セミナリー・インスティテュート
第19課:信教の自由を守る


第19課

信教の自由を守る

はじめに

信教の自由とは,他の人たちの権利を尊重しながらも,自分たちの選択に応じて信じ行動する,つまり自分の本質を見極めて,自分の良心に従った方法で生活するための神聖な特権です(教義と聖約134:4参照)。このレッスンで生徒たちは,個人およびグループが神の教会を覆し,信教の権利と自由を攻撃しようとしたモルモン書の記述について学びます。生徒たちには,今日も信教の自由が守られ,保たれることが必要であることを思い起こしてもらいます。

背景となる読み物

教えるための提案

モーサヤ29:10-11,16-18,25-26,32アルマ30:7-9

自由意志と信教の自由の重要さ

この世に来る前,わたしたちが天上の会議に参加したことを生徒たちに思い出してもらいます。生徒たちに,この会議の主な目的と結果を幾つか挙げてもらいます。エズラ・タフト・ベンソン大管長(1899-1994年)の次の言葉を見せ,声に出して読みます。

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〔エズラ・タフト・ベンソン大管長の画像〕

「前世の会議における論点の中心は,『神の子供たちは,善であろうと悪であろうと自分が歩む道を選ぶ,拘束されることのない選択の自由を持つべきか,それとも,従順であるように強制され強要されるべきか』というものでした。キリストとキリストに従う全ての者は,最初の案,すなわち選択の自由を支持しました。サタンは後者,すなわち強制と強要を支持したのです。」(『歴代大管長の教え—エズラ・タフト・ベンソン』55

「聖文は,天で大きな戦い,すなわち自由の原則,選択の権利に関する争いがあったことを明らかにしています。」(『歴代大管長の教え—エズラ・タフト・ベンソン』56

「このことに関して天で始まった戦いはまだ終わっていません。その対立は死すべき世の戦場で続いているのです。」(『歴代大管長の教え—エズラ・タフト・ベンソン』56

  • 自由と選択に関する前世の争いが現世でも続いていることについて,どのような証拠を見たことがありますか。

  • サタンはなぜ自由を損なおうとするのでしょうか。

生徒たちが答えるときに,デビッド・O・マッケイ大管長(1873-1970年)による次の言葉を分ち合ってもよいでしょう。

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〔デビッド・O・マッケイ大管長の画像〕

「神が人に与えられた最も偉大な賜物は命ですが,それに次ぐ賜物はその命を管理する権利です。」(『歴代大管長の教え—デビッド・O・マッケイ』207

リーハイが約束の地に到着した後,ニーファイ人が何世紀もの間,王たちに統治されていたことを生徒たちに思い出してもらいます。しかし,モーサヤ王は,新しい政治体制を提案しました。生徒たちにモーサヤ29:10-11,16-18,25-26を研究し,モーサヤが新しい政治体制を提案した理由を探してもらいます。

  • モーサヤ王は,新しい政治体制を導入することを望む理由が何であると言いましたか。

さばきつかさの体制は,ニーファイ人の地域社会に自由を保つために適切かつ必要であったことを生徒たちに説明します。他の地域社会も,それらの政府のシステムは異なる方法で組織されてはいましたが,同様に自由の確立と保持を求めました。一人の生徒にモーサヤ29:32を声に出して読んでもらい,他の生徒にはモーサヤが民の自由を保ちたかった理由を探してもらいます。

