2010–2019
聖霊はどのように助けてくださるでしょうか
2017年4月


聖霊はどのように助けてくださるでしょうか

聖霊は警告し,慰め,証してくださいます。

先日,月曜の夜に妻のリサと近所の若い家族のお宅に立ち寄りました。訪問中,9歳の息子がレッスンを準備しているので家庭の夕べに参加しませんかと誘われました。もちろん,参加しました。

開会の歌と祈り,家族の調整が済んだ後,その9歳の子はまず,自分の手書きのレッスンにある「聖霊はどのように助けてくださいますか」という洞察に満ちた質問を読み上げました。この質問をきっかけに,皆が考えや気づいたことを分かち合い,有意義な家族の話し合いが始まりました。わたしはこの教師のレッスンの準備と質問の良さに感動しました。そして,この質問について,何度も考えました。

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手書きの家庭の夕べのレッスン

それ以来,「聖霊はどのように助けてくださるだろうか」と自問し続けたのです。この質問は,バプテスマの準備をしている8歳になる初等協会の子供たちや,最近バプテスマを受け,聖霊の賜物を受けたばかりの子供たちには,特に大切な質問となります。また,多くの新会員にとっても重要な質問です。

特に初等協会の皆さん,「聖霊はどのように助けてくださいますか」という質問について考えてみてください。この質問について考えると,すぐに青少年のころの自分の経験を思い出しました。この話は,わたしが十二使徒定員会に召されて間もなくロバート・D・ヘイルズ長老に伝え,ヘイルズ長老がわたしの半生について書いた教会機関誌の記事に含まれていたため,1聞いたことがある人がいるかもしれません。

11歳くらいのある夏の暑い日に,わたしは家の近くの山に父とハイキングに行きました。父が急な山道を登る中,わたしは道の脇にある岩の間を飛び移りながら進んでいました。大きな岩に登ろうと,その岩の頂上を目指して登り始めると,驚いたことに父にベルトをつかまれて素早く引きずり降ろされ,こう言われました。「あの岩に登っちゃだめだ。このまま先に進もう。」

数分後,その道をずっと高い所から見下ろすと,わたしが登ろうとしていた岩の上でガラガラヘビが日光浴をしているのが見え,あぜんとしました。

それから帰りの車の中で,聞かれるのを待っているかのような様子の父に,「ヘビがあそこにいるって,どうして分かったの」と尋ねると,父は,聖霊について,また聖霊がどのように助けてくださるかについて話してくれました。その日学んだことは今でも忘れていません。

聖霊はどのように助けてくださったのでしょうか。父が聖霊の静かなささやきに耳を傾けてくれたことに一生感謝します。わたしの命にかかわっていたかもしれないからです。

聖霊について知っていること

「聖霊はどのように助けてくださいますか」という質問についてさらに考える前に,聖霊について主が明らかにされたことを幾つか復習しましょう。関連する永遠の真理は多くありますが,今日は3つだけ取り上げます。

まず,聖霊は神会の第三の御方です。この真理は,信仰箇条第1条から学ぶことができます。「わたしたちは,永遠の父なる神と,その御子イエス・キリストと,聖霊とを信じる。」2

次に,現代の聖文に記されているように,聖霊は霊の御方です。「御父は人間の体と同じように触れることのできる骨肉の体を持っておられる。御子も同様である。しかし,聖霊は骨肉の体を持たず,霊の御方であられる。もしそうでなければ,聖霊はわたしたちの内にとどまり得ない。」3これは,肉体をお持ちの父なる神やイエス・キリストとは異なり,聖霊は霊の体をお持ちだということを意味しています。この真理は,聖霊に与えられている聞き慣れたほかの名前についても明確にしてくれています。聖なる御霊,神の御霊,主の御霊,約束の聖なる御霊,慰め主などです。4

第三に,聖霊の賜物は,按手によって授けられます。バプテスマの後に行うこの儀式により,聖霊を常に伴侶とする資格が与えられます。5この儀式を行うには,ふさわしいメルキゼデク神権者がそれを受ける人の頭に手を置き,その人の名前を呼び,神権の権能を宣言し,6イエス・キリストの御名によりその人を末日聖徒イエス・キリスト教会の会員に確認し,「聖霊を受けなさい」という重要な言葉を告げます。

