するメッセージの量は膨大で,しかもピンからキリまでいろいろなものがあります。有害で節操のないものもあれば,積極的で生産的な情報を多く提供しているものもあります。歴史,発見,教育を専門に放送するチャンネルもあります。上質な娯楽や,精神を高揚させるものを提供し,善悪の結果を正しく伝えるような映画,コメディー,ドラマも,今でも放送されています。インターネットは,情報,コミュニケーションのすばらしい手段として活用できますし,世界中には優れた音楽が無限に存在します。ですから,最大のチャレンジは,見聞きするものを知恵を使って選択することなのです。

    預言者リーハイが語ったように,キリストとその贖罪しょくざいのおかげで,人は「とこしえに自由となり,善悪を知るようになっている。……思いのままに行動することができ,強いられることはな〔く〕,……自由と永遠の命を選ぶことも,……束縛と死を選ぶことも自由」なのです(2ニーファイ2:26-27)。

    メディアの選択は,生活の中の選択を象徴することになります。テレビや映画の中で,最新の流行や快い刺激,けばけばしいものを選んでいるなら,注意していないと,いずれは生活の中でも同じものを選ぶようになるでしょう。

    正しく選択しなければ,メディアは家族を破壊し,子供たちを福音の狭い道から遠ざけてしまいます。大小の画面が映し出す仮想現実の世界では,いつも家族を崩壊させる考えや行動が,楽しく,現代風で,刺激的で,自然であるかのように描かれています。メディアは家族に非常に恐ろしい攻撃を仕掛けていますが,それが直接的であからさまな不道徳であることはまれです。狡猜こうかつな悪魔は,大多数の人が依然として家族や伝統的な価値観を大切にしていることを承知していて,直接的な攻撃を控えています。むしろ,善悪が取りざたされないように,微妙な表現をするのです。不道徳や性を連想させる表現があまりに蔓延まんえんしているため,皆がしているから害はないと思い込んでいる人もいます。この邪悪で有害な問題は,対岸の火事ではありません。わたしたちの家の中に,家族が集まる居間の中にまで入り込んでいるのです。

    堅固で幸せな家庭を築くには,信仰箇条第13条にある真理,つまり「正直,真実,純潔,慈善,徳高くあるべきこと,またすべての人に善を行うべきこと」という信念によって家族を養う必要があります。幸いなことに,「徳高いこと,好ましいこと,あるいは誉れあることや称賛に値すること」を尋ね求める男女は,文化,宗教を問わず大勢います。

    しかしわたしたちは使徒パウロが述べた「苦難の時代」に生きています。パウロは,わたしたちの時代には,人は「自分を愛する者,金を愛する者,大言壮語する者,高慢な者,神をそしる者,親に逆らう者,恩を知らぬ者,神聖を汚す者,無情な者,そしる者,・善を好まない者,乱暴者,高言をする者,神よりも快楽を愛する者」になるだろうと警告しました(2テモテ3:1-4)。

    陰謀を企てている男女は美徳よりも利益を求め,「あらゆる……悪事を行うように人々を扇動し」(アルマ11:20参照),メディアが果たし得る徳高い役割を妨げています。

    メディアが説くいわゆる「新しい道徳」は,昔から存在した不道徳以外の何ものでもありません。不道徳は宗教を攻撃します。家族を傷つけます。美徳を悪徳,悪徳を美徳と呼びます。徳高くもなく,好ましくもなく,誉れや称賛に値しないメッセージや画像によって,感覚をまひさせ,精神を砕くのです。

    今こそ,教会員が声を上げる時です。今こそ,同じ問題意識を持つ多くの人と力を合わせ,全地を覆う不快で,破壊的議で,卑劣なメディアの影響力に反対の声を上げる時なのです。

    カイザー家族財団(Kaiser Family Foundation)によれば,コールデンタイムの番組に性的な内容が含まれていた割合は,1998年の67パーセントから2000年には75パーセントにまで跳ね上がっています。2この種のメディアは底知れぬ悪影響を及ぼします。女性を神の永遠の計画に欠かせない大切な神の娘としてではなく,虐待の対象として描写することにより,無神経に扱う風潮をあおります。婚前交渉を避け,結婚後の貞潔を完全に守るという長年大切にされてきた徳は,今や軽視され,嘲笑ちょうしょうされています。子供や青少年は,いわゆるスターとしてあこがれ,模範と仰ぐべき人々の逸脱した行いに混乱し,誤って導かれています。メディアが作り上げた道徳的混乱の中で,長年大切にされてきた価値観が失われつつあるのです。

    サイバーポルノの急増に合わせ,インターネットポルノの中毒も急増しています。インターネットポルノや,危険なチャットルームが病みつきになり,結婚の聖約や家族の義務を顧みず,仕事も失いかねないでいる人もいます。法律が絡んでくるケースも多々あります。倒錯行為を何とも思わなくなり,不道徳という悪癖にますます深く入り込んでいく人もいます。結婚生活は崩壊し,人間関係も壊れます。この中毒に冒された人は,往々にして真の,永遠に価値あるものをすべて失ってしまうのです。

    ある社会評論家はこう述べています。「家庭,学校,教会は,社交や価値観を学ぶ大切な場であったが,いつの間にかテレビがその役割を奪った。……貧欲どんよく,肉欲,暴力,際限のない自己満足,道徳的な節度の喪失一それが毎日ごちそうのように,うっとりするほどきれいに盛りつけられて,子供の前に出される。」3