  • ニーファイ人の自由を保つことが必要であったのはなぜですか。

  • わたしたちの権利と特権を保てるようにする責任を持つのは誰ですか。そのような保護はどのように達成できるでしょうか。

個人の自由を行使することは,地域の法律に従うという原則よりも優先されるべきではないことを説明します。

生徒たちに,アルマ30:7-9を読んで,新しいニーファイ人の政府によって保証された権利の一つを見つけてもらいます。

この節が,神への信仰または無信仰に基づいて他人を差別することを主が禁じておられることを示していると説明してもよいでしょう(教義と聖約134:4も参照)。

  • 信教の自由を守ることは,どのように社会の利益となりますか。

生徒たちがこの質問に答えられるよう,一人の生徒に次の記事を読んでもらいます。

「信教の自由,または良心の自由は,多様社会の健全性に必要不可欠です。これにより,異なる信仰と信念の発展が可能になります。信教の自由は,宗教的であるかどうかにかかわらず,最も弱い立場の人たちを含む,全てのグループと個人の権利を保護するのです。」(“Religious Freedom,” mormonnewsroom.org/official-statement/religious-freedom

生徒たちが信教の自由の基本的要素を理解することができるように,十二使徒定員会のロバート・D・ヘイルズ長老による次の言葉を見せて,それを一人の生徒に読んでもらいます。

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〔ロバート・D・ヘイルズ長老の画像〕

「わたしたちには末日聖徒として頼り,守るべき信教の自由の四つの隅石があります。

第1の隅石は,信じる自由です。……

信教の自由の第2の隅石は,自分の信仰や信条を人に伝える自由です。……

信教の自由の第3の隅石は,宗教団体や教会を結成する自由と,他の人々と争うことなく礼拝する自由です。……

信教の自由の第4の隅石は,信仰に生きる自由,つまり家庭や礼拝所だけでなく公の場でも信仰を行使する自由です。」(「選択の自由を保ち,信教の自由を守る」『リアホナ』2015年5月号,112)

次の文をホワイトボードに書いて,これら4つの隅石を要約します。

信じる,共有する,組織する,そして生きる自由。

  • これら4つの隅石のいずれかを制限することは,霊的な成長においてどのような妨げとなりますか。

  • あなたの人生は,これらの信教の自由の要素によって,どのような影響を受けましたか。

アルマ2:1-10,12,27-2844:1-546:4-5,10-16,19-22

信教の自由を保つ

ホワイトボードに次の参照聖句を書き,これらの節には信教の自由に対する脅威の例が記載されていることを説明します。

アルマ2:1-4

アルマ46:4-5,10

クラスの半分に最初の節を,残りの半分に2番目の節を研究するよう割り当てます。生徒たちに,信教の自由を脅かす人々の目的を見つけてもらいます。

  • これらの節によると,アムリサイとアマリキヤの目的は何でしたか。

  • 信教の自由を失うことは,これらの記述にある地域社会にどのように影響しましたか。

ホワイトボードの参照聖句に次の太字の部分を書き加えます。

アルマ2:1-4,5-10,12,27-28

アルマ46:4-5,10,11-16,19-22

読んだ節に書き加えられたこれらの節を生徒たちに読んでもらい,義にかなった人たちが信教の自由を守るために何をしたか見つけてもらいます。

  • これらの節からは,信教の自由を保つことの重要さについてどのような真理を学ぶことができますか。(生徒が次の真理を見いだすようにしてください。家族,信教,および自由を守るのはわたしたちの義務である。わたしたちが神を呼び求め,神の戒めを守る聖約を交わすとき,神はわたしたちを権利と信教を守るために強めてくださる。

時間があれば,クラスでアルマ44:1-5を読んで,ニーファイ人の信仰がゼラヘムナとレーマン人に対してニーファイ人をどのように強めたかについて話し合ってもよいでしょう。

  • モルモン書では,迫害および戦争によって信教の自由がしばしば脅かされました。今日,個人やグループが信教の自由を脅かしている例にはどのようなものがありますか。

この質問に答えるのに助けが必要な場合は,米国において信教の自由がますます脅威にさらされていること関する次の声明を読みます。この声明は特に米国内における問題を扱っていますが,他の多くの国々が信教の自由に対する同様の問題に直面していることを指摘します。(注—この記事は,一部の信教の自由がどのように批判されているかについての例を提供するためにのみ使用してください。これが同性愛者の権利やその他の政治的問題の話し合いにならないようにしてください。)