聖霊はどのように助けてくださるでしょうか

聖霊に関する3つの重要な真理を簡単に確認したので,最初の質問に戻ります。「聖霊はどのように助けてくださいますか。」

聖霊は警告される

先ほどお話しした子供のころの経験のように,聖霊は,肉体的,霊的な危険が及ぶ前に警告を発して助けてくださいます。地域会長会として日本での召しを果たしていたときに,警告するという聖霊の重要な役割について再度学びました。

この時期,わたしは日本仙台伝道部のリード・建岡会長と協力して働いていました。建岡会長はスケジュールに沿って,伝道部の南のエリアにいる宣教師のリーダーたちとの集会を計画していました。集会の数日前,建岡会長はある印象,つまりある気持ちを感じました。指導的立場にいる限られた少数の長老,姉妹だけでなく,そのゾーンで働くすべての宣教師をその指導者集会に招くべきだと感じたのです。

その意思を伝えると,この集会の対象は全宣教師ではなく,宣教師のリーダーだけだと進言されました。しかし,建岡会長は受けた促しに従って集会の通常の規定を脇に置き,福島市や沿岸部の町で奉仕するすべての宣教師を招きました。2011年3月11日当日,宣教師たちは,郡山という内陸の町で開かれたいつもより大きな伝道集会に集まりました。

この集会の最中に,日本仙台伝道部の地域をマグニチュード9.0の地震と津波が襲いました。痛ましくも,沿岸部の町は壊滅的な被害を受け,多数の犠牲者が出ました。大会に集まった宣教師の伝道地もその中に含まれていました。その後,福島市はさらに原発事故の影響を受けました。

その日に宣教師が集まった集会所は地震により損傷を受けたものの,聖霊の促しに従ったおかげで,建岡伝道部会長夫妻と集まった宣教師は全員無事でした。彼らは,津波による壊滅的な被害と核汚染から遠く離れた安全な場所にいたのです。

多くの場合,静かな印象として与えられる聖霊の促しに耳を傾けるときに,それとは知らずに霊的,また物質的な危機から逃れられることがあります。

兄弟姉妹の皆さん,聖霊は,わたしの父や建岡会長に警告したように皆さんのことも警告を通して助けてくださいます。

聖霊は慰めてくださる

引き続き「聖霊はどのように助けてくださいますか」という質問に答えるため,次は慰め主としての聖霊の役割について考えましょう。生活における予期せぬ出来事は悲しみや苦痛,落胆をもたらします。しかし,その試練のさなかに,聖霊は慰め主として,その名のとおり重要な役割を果たしてくださいます。イエス・キリストのこの穏やかで心強い言葉は,この神聖な役割について述べています。「わたしは父にお願いしよう。そうすれば,父は別に助け主を送って,いつまでもあなたがたと共におらせて下さるであろう。」7

さらに詳しく説明するために,何年も前にアメリカ合衆国カリフォルニア州のロサンゼルスから小さな町に引っ越した,5人の息子を持つ家族の実話を紹介します。長男と次男は高校で運動部に入り,友人や指導者,コーチと交流を深めました。その多くは,忠実な教会員でした。そのような交友関係をきっかけに,長男のフェルナンドとすぐ下の弟はバプテスマを受けました。

フェルナンドはその後一人暮らしを始め,大学に進学し,フットボールチームに入りました。高校時代の恋人,ベイリーと神殿で結婚し,大学を卒業するときには,初めての赤ちゃんである女の子の誕生を待ちわびていました。ところが,フェルナンドとベイリーの家族が彼らの引っ越しを手伝っている最中,ベイリーと妹は高速道路で何台もの車を巻き込んだ事故に遭い,痛ましいことにベイリーとおなかの赤ちゃんの命は奪われてしまったのです。

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フェルナンドとベイリー

言うまでもなくフェルナンド自身やベイリーの両親,きょうだいは,深い苦痛を感じていましたが,それとは対照的な深い平安と慰めもほぼ同時に受けていました。聖霊は慰め主として,理解の及ばないこの苦難のさなかに,確かにフェルナンドを支えてくださったのです。御霊から絶え間ない平安を受けたことにより,フェルナンドはこの悲惨な事故にかかわった人々に対して,赦しと愛の精神を示すことができました。

