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セッション2:子供の発達を理解する


セッション2

子供の発達を理解する

子供はだんだん進歩しながら健全な成長を遂げていくのです。あなたは親として安定した養育環境を整えることによって,子供の成長を助けることができます。

セッションの目的

このセッションでは,親が以下を達成できるように助けます。

  • 子供の発達段階に応じて,知識や技術を教えることの大切さを理解する。

  • 幼年期と思春期における発達段階を理解する。

  • 発達上の問題の兆候に気づく。

段階を追った成長

親から無理な期待を寄せられたために,発達段階で問題を抱える子供がいます。十二使徒定員会のニール・A・マックスウェル長老はこう語りました。「神は訓練として,その子供たちに困難なことを求められることがあります。〔しかし〕主〔は〕道を備えずには何の命令も下され〔ません。〕」(1ニーファイ3:7参照)1 天の御父が子供たちに不可能なことをお求めにならないように,この世の親も子供に不可能なことを求めてはなりません。

子供がどのような段階を経て発達するかを知らない親は,不可能なことを要求することがあります。N・エルドン・タナー管長は,子供たちは「自分たちの生活を指導する責任をもつ人々の期待に添った生活をしたいと考えている」2 と語りました。子供は親の期待に添えないと,自分はらくしゃであると考えてしまいます。そのようなとき,子供は,自分は標準以下である,あるいは異常であると考え,価値のない者だと思い込んでしまいます。やがて,劣等感,不安定,心配,うつ,人に共感できないといった影響が出てきます。

聖文には,人は人生において,段階を追って進歩を遂げることが示されています。霊と肉体の発達にも同じことが言えます。ヨハネは,イエス・キリストが「最初から完全は受けず,恵みに恵みを受け続け,ついに完全を受けられた」と記しました(教義と聖約93:13)。子供の健全な発達には段階を追った進歩が欠かせません。子供は,身体的,知的,精神的に成長していき,その準備が整った時期になると,歩く,話す,自分で食べるといったことができるようになります。親は子供の準備ができていないときに無理やり何かをさせるのでなく,子供が学び,進歩できるような安定した養育環境を整えることが大切です。

研究の結果から,身体的,また情緒的な能力はある一定の時期に発達することが明らかになっています。しかし,子供はそれぞれに異なっています。遺伝的要因,気性,親から受ける訓練,環境など,すべてが子供の発達に影響を与えます。子供があることを学ぶのに多少人より時間がかかっても,心配する必要はありませんし,少しばかり早くできたからといって,大喜びすることもありません。このような違いは一時的であることが多く,長い目で見れば子供の能力とは無関係です。それよりも大切なのは,子供がそれぞれ段階を追った発達を遂げていくのを楽しむことです。

