2000–2009
証という錨
2008年4月


証 あかし という錨いかり

祈り,研究,戒めへの従順というパターンに従って皆さんの信仰を強めてください。

アジアに住んでいたころ,美しいすいれんに覆われた池をたくさん見ました。すいれんの花は,濁った池に穏やかな美しさを添え,甘い香りを漂わせていました。すいれんの葉は水面に浮かんでいましたが,長くて頑丈な茎が錨の役目を果たしているので,どの葉もそれぞれの場所にとどまっていました。茎が伸び続けるおかげで,大雨が降って池の水位が上がっても,花の安定を保っていました。

わたしの愛する若い姉妹の皆さん,皆さんはあの美しい花のようです。皆さんのはつらつとした姿,清らかさ,美しさのおかげで,わたしたちの生活も,皆さんの家族の生活もより良いものになっています。皆さんが生活するこの世界はチャレンジに満ち,誘惑や試練で濁っていますが,それでも皆さんはイエス・キリストについての証を錨とすることができます。主イエス・キリストを信じる信仰は皆さんの証を強め,はぐくみ,皆さんは世の悪よりも高く伸びて行き,義にかなった場所にとどまることができるでしょう。

錨とは,「不確実な状況にあって安定や確信の源となるもの」1と定義されています。皆さんの証は錨となって,不確実な世の中にあって主の戒めを守るに当たり「確固として,揺らぐことなく」2 立つ確信を与えてくれるでしょう。

現在,皆さんの証はすいれんの茎のように伸び盛りです。皆さんの信仰は,皆さんの証をはぐくみ,薬物や不道徳,ポルノグラフィー,慎みのなさで濁ったこの世のチャレンジや誘惑に直面したときでさえも,証を強く保ってくれるでしょう。

「信仰は神からの賜物ですが,強い信仰を持ち続けるためには信仰を養い育てていかなければなりません。……信仰の賜物はイエス・キリストの御名により天の御父に祈ることによって養い育てることができます。……戒めを守ることによって信仰を強めることができます。……聖文と末日の預言者の言葉を研究することによって信仰をはぐくむこともできます。」3

わたしは慎み深い服装について疑問を抱いていた若い女性たちを知っています。その疑問に対する答えを見つけるために,彼女たちはまさにこのパターンに従いました。天の御父に祈り,聖文と末日の預言者の言葉を研究し,慎み深さの標準に従って生活しました。そして疑問に対する答えを受けると,彼女たちの信仰は増し,証が強められました。このパターンに従うように,皆さん一人一人にお勧めします。

第1に,天の御父に祈ります。疑問に対する答えが見つかるように助けを祈り求めます。

わたしたちの預言者,トーマス・S・モンソン大管長は大管長として最初の記者会見でこのように述べました。

「若い人々が見いだせる人生の疑問への最良の答えは,時に,彼らがひざまずいて天の御父に呼び求めるときに〔得られ〕ます。

主が心にかけ,祈りにこたえてくださることを覚えていれば,彼らは直面するすべてのチャレンジに対処することができるでしょう。」4 祈りは皆さんの信仰を強め,皆さんの証の錨になるでしょう。

祈ることに加えて,信仰について聖文から研究しましょう。アルマ書第32章27節は皆さんが信仰を増すプロセスを学び始めるには絶好の箇所です。「しかし見よ,もしあなたがたが目を覚まし,能力を尽くしてわたしの言葉を試し,ごくわずかな信仰でも働かせようとするならば,たとえ信じようとする望みを持つだけでもよい。わたしの言葉の一部分でも受け入れることができるほどの信仰になるまで,その望みを育ててゆけ。」

皆さんは自分の信仰を増すためにアルマの言葉を進んで試したいと思いますか。ごくわずかな信仰でも働かせることができますか。信じようとする望みを持っていますか。

皆さんが聖文から学ぶときに,主が御自身の御霊で皆さんを祝福してくださること,そして今夜話してくれた若い女性たちのように,皆さんの理解力に光が注がれることを知っています。聖文は皆さんの信仰を増し,皆さんの証の錨となるでしょう。

末日の預言者の言葉を研究することからも皆さんの信仰は増します。「生ける預言者は常に信頼することができます。預言者の教えは主の御心を反映してい〔て〕」5皆さんの証の錨となるでしょう。

末日の預言者の一人,スペンサー・W・キンボール大管長は「確固として揺るぎなく」あるための道しるべを立てるように青少年に勧めました。こう述べています。「教会の若人は自分たちの進む道を示す道しるべを立てるべきである。道しるべには2種類あって,一つは『わたしがすること』,もう一つは『わたしがしないこと』である。……ごく早い時期から,若人は計画に従って生活すべきである。……そのように進路を設定し,目標が決まっていれば,多くの誘惑に逆らい,初めてのたばこに『いいえ』と言うのも,初めての酒に『いいえ』と言うのも,……ついには不道徳な行為に陥ってしまいそうなことに『いいえ』と言うのも容易なことである。」6

わたしたちにはこれらの道しるべを立てるためのすばらしい道具があります。『若人の強さのために』です。この冊子には末日の預言者の言葉があります。キンボール大管長が述べた「道しるべ」,すなわち「わたしがすること」と「わたしがしないこと」がこの冊子に述べられています。

預言者の言葉を読むだけでは十分ではありません。先ほどのパターンの最後のステップに従って「これらの標準に従い聖文にある真理を守って生活〔し〕」7なければなりません。ここが困難なところですが,自分がすることとしないことを前もって考え,それに従って生活すれば,皆さんにはきっとできます。