ベイリーの両親は,事故当時宣教師として奉仕していた弟に電話をしました。その弟は後に,愛する姉についてのつらい知らせを聞いたときの気持ちを家族にあてた手紙につづっています。「つらい試練のさなかだというのにみんなの声があまりにも穏やかで驚きました。わたしは言葉もなく……ただ,家に帰ってもお姉さんがいないんだと思いました。……救い主と主の計画に対する,みんなの確固とした証に慰められました。福音を研究し,教えるときと同じ優しい御霊で心が満たされ,涙がこぼれそうでした。慰めを受け,自分が知っていることを思い起こすことができました。」8

兄弟姉妹の皆さん,フェルナンドとベイリーの家族を慰められたように,聖霊は皆さんのことも慰めてくださいます。

聖霊は証される

聖霊はまた,御父と御子とあらゆる真理について証されます。9主は弟子たちにこのように言われました。「わたしが父のみもとからあなたがたにつかわそうとしている助け主……が下る時,それはわたしについてあかしをするであろう。」10

証人としての聖霊の重要な役割について説明するために,フェルナンドとベイリーの話を続けましょう。お話ししたように,フェルナンドと弟はバプテスマを受けましたが,両親と3人の弟たちは受けていませんでした。何年かにわたって,宣教師に会わないかという誘いを何度も受けたものの,家族はその度に断っていたのです。

ベイリーと,おなかの赤ちゃんが痛ましい死を遂げ,フェルナンドの家族は癒しを受けられずにいました。フェルナンド自身やベイリーの家族とは異なり,慰めも平安も見いだせなかったのです。息子とベイリーの家族がなぜこのような重荷に耐えられるのか理解できませんでした。

やがて彼らは,息子にあって自分たちにないものは回復されたイエス・キリストの福音であり,それこそが息子の平安と慰めの源に違いないと結論づけました。そのことに気づいた一家は,宣教師を招いて福音を学ぶことにしました。その結果,偉大な幸福の計画についての証を受け,彼らが心から望んでいた,温かい平安と穏やかな慰めがもたらされたのです。

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フェルナンドの家族のバプテスマ

ベイリーと生まれるはずだった孫娘が亡くなって2か月後,フェルナンドの両親と二人の弟はバプテスマと確認の儀式を受け,聖霊の賜物を授けられました。フェルナンドのいちばん下の弟は,8歳になってバプテスマを受けるのを楽しみにしています。彼らは一人一人,御霊,つまり聖霊が,福音が真実だと証してくださり,バプテスマと聖霊の賜物を受けたいと願うようになったと証しました。

兄弟姉妹の皆さん,聖霊は,フェルナンドの家族に証されたように,皆さんにも証してくださいます。

まとめ

では,まとめましょう。まず,聖霊について明らかにされている3つの真理についてお話ししました。聖霊は神会の第三の御方であられ,霊の御方で,聖霊の賜物は按手により授けられるという真理です。また,「聖霊はどのように助けてくださいますか」という質問の答えを3つ挙げました。聖霊は警告し,慰め,証してくださいます。

賜物を保つためのふさわしさ

バプテスマと確認に備えている人や,最近,あるいは随分前にバプテスマと確認を受けた人が,肉体的,霊的な安全を維持するためには,聖霊の賜物を保たなければなりません。まず戒めを守り,個人と家族の祈りをささげ,聖文を読み,家族や愛する人々との間に愛と赦しの関係を築くために努めます。徳のある思いや行動,言葉遣いを保たなければなりません。家庭や教会,可能なときには聖なる神殿で,天の御父を礼拝しなければなりません。御霊の近くにいれば,御霊も近くにいてくださいます。

最後に,勧めと証を添えて終わります。初等協会の子供たちがよく歌う歌の歌詞にあるような生活をしましょう。「耳を澄まして よく聴いてそっと 小さな ささやきの声を 御霊の声を」11

あらゆる年代の愛する兄弟姉妹の皆さん,神会を構成する栄えある聖なる御三方,すなわち父なる神とイエス・キリスト,聖霊について証します。時満ちる神権時代に生きる末日聖徒が享受している特権の一つは,聖霊の賜物であることを証します。聖霊は皆さんを必ず助けてくださいます。イエス・キリストと,その救い主,贖い主としての役割について,また神がわたしたちの天の御父であられることについて,わたしの特別な証を付け加えます。イエス・キリストの御名により,アーメン。