セミナリー・インスティテュート
第22課-実りある家庭を築く


第22課

実りある家庭を築く

はじめに

「家族—世界への宣言」は,両親が子供たちに教えるべき原則を述べています。この課では,「尊敬,……思いやり,労働,健全な娯楽活動」について子供たちに教えるという,両親の責任について話し合います。また「互いに愛し合い仕え合い,神の戒めを守り,……法律を守る市民」になるように子供たちを教えるという両親の義務についても話し合います。」(『リアホナ』2010年,129)これらの原則を教えることは,両親が実りある家庭を築く助けとなります。

背景となる読み物

教えるための提案

実りある家庭の原則

デビッド・O・マッケイ大管長(1873-1970年)の次の言葉を表示して,生徒たちがこの課を学ぶ準備をします。

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〔デビッド・O・マッケイ大管長の画像〕

「いかなる成功も家庭の失敗を償うことはできない。」(JE・マカロック,Home: The Savor of Civilization〔1924年〕,42から引用;Conference Report, 1935年4月,116)

  • このコースで学んできたことを考えると,実りある家庭を築く助けとなる幾つかの原則は何ですか。

この質問に答える助けとなるように,次の言葉を表示して読み上げます。「家族—世界への宣言」

「実りある結婚と家庭は,信仰と祈り,悔い改め,赦し,尊敬,愛,思いやり,労働,健全な娯楽活動の原則にのっとって確立され,維持されます。」

これらの原則のほとんどが,これまでのレッスンで話し合われてきたことを生徒たちに説明します。これまでに話し合われていない特質に重点を置くために,次のことをホワイトボードに書きます。

尊敬

思いやり

労働

健全な娯楽活動

生徒を小さいグループに分け,グループごとにこれらの特質の一つを割り当てます。次の質問について,グループごとに話し合ってもらいます。

尊敬

  • 両親が子供たちに尊敬を示すときに,家族の中にはどんな良いことが生じるでしょうか。子供たちが両親に尊敬を示すときはどうでしょうか。両親がお互いに尊敬を示すときはどうでしょうか。

  • あなたの家族の経験から,尊敬を示すことの模範として何か分かち合うことができますか。

思いやり

  • 両親が子供たちに自分たちの家族に対して思いやりを持つことを教える方法には,どんなものがあるでしょうか。

  • あなたの家族や知人の家族の経験から,思いやりについて教えることの模範として何か分かち合うことができますか。

労働

  • 労働はなぜ実りある家庭の一部なのでしょうか。

  • 自分の子供たちが労働に喜びと満足を見いだすために,両親はどのように助けることができるでしょうか。

  • あなたの家族や知人の家族の経験から,働くことを子供たちに教えている模範として何か分かち合うことができますか。

健全な娯楽活動

家族と一緒に過ごす時間が限られている場合には,最も価値のある活動を選ぶことが賢明だということをこのグループに話します。このグループに,十二使徒定員会のダリン・H・オークス長老が述べた次の言葉を読んでもらい,次の質問を話し合ってもらいます。

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〔ダリン・H・オークス長老の画像〕

「さまざまな選択肢を考慮するとき,『良い』というだけでは不十分であるということを覚えておく必要があります。『より良い』選択肢もあれば,『最も良い』選択肢もあるのです。 ……

最も重要な選択肢には家族の活動が含まれます。……家族との時間をどう過ごすか選択するうえで,単に良いことのために利用できる時間を使い切ってしまい,より良いことや最も良いことを行う時間がなくならないように気をつけなくてはなりません。ある友人が夏の間,まだ子供たちが幼い自分の家族を,史跡巡りを含めたいろいろな旅行に連れて行きました。友人は夏の終わりに,これらの良い夏の活動の中でどれがいちばん楽しかったか10代の息子に尋ねました。父親はその息子の答えから学び,その話を聞いたわたしたちも皆学びました。息子はこう答えたのです。『この夏で一番楽しかったことは,お父さんと一緒に芝生の上に寝転んで,星を見ながら話をしたことだよ。』豪華な家族の活動は子供たちにとって良いことではありますが,愛に満ちた親と一対一で接する時間よりも良いものとは限りません。」(「良いこと,より良いこと,最も良いこと」『リアホナ』2007年11月号,105)

  • この父親と息子の経験は,どうして家庭における「健全な娯楽活動」の価値を理解する助けになるのでしょうか。

  • 娯楽活動をより意義のあるものにするために,どうしたら家族は力を合わせることができるでしょうか。

時間を十分に取ってから,グループでの話し合いのまとめをクラス全員で分かち合ってもらいます。

大管長会のディーター・F・ウークトドルフ管長の次の言葉を表示して,一人の生徒に声に出して読んでもらい,レッスンのこの部分をまとめます。

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〔ディーター・F・ウークトドルフ管長の画像〕

「『いかなる成功も家庭の失敗を償うことはできない』ので,家族を優先順位の高い位置に置かなければなりません。夕食を囲んだり,家庭の夕べをしたり,ただ一緒に楽しい時間を過ごしたりするなど,簡単なことを一緒に行うことで,愛にあふれた,深い家族関係を築くことができます。家族関係において,愛するとは,時間をともに過ごすことです。互いのために時間を取ることは,家庭での一致を図るための鍵です。」(「最も大切な事柄について」『リアホナ』2010年11月号,21)

  • 両親や他の家族たちがあなたと有意義な時間を過ごしたときの経験を分かち合ってもらえますか。

ホワイトボードに書いた特質のどれについてでも,どんなふうに家族を祝福したかという思いや証を分かち合いたい人がいるか,生徒たちに尋ねます。

申命6:4-7;教義と聖約134:5-6信仰箇条1:12

子供たちを教えるという両親の義務

両親には子供たちを教えるという神聖な義務があるということについての具体的な事柄を探しながら,「家族—世界への宣言」の6段落目を調べてもらいます。生徒の答えを聞きながら,次のことをホワイトボードに書きます。

互いに愛し合い仕え合う

神の戒めを守る

法律を守る市民となる

以下の原則を強調します。互いに愛し合い仕え合い,神の戒めを守り,法律を守る市民となるよう子供たちを教えるように,両親は命じられている。

生徒たちに,申命記第6章を開いてもらいます。この章は,戒めをどのように守るかについてモーセがイスラエルの子孫たちに教えたことを述べていると説明します。生徒たちに,申命6:4-7を黙読し,聖文に「あなたに」「あなたが」「あなたは」「あなたの」と書かれているたびに自分の名前に置き換えて,自分へのメッセージのように読んでもらいます。

  • 自分自身の名前に置き換えることは,これらの聖句への理解にどう影響しますか。

  • 7節によると,両親はどれぐらい頻繁に自分の子供を教えなければなりませんか。

ホワイトボードの「互いに愛し合い仕え合う」という言葉に注意を向けます。大管長会のジェームズ・E・ファウスト管長(1920-2007年)の次の言葉を読むことで,この言葉の意味を話し合い,それから次の質問をします。

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〔ジェームス・E・ファウスト管長の画像〕

「人々のために無私の精神を発揮する機会は毎日のように訪れます。無私の行為は無限にあります。優しい言葉,助けの手,優しい笑顔などは,簡単ですが,無私の行為です。」(「何の得になるんだ」『リアホナ』2002年11月号,21)

  • 皆さんが,自分の家族を愛し仕える機会は,毎日何回ぐらいありますか。

  • 自分の家族に仕えることを生活の優先事項にするためには,何ができるでしょうか。

生徒たちに少し時間を与えて,家族にもっと仕え愛を示すために何ができるかを深く考えてもらいます。

ホワイトボードの「神の戒めを守る」という言葉に注意を向け,次のことを質問します。

  • 神の戒めを子供たちに教える第一の責任がある人は両親であるべきなのはなぜですか。

元中央若い女性会長のスーザン・W・タナー姉妹の次の言葉を紹介します。この話の中で,タナー姉妹は,少し前に結婚して自分自身の家庭を築き始めた娘に与えた助言を思い出して話していることを説明します。

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〔スーザン・W・タナーの画像〕

「あなたのおじいさんとおばあさんたちの家庭を見習ってください。どちらの祖父母も『子供たちを光と真理の中で』育ててきました(教義と聖約93:40)。あなたのお父さんの家は学びの家でした。お父さんは,おじいさんのお葬式で,教会の集会で学ぶ福音の原則は,自分の家ですでに学んだことばかりだったと話しました。教会はお父さんの家庭にとって不足を補ってくれる存在だったのです。」(「わたしはあなたに話したでしょうか……」『リアホナ』2003年5月号,73)

  • どうしたら自分の家族のために,タナー姉妹が述べたような「学びの家」を築く備えができるでしょうか。将来子供を持ったときに,その子供たちが自分の育った家庭について話すとしたら,皆さんはどんな考えを持ちますか。

ホワイトボードの「法律を守る市民になる」という言葉に注意を向けます。教義と聖約134章は「政府と法律全般に関する所信の宣言」を記録していることを,生徒たちに話します(134章の前書き)。一人の生徒に前書きを声に出して読んでもらうことで,この章の背景への生徒の理解を助けます。その後,一人の生徒に,教義と聖約134:5-6を声に出して読んでもらい,別の生徒に信仰箇条の第12条を読んでもらいます。クラス全員に,自分が住む地の法律について主が教えられている事柄を見つけてもらいます。

  • 自分の住む地の政府と法律についてのどの教えが印象的ですか。(その他の教えについては,教義と聖約58:21および98:4-6を生徒たちに読んで相互参照してもらうとよいでしょう。)

  • 自分の住む地の法律に従うことを子供たちが学ぶ第一の場所が家庭であることは,なぜ重要だと思いますか。

十二使徒定員会のニール・A・マックスウェル長老(1926-2004年)による次の言葉を紹介するとよいでしょう。

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〔ニール・A・マックスウェル長老の画像〕

「本来の務めを果たす親が減れば,警官がもっと必要になります。影響力のある親が不足すれば,必ず警官も不足するようになります!同様に,立派な家庭の数が十分でなければ,刑務所の数も十分でなくなります。」(「汝の家族を特に護るべし」『聖徒の道』1994年7月号,96)

  • 両親は子供たちに,自分の住む地の法律に従うようにどのように教えることができると思いますか。

  • 自分の住む地の法律と政府の行政官に誠実に従い敬意を示す人を,誰か知っていますか。このような態度は,その人の子供たちにどのような影響を与えると思いますか。

両親は実りある家庭を築くために教えなければならないという原則について,今後数日の間に時間を取って深く考えるよう生徒たちに勧めます。現在の自分の生活においてこれらの原則にどのように従うか,また将来の自分の家族にどう取り入れるかについて計画してもらいます。

生徒の読書課題