信仰は行動の源です。『若人の強さのために』の預言者の言葉を研究し,行動した若い女性についてお話ししましょう。彼女たちはよく考え,自分がすることとしないことを決め,その決意に従って生活しました。

『若人の強さのために』の中の指針にはこのようなものがあります。「あなたは,自分の体がどれほど尊いか知っていることを,服装と外見を通して主に示すことができます。あなたは自分がイエス・キリストの弟子であることを示せるのです。」8

この言葉を研究したとき,一人の若い女性は,自分が持っている服の中には慎み深さの点で完全とは言えないものがあることに気づきました。祈りと聖文研究を通して,彼女は自分がイエス・キリストの弟子であることを思い起こし,主の代表者として変わる必要があると感じました。彼女は誘惑になる服を持ちたくないと思い,クローゼットやたんすを全部調べて慎みに欠ける服をすべて処分しました。彼女はこう言いました。「着るべきでないと自分で分かる服はどんな服でも店で試着しない方が賢明です。わざわざ誘惑される必要はないんです。」この固い決意によって彼女は自分の体を敬うことを主に示し,慎み深さに関する道しるべを深く打ち込んだのです。

同じクラスにいたもう一人の若い女性は,自分の服の選び方が妹にも影響していることに気づきました。『若人の強さのために』にはこうあります。「あなたの服装や身だしなみはあなたについてのメッセージを人々に伝え,自分や周囲の人々の行いに影響を与えます。」9彼女は妹の良い模範となる責任があることに気づき,服装を変えることにしました。そして,慎み深さという道しるべをいっそう深く打ち込み,妹の服の選び方に良い影響を与えたのです。

「娯楽とメディア」に関する標準では,わたしたちにこう教えています。「自分を高める娯楽やメディアだけを選んでください。ふさわしい娯楽は良い思いや義にかなった選択をする助けになり……ます。」10わたしが知っている若い女性とその妹は,あるCDを聴いていたときに,その歌詞が人を高めるものでも,良い思いをもたらすものでもないことに気づきました。二人は顔を見合わせ,その種の音楽を聴くべきでないと御霊を通して実感しました。姉の方が金づちを出して来て,二人でCDを粉々にしました。二人は以前に音楽に関する道しるべを立てていました。二人は自分たちが聴く音楽と聴かない音楽をはっきりと知っていました。そして聖霊の促しに従うことによって,あらかじめ決めていたことに従うことができました。このささいな行いによって二人は強められ,もっと困難な状況の中でも従う自信を得ることができました。

別の若い女性も自分の生活の道しるべを決めました。その一つは,どのような状況に置かれても安息日を聖きよく保つことでした。家族とともにバプテスマを受けて教会員になって1年が過ぎたとき,彼女のワードは分割されました。彼女の家族は新しく組織されたワードに行くことになり,新しいワードに出席する若い女性は彼女一人でした。両親はこの変更を拒んで教会に行かなくなりましたが,彼女は「安息日を守る」ことについて『若人の強さのために』に書かれている指針に従いたいと思い,たとえそれが独りぼっちですべての集会に出ることを意味したとしても,できるかぎりいつも新しいワードに行くと決意しました。

日曜日は聖文を読み, 『成長するわたし』に取り組みました。「確固として揺らぐことなく」安息日を守るという彼女の決意は母親と妹の心を動かし,彼女たちは再び教会に出席するようになりました。彼女の母親は,福音に従う娘の確固とした模範により,また娘の正しい行いを見ることにより,下の娘とともに再び活発に教会に集うようになったと証しています。

「自分に信仰があるかどうかは自分の行動,生き方を通して表します。」11これらの若い女性の生き方は彼女たちの信仰を表しています。そして,彼女たちの信仰と模範的な生活が結果として良い業となったことに注目してください。姉が妹を祝福し,娘が母親を教会に連れ戻したのです。

皆さんの中には,自分は濁った池の上に伸びることはできない,自分が置かれている状況は大変すぎる,試練が苦しすぎる,誘惑が大きすぎると感じている人もいるかもしれません。でも,アルマの約束を思い出してください。「神に頼る者はだれであろうと,試練や災難や苦難の中にあって支えられ,また終わりの日に高く上げられる……。」12 すいれんの茎は逆境の中で生長することを忘れないでください。茎がすいれんを持ち上げるように,皆さんの信仰は皆さんを支え,引き上げてくれます。

わたしの愛する若い姉妹の皆さん,イエス・キリストについての証が皆さんの錨です。祈り,研究,戒めへの従順というパターンに従って皆さんの信仰を強めてください。自分がすることとしないことを今決断し,その決定に従って行動することにより,道しるべを打ち込んでください。

わたしは証します。主は皆さん一人一人を愛しておられ,「確固として揺らぐことなく」あるために努力する皆さんを祝福してくださいます。イエス・キリストの福音は真実です。イエス・キリストについての知識と証は皆さんの堅固な錨となります。そして皆さんが真理と義を支持するときに,皆さんは自分の場所にとどまることができるようになるでしょう。これらのことをイエス・キリストの御名によってへりくだり証します。アーメン。

  1. Apple Computer Inc. Dictionary,バージョン1.0.1,“anchor”の項

  2. モーサヤ5:15

  3. 『真理を守る──福音の参考資料』112

  4. “16th President Fields Questions from Media,” Church News,2008年2月9日付,15

  5. 『真理を守る』190

  6. スペンサー・W・キンボール『赦しの奇跡』235-236

  7. 『若人の強さのために』2

  8. 『若人の強さのために』14

  9. 『若人の強さのために』14-15

  10. 『若人の強さのために』17

  11. 『真理を守る』111.

  12. アルマ36:3