「信教の自由に対する批判が多くのところから持ち上がっています。同性愛者の権利の擁護の高まりは,さまざまな形で信教の自由を制限する脅威となっています。ヘルスケアにおける変化も,人命に関する道徳的信条を持つ人々の権利を脅かします。これらやその他の変化は,対立を生み,宗教団体と良心ある人々に難題を課し始めています。それらは,宗教団体がそれぞれの雇用と資産をどのように管理できるかを制限しようと……脅かしています。また,宗教団体の付属大学,学校,社会福祉組織を抑圧しつつあります。……このような,また,その他多くの状況下において,信教の自由と良心の自由が少しずつ,しかし着実に蝕まれている様子が分かります。」(“An Introduction to Religious Freedom,” mormonnewsroom.org/article/introduction-religious-freedom

教会では,全ての人が公平であることを提唱していると指摘します。信仰箇条第11条に従って,わたしたちは信教の自由における権利を,他の人々の権利と関心も尊重する公平かつバランスの取れた方法で主張しなければなりません(“Mormon Leaders Call for Laws That Protect Religious Freedom,” mormonnewsroom.org/article/church-news-conference-on-religious-freedom-and-nondiscrimination参照)。

一人の生徒に,預言者ジョセフ・F・スミス(1805-1844年)の次の言葉を声に出して読んでもらいます。

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〔預言者ジョセフ・スミスの画像〕

「もしこれまで『モルモン』のために進んで命を差し出すことが証明されてきたとするなら,わたしは自分が長老派,バプテスト,あるいは他の宗教の善良な人の権利を守るためにも同じように命を差し出す用意ができていることを,天の前にあえて宣言します。末日聖徒の権利を踏みにじる考え方は,ローマカトリックや,あるいは信者が少なく,自分たちを守る力を持たない宗教の権利をも踏みにじるものです。

わたしの心を鼓舞するのは,自由を愛する思いです。すなわち全人類が民事上と宗教上の自由を得ることです。」(『歴代大管長の教え—ジョセフ・スミス』345

  • 末日聖徒だけではなく,全ての人々の信教の自由を保護することが大切なのはなぜですか。(そのような保護は,他の人々が神の計画に従って自由意志を使い,平和で公正な社会を促進することを可能にする。自分の宗教的信条が守られ,尊重されることを望むならば,他の人たちの信条をも守り,尊重しなくてはならない。)

  • 信教の自由を保ち,強めるために実行することができる適切な行動には何がありますか。

この質問に答える助けとなるよう,一人の生徒にロバート・D・ヘイルズ長老の次の言葉を声に出して読んでもらいます。

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〔ロバート・D・ヘイルズ長老の画像〕

「兄弟姉妹,わたしたちにはこれらの神聖な自由と権利をわたしたち自身と子孫のために守る責任があります。では,わたしたちに何ができるでしょうか。

まず,情報を得ることができます。信教の自由に影響を与える可能性のある地域社会の問題に注意を払いましょう。

第2に,個々の立場で,同じように信教の自由に関心を寄せる人々と手を取り合って,信教の自由を守るために一緒に働きましょう。

第3に,言葉と行いにおいて,自分の信条の模範となる生活を送ってください。宗教について語るよりも,その教えに沿って生活する方がはるかに重要です。」(「選択の自由を保ち,信教の自由を守る」113)

  • あなたの地域では信教の自由に影響する問題をどのように認識することができますか。

  • あなたの地域で信教の自由に対する決意を共有するグループは他にありますか。

  • 信教の自由を促進するために何をしたことがありますか,または他の人がそのために何をしているのを見たことがありますか。

mormonnewsroom.orgで信教の自由についてのリソースを利用できることを生徒に伝えます。信教の自由を促進し,守るには何ができるかを考えるよう生徒たちに勧め,その取り組みにおいて天の御父が彼らを導いてくださることを証します。

生徒用資料