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第8課:家族の財政を管理する


第8課

家族の財政を管理する

目 的

参加者に家計管理の確かな原則を実践させる。

準 備

  1. 「教師としてのあなたの責任」(本書 ixxi)にある原則を応用する方法を検討する。

  2. この課の太字の見出しを読む。これらの見出しはこの課での教義と原則が要約されている。さらに,『結婚と家族関係参加者用学習ガイド』の29-32ページにあるN・エルドン・タナー副管長の説教「不変の原則」を入念に研究する。この説教で採り上げられている原則が本課の中心となる。準備の一部として1週間を通しこれらの原則を思い巡らす。参加者の必要に合ったレッスンを行うには何を強調すればよいかを御霊みたまの導きを求めながら決める。

  3. クラスに『結婚と家族関係参加者用学習ガイド』を持参するよう参加者に言う。レッスンの間に参加者はタナー副管長の説教を参照することになる。

  4. マービン・J・アシュトン「家庭における財政管理の指針」『リアホナ』2000年4月号,42-47を参照し,レッスンの一部として使うことを検討する。

  5. 36ページにある参考資料を利用する場合は,各参加者のために紙とペンまたは鉛筆を用意する。

レッスンの進め方の提案

適切な財政管理は幸福な結婚生活に不可欠である

一組の夫婦に前に出てきてもらう(だれにするかは慎重に決める)。ささいなことによって夫婦関係が強まったり,逆に夫婦間に深刻な問題を生じたりすると説明し,1枚の紙幣を見せる。

前に出てきてもらった夫婦のうちの一人にその紙幣を渡す。

  • 夫または妻のうちの一人だけが家族の財政を管理することは,夫婦関係にどのような影響を与えるだろうか。

参加者がこの質問について話し合った後,紙幣を返してもらう。

  • だれも家計を管理していない,あるいは家計が利子を伴う借金によって管理されているとき,夫婦関係はどのような影響を受けるだろうか。

この質問について話し合った後,紙幣を再び渡す。夫にその紙幣を手で持ってもらい,紙幣を持った夫の手の上に妻の手を置いてもらう。家計管理は愛にあふれた夫婦関係のための最も大切なかぎではないが,夫婦が協力して家計を管理するとき,彼らは自分たちの家庭を整えるための大切な取り組みにおいて一つとなるのである。また,難しい問題を防ぐこともできる。結婚生活における最も深刻な問題の幾つかは,家計管理がずさんで家族のために行われていないときに生じるものである。

  • 夫婦が協力して家計を管理するとき,夫婦関係はどのように強められるだろうか。

夫婦は協力して家計管理の基本原則に従うようにすべきである

参加者に『結婚と家族関係参加者用学習ガイド』の29-32ページを開かせる。「不変の原則」と題した説教に簡単に目を通してもらい,N・エルドン・タナー副管長の「経済的な安定を図るための5原則」を見つけさせる。参加者が原則を見つけたら,それらを黒板に書き出す。

正直に什分じゅうぶんの一を納める。

収入の範囲内で生活する。

欲しい物と必要な物を区別する。

予算を組んで,その範囲内で生活する。

金銭上の事柄に正直になる。

5つの原則すべてを黒板に書いた後,以下の資料を用いてそれらについての話し合いを進める。

正直に什分じゅうぶんの一を納める

参加者の一人にタナー副管長の以下の言葉を読んでもらう(『結婚と家族関係参加者用学習ガイド』30)。

什分じゅうぶんの一を納めることは戒めであり,しかも,約束を伴う戒めです。この戒めを守るならば『地で栄える』と約束されているのです。この繁栄は物質的なものだけに限りません。健康や活気に満ちた精神も含みます。家族の一致や霊性の向上も含まれます。現在,完全な什分の一を納めていない方々は,納める信仰と強さを求めていただきたいと思います。あなたの創造主に対してこの義務を遂行するとき,実に豊かな祝福を見いだすことでしょう。それは,この戒めに忠実な人でなければ味わうことのできない祝福です。」(『聖徒の道』1980年3月号,115)

  • 什分じゅうぶんの一を納めることによって,あなたの家族またはあなたが知っている人々はどのような祝福を受けてきただろうか。

収入の範囲内で生活する

参加者の一人にタナー副管長の以下の言葉を読んでもらう(『結婚と家族関係参加者用学習ガイド』30)。

「わたしが気づいたのは,人は使える以上のお金を得ることなどできないということです。人に心の平安を与えてくれるのは稼ぐお金の額ではなく,そのお金を管理することであると,わたしは確信しています。お金は従順なしもべになり得ますが,また厳しい主人にもなります。生活水準を幾らかゆとりのある程度に抑える人は,自分の環境を支配しています。一方,幾らか収入を超えて使う人は,環境に支配されています。そのような人は束縛の状態にあります。ヒーバー・J・グラント大管長はかつて次のように述べました。『人間の心の中に,また家族の中に平安と満足を与えるものが一つあるとすれば,それは収入の範囲内で生活することです。反対に,苦痛を与え,望みをくじき,落胆させるものが一つあるとすれば,それは返せない借金や負債を抱えることです。』(Gospel StandardsG・ホーマー・ダラム編〔1941年〕,111)

出費を収入の範囲内に抑えるかぎは簡単です。それは自制と呼ばれています。人生では遅かれ早かれ,わたしたちは皆,自分自身を制し,自分の欲望や経済的な欲求を制することを学ばなければなりません。出費を収入の範囲内に抑えることを学び,思いがけないときのために幾らかの蓄えを残す人は何と祝福されていることでしょう。」(『聖徒の道』1980年3月号,115参照)