    今日のポピュラー音楽や,音楽ビデオと呼ばれる新手の「芸術手法」に出てくる,暴力と性を感情的に描いた歌詞に注意しなければなりません。業界関係者によれば,音楽ビデオの視聴者の40パーセントは18歳未満の青少年です。4ストーリー性のある音楽ビデオでは,4分の3近くが性的な映像を使い,半数近くが暴力シーンを含んでいるという報告もあります。5しかも登場するファッションは「徳高いこと,好ましいこと,あるいは誉れあることや称賛に値すること」からまったくかけ離れているのです。現代は間違いなく「悪を呼んで善といい,善を呼んで悪とい〔う〕」時代です(イザヤ5:20)。

    繰り返し申し上げます。悪魔が最大の標的にしているのは家族です。したがって,最も重点的に守る必要があるのは家族なのです。以前にお話ししたように,長期的な視野に立って悪魔の狡猜な策略を考えてみると,家族を攻撃するのは理にかなっています。悪魔は主の業をくじくために,世界中のピーナツバターに毒を混ぜて,宣教師の働きを挫折ざせつさせるようなことはしません。モルモンタバナクル合唱団を苦しめるために,のど風邪を流行させるようなこともしません。教会員が好きなゼリーやキャセロールを禁止する法律を作ったりもしません。神の業の根幹を攻撃し,混乱させたいなら,悪魔は家族を攻撃します。貞潔の律法を軽んじさせ,性別を混乱させ,暴力に慣れさせ,乱暴な言葉や不敬な言葉にまひさせ,不道徳な逸脱行為は当たり前と思い込ませるのです。

    「善人が何もしなければ,それだけで,必ず悪が勝利を収める」と語ったエドマンド・バークの言葉を覚えておきましょう。6 この風潮に反対するために,世界中の同じ問題意識を持つ人々とともに声を上げる必要があります。有害なメディアのスポンサーに,「もうたくさんです」と言う必要があります。前向きな,人を高める番組や作品を支持しなければなりません。同じ問題意識を持つ隣i人や友人と力を合わせて,スポンサーに明確なメッセージを伝えましょう。インターネットのウェブサイトあるいは地元の関連団体に聞けば,スポンサーの連絡先が分かるでしょう。手紙やEメールは想像以上の効果を発揮します。特に扶助協会の一人の姉妹が書いた次のような手紙は強力です。わたしは100人以上の女性が毎週集まるグループの代表です。貴社の提供番組は子供に有害だということが,よく話題に上っています。」

    もちろん,有害なメディアに反対する最も基本的な方法は,鑑賞しない,見ない,読まない,再生しない,です。青少年に向けた大管長会の勧告に従うよう,家族に教える必要があります。娯楽とメディァに関して大管長会が与えた勧告は非常に明確です。冊子『若人の強さのために』の中に,このように記されています。

    「いかなる形であれ,下品で,暴力的な娯楽,また,不道徳で,わいせつな娯楽に心や,目を向けたり,加わったりしないでください。不道徳や暴力行為を少しでも受け入れられるものとして扱っている娯楽には加わらないでください。… …

    天の御父の標準に合わない内容に出会ったときには,映画鑑賞会やビデオパーティーから立ち去り,コンピューターやテレビのスイッチを切り,ラジオの番組を替え,雑誌を閉じる勇気を持ってください。」7

    兄弟姉妹の皆さん,利用されないでください。操られないでください。伝統的な家族観を侮辱する番組を支援しないでください。最初は小さな声かもしれませんが,声を上げて,人を高め励まし,喜んで受け入れられるメディァを応援しましょう。

    反対の声を上げる以外にも,有害なメディアの影響を最小限に抑えるために,すべての親が実行できる7つの事柄を紹介して,話を締めくくりたいと思います。

    1.家族会議を開いて,メディアの標準を決めます。

    2.子供と有意義に過ごす時間を十分に取り,メディアや友人ではなく,親が子供の生活に最も影響を与えられる存在となります。

    3.親自身が正しくメディアを選択し,子供の模範となります。

    4.テレビ,ビデオゲーム,インターネットに1日何時間まで使えるか,上限を決めます。仮想現実を子供の現実にさせてはなりません。

    5.見てはならないものを「偶然に」見ることのないように,インターネットフィルターや,暴力や性表現などを含む一定の番組を自動的に遮断できる装置を活用します。

    6.テレビやコンピューターを寝室や個室にではなく,家族がよく集まる部屋に設置します。

    7,子供と一緒に適切なメディァを鑑賞する時問を取り,堕落や崩壊ではなく,向上や成長につながるメディアを選択することについて話し合います。

    神の祝福によって,メディアの流れを暗闇くらやみから真理と光に向かわせるため,一人一人に行動を起こす勇気と知恵が授けられますように。わたしたちの家族が強められ,福音に忠実でいられますよう,神が祝福してくださいますに。イエス・キリストの御名みなによって,へりくだりお祈りします。アーメン。

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      1. .「家族一世界への宣言」『聖徒の道』1998年10月号,24

      2. .デール・クンケルほか,Sex on TV 2003: A Biennial Report to the Kaiser Family Foundation (2003年),40参照

      3. .ズビニュー・プルゼジンスキー “Weak Ramparts of the Permissive West” ネーサン・P・ガーデルズ編,At the Century’s End: Great Minds Reflect on Our Time 1995年)、53で引用。

      4. .National Institute on Media and the Family, “Fact Sheet,” Internet, http://www.media-family.org/facts/facts_mtv.shtml 参照

      5. .バリー・L・シャーマンとジョセフ・R・ドミニク“Violence and Sex in Music and Videos: TV and Rock ’n’ Roll.” Journal of Communication,1986年冬号,79-93参照

      6. .ジョン・バートレット編,Familiar Quotations, 第15版(1980年),ix

      7. .『若人の強さのために』(2001年)17,19