セミナリー
使徒22-26章


使徒22-26章

パウロの証

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Paul speaking to King Agrippa.

偽りの罪で訴えられ,身体的な虐待を受けても,パウロは口をつぐもうとはしませんでした。鎖につながれても,指導者や王の前に引き出されても,パウロはイエス・キリストと主の福音について自らの力強い証を忠実に述べました。この課の目的は,パウロの模範に従ってイエス・キリストと主の福音について日々の生活の中で証したいという望みを,育んでもらうことです。 

教義と原則について生徒に証してもらう:生徒に次のことを理解してもらいます:「証を分かち合うことは,証を述べる本人に祝福をもたらすだけでなく,ほかの人々の信仰と証も強める。……〔証〕は……ただ,人が真実であると知っていることを心から確信をもって語る言葉だという場合もある。福音の教義や原則をどのように感じているかということと,それによって自分の生活が変わったことについての簡潔な断言とも言える。」(『福音を教え学ぶ—宗教教育セミナリー・インスティテュートの教師ならびに指導者用手引き』33)

生徒の準備:生徒に,ほかの人の証から影響を受けた経験について深く考え,発表する準備をしてきてもらいます。

学習活動案

証を分かち合う

この課の「生徒の準備」でしてきたことを生徒に思い出してもらいながら,次の質問に答えてもらいます:

宗教的または霊的な意味において,証するまたは証を述べるとは,通常,聖霊によって与えられた霊的な知識について自分の信じていることを分かち合うことを指します(『聖句ガイド』「 証する 」の項と「 」の項参照)。

  • あなたが自分の証を人に伝えたりほかの人の証を聞いたりして力を感じたのは,どのようにときでしたか。それによってあなたはどのような影響を受けましたか。

  • あなたは,ほかの人に自分の証を伝えたいという気持ちがどれくらい強いでしょうか。証を分かち合うのをためらう人がいるのはなぜでしょうか。

  • 自分の信じていることをほかの人に証することについて,どのような疑問や不安がありますか。

この課では,救い主についてのパウロの証と,救い主がパウロの人生に与えた影響について研究します。また,パウロの証にほかの人々がどのように反応したかも学びます。自分の証がどれくらい強いと思っているかに関係なく,救い主と主の福音について進んで証を述べると主が人生にどのような祝福を与えてくださるかを考えながら研究してください。

使徒パウロの証

打ちたたかれ,石を投げつけられ,不当に投獄されたにもかかわらず,パウロはイエス・キリストと主の福音について繰り返し証しました。パウロの話を読みながら,話の中で起こっていることを心の中で思い描く練習をしてください。

これは,思い描くことの効果を生徒に再認識してもらう良い機会になるかもしれません。話の場に自分がいたと仮定してもらいます。読みながら,どのような光景が見え,どのような音が聞こえ,どのような気持ちになるかを,生徒に思い浮かべてもらいます。

以下に挙げる聖句には,パウロの証の一部と,それを聞いた人々の反応が記されています。これらの聖句の一つを選んで読み,もしも自分がその場にいたら,パウロの証からどのような影響を受けたと思うか考えてください。

生徒に次の情報を見せるとよいでしょう。クラスの時間が限られている場合は,生徒に,3つの証をすべて読まなくてもよいことを強調しておくといいかもしれません:

パウロの証

人々の反応

パウロはエルサレムで捕らえられた後,鎖で縛られた。その後,アントニヤの塔の外に立って人々に話すことを許された。

使徒22:6-16 を読む

使徒22:22-24

パウロはエルサレムの神殿の外で捕らえられ,その後ユダヤ人の指導者たちの前に引き出された。そしてユダヤ人指導者たちから尋問され,投獄された。パウロを捕らえたローマの千卒長は,ユダヤ人の一団がパウロを殺そうとたくらんでいることを知り,パウロをカイザリヤに送った。カイザリヤで,パウロはローマ総督ペリクスの前で自分の弁明をすることを許された。

使徒24:10-16 を読む

使徒24:22-27

2年間の投獄の後,パウロは新しい総督の前に姿を現し,カイザルの前で証する機会を求めた。アグリッパ王は,パウロがローマに送られる前にパウロの証を聞くことができるよう手配した。

使徒26:1-3,13-23 を読む

使徒26:24-31

生徒が上記の箇所の一つの研究が終わったら,次の活動に進む前に,その研究で自分が感じたことを率直に分かち合ってもらうとよいでしょう。

学んだことを学習帳に書きます。その中に,必ず以下の点を入れてください:

  • イエス・キリストと主の福音についてのパウロの証の中で,具体的にどのようなことが心に残りましたか。

  • その聖句から,パウロについてどのような印象を受けましたか。

  • このような試練の中でキリストについて証する勇気と力がパウロにあったのは,なぜだと思いますか。

  • たとえ人々に証を拒まれることになるとしても,証を分かち合うことが大切なのはなぜだと思いますか。

生徒が答えを発表しているときには,よく聞いて,生徒の答えの中から真実の原則を探し,それをホワイトボードに書きます。考えられる原則の一つは,イエス・キリストの弟子は大胆に証するということです。

次の言葉を読んで,あなたがパウロのように証する勇気を持つためにこの言葉がどのような助けとなるか,深く考えてください。

十二使徒定員会のディーター F・ウークトドルフ長老は,自分の証をほかの人と分かち合うことに完璧さは必要ではないことと,練習が必要であることを強調しながら,次のように述べています:

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Official portrait of Elder Dieter F. Uchtdorf of the Quorum of the Twelve Apostles, 2006. Called as Second Counselor in the First Presidency, 3 February 2008. Made official portrait in 2008 replacing portrait taken in 2004.