第15代大管長ゴードン・B・ヒンクレーの以下の言葉を紹介する。

「家を整える時期が来ているということです。

教会員の中でぎりぎりの生活をしている人が多くいます。中には借金生活の人もいます。……

わたしが懸念しているのは,教会員も含めて国中に広がっている分割払いによる負債のことです。……

皆さんに強く申し上げたいのは,家計の状態をよく調べて支出を抑えることであり,購買欲を抑えて,借り入れをできるだけ避けるということです。負債はできるだけ早く返済して束縛から逃れてください。」(「若い兄弟たちに,そして成人の兄弟たちに」『リアホナ』1999年1月号,61-62

  • 借金はどのような点で束縛だろうか。

  • 借金から抜け出すために,あるいは借金を避けるためにあなたが実践して役立ったものにどのようなことがあるだろうか。収入の一部を貯蓄できるようにするために,あなたはどのようなことを行ってきただろうか。

欲しい物と必要な物を区別する

参加者の一人にタナー副管長の以下の言葉を読んでもらう(『結婚と家族関係参加者用学習ガイド』31)。

「わがままと粗雑な家計管理は,結婚生活に重大な心労を生じます。ほとんどの夫婦間の問題は経済的なことに根ざしているようです。家族を養うのに十分な収入がないか,または得た収入を正しく管理していないかのどちらかです。」(『聖徒の道』1980年3月号,115-116参照)

  • 必要な物と欲しい物を見分けるにはどうすればよいだろうか。夫婦がこれを一緒に行うことが不可欠なのはなぜだろうか。

予算を組んで,その範囲内で生活する

財源がどのようなものであるかにかかわらず,夫婦は皆協力して家族の予算を立てる必要があることを説明する。予算とは一定期間において計画された収入と支出の大要である。予算は家族が支出を確実に収入以下に抑えるのに役立つ。夫婦は必要な物,欲しい物,および財政目標を決定する際に,予算について話し合うべきである。例えば,次の1か月の収入を見積もった後,夫婦は什分じゅうぶんの一や教会のその他の献金,貯蓄,食費,住宅ローンや家賃など,それぞれの分野に用いる金額を決定する。そして1か月間,すべての収入と支出を記録する。大きな買い物など自分たちが立てた予算に影響を与える支出が生じたときには,事前に夫婦で話し合う。1か月が経過した後,実際の収入と支出を当初の予算計画と比較する。

参加者が予算の立て方を理解できるように,『結婚と家族関係参加者用学習ガイド』の33ページに掲載されている次ページの予算例を見てもらう。

参加者の一人にタナー副管長の以下の言葉を読んでもらう(『結婚と家族関係参加者用学習ガイド』32)。

「何年もの間,大勢の人々と面接してきて感じたことは,実行可能な予算を持たず,予算に添って自制していない人があまりにも多いということです。多くの人は,予算を立てると自由が奪われると考えています。反対に,成功している人々は,予算が真の経済的自由を可能にしてくれることを知っています。」(『聖徒の道』1980年3月号,117参照)

金銭上の事柄に正直になる

参加者の一人にタナー副管長の以下の言葉を読んでもらう(『結婚と家族関係参加者用学習ガイド』32)。

「誠実さの理想は決して流行遅れにはなりません。それはわたしたちの行動すべてに当てはまります。教会の指導者,また会員として,わたしたちは誠実さのひな型にならなければなりません。」(『聖徒の道』1980年3月号,117参照)

  • 金銭が関係したあらゆる行動において正直さが大切なのはなぜだろうか。家計管理において夫婦間の正直さが不可欠なのはなぜだろうか。

画像
予算

予算日付から日付まで

収入

予測

実績

手取り収入

その他の収入

収入合計

支出

予測

実績

什分の一

その他の教会への献金

定期預金

緊急時のための預金

食費

住宅ローンまたは家賃

公共料金

交通費

負債の支払い

保険料

医療費

衣服

その他

その他

その他

支出合計

結 び

夫婦が協力して家計を管理しなければならないことを強調する。参加者にレッスンで話し合った原則にどのくらい従っているかを考えてもらう。家計管理を改善するための計画を立てるように勧める。

御霊みたまの促しに従って,レッスンで話し合ったことが真実であることをあかしする。

『結婚と家族関係参加者用学習ガイド』の29-33ページを見てもらう。レッスンでの教義や原則を復習するため,参加者に以下を行うよう奨励する。(1)「応用のための提案」にある提案から少なくとも一つを行う。(2)N・エルドン・タナー副管長の説教「不変の原則」を読む。学習ガイドに掲載されている説教を夫婦でともに読んで話し合うことは,既婚者にとって大変有益であることを指摘する。

参考資料

「結婚と家族関係コース」第1部のレッスンの復習

「結婚と家族関係コース」の第1部は本課で終了である。あなたが第2部も担当するのであれば,以下の活動を利用するとよい。

各参加者に1枚の紙とペンまたは鉛筆を配布する。参加者に3分間与え,本コースの最初の8課から覚えている教義や原則を書き出させる。自分にとって最も意義深かった教義または原則に下線を引かせる。下線を引いた項目の幾つかについて話をする準備をしてもらう。助けが必要であれば,本書vviiページにある目次,あるいは『結婚と家族関係参加者用学習ガイド』viiviiiページにあるコースの概要を利用する。

3分後,各参加者に各自のリストから一つの項目を読ませ,それがなぜ特別な意味を持っているのかを説明させる。参加者の意見を黒板にまとめ,それぞれの意見の大切さに同意する。それから教師自身の意見を述べる。時間があれば,この活動を繰り返す。

参加者に,本コースの第1部への参加に対する感謝を述べる。本コースの第2部は,親が家族を強め,自身の責任に喜びを見いだす方法についての8つの課で構成されていることを説明する。参加者全員を引き続きクラスに出席するよう奨励する。