「どんな方法であれ,あなたにとって自然で普通であると思われる方法で,イエス・キリストと教会が自分にとってなぜ大切であるかを人々に伝えてください。 ……

人々を改心させるのはあなたの仕事ではないことを理解してください。それは聖霊の役割です。あなたの役割は自分の心の中にあることを伝え,自分が信じていることに従って生活することです。」

(ディーター・F・ウークトドルフ「伝道活動—心の中にあることを伝える『リアホナ』2019年5月号,17)

学習帳で,ページを縦に二つに分けてください。一つの欄に,あなたの個人的な証について深く考えて書きます。天の御父,イエス・キリスト,そして御二方の福音について証を強め,証を築くことにつながった個人的な経験などを書いてください。もう一つの欄には,その証を,パウロのように日々の生活の中でほかの人々に分かち合うことのできる方法について,考えたことや感じたことを書いてください。

証と,普通で自然な方法で証することについての考えや印象,アイデアを教師が分かち合う(また生徒にも分かち合ってもらう)とよいでしょう。その際には,御自分の証を分かち合う救い主の模範について強調してください。これは,以下の質問の前か後に行うとよいでしょう:

  • 救い主はどのような点で,人々の反応や態度にかかわらず証を述べる模範であられたでしょうか( 教義と聖約138:25-26 参照)。

  • 救い主について証することにためらいを感じたり,緊張したりすることがあるかもしれません。救い主について証しようとするあなたの努力を主がどのようにお感じになるか考えると,どのような助けになるでしょうか。

注釈と背景情報

証とは何かを知り,自分の証を強める方法を学ぶことのできる資料には,どのようなものがあるか

証とは何かを理解し,証を強める方法を知るには,「福音トピックス」の「」の項(topics.ChurchofJesusChrist.org)を読んでください。

自分の証に雄々しくあることはなぜ大切なのか

十二使徒定員会のクエンティン L・クック長老は,次のように教えています:

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Official portrait of Elder Quentin L. Cook. Called to the Quorum of the Twelve Apostles on 6 October 2007.

「『イエスの証に雄々しく』〔 教義と聖約76:79 〕あるかどうか〔は〕,日の栄えの王国の祝福を受け継ぐ者と,それより下位の月の栄えの王国を受け継ぐ者とを分ける,簡潔で重要な試金石で〔す〕。 ……

イエスの証に雄々しくあることは,救い主の恵みと日の栄えの王国を受けるにふさわしい者となるための足がかりとなる踏み石なのです。」

(クエンティン・L・クック「イエスの証に雄々しくある『リアホナ』2016年11月号,43)

普通で自然な方法で証を分かち合うにはどうしたらよいか

普通で自然な方法で証を分かち合う方法の例として,ChurchofJesusChrist.orgにあるビデオ「信じていることを分かち合う」(2:02)を見るとよいでしょう。

補足学習活動

レッスンを始める別の方法

ビデオ「わたしたちはキリストを信じます—個人の証」(2:55)を見せて,証の力と目的について,このビデオに登場する人たちがどのように考えているか生徒に考えてもらうとよいでしょう。

パウロの証がジョセフ・スミスに与えた影響

ジョセフ・スミス—歴史1:21-25 でパウロに対してジョセフ・スミスが感じていたことを読んで,パウロの証の与える影響を生徒に理解してもらうとよいでしょう。ジョセフはなぜパウロを身近に感じたのでしょうか。ジョセフはパウロの証のどこから力を得たと,あなたは思いますか。パウロの経験は,今のあなたとどのような関係があるでしょうか。パウロの証と経験のどのようなところが,あなたの助けになりますか。

生徒に思い描けるようになってもらう

『わたしに従ってきなさい』とのつながり

今週の『わたしに従ってきなさい』では,「イエス・キリストの弟子は大胆に証する」という真理が強調されています(「7月31日-8月6日,使徒22-28章:『あかしし,これを伝える務』」『わたしに従ってきなさい—個人と家族用:新約聖書 2023年』参照)。この課では証を分かち合う機会について深く考えるよう,すべての人に勧めています。これについて深く考えたかどうか生徒に尋ね,考えた生徒に自分の経験を分かち合ってもらうとよいでしょう。この勧めを実行していない生徒には,『わたしに従ってきなさい』の学習でその機会があることを伝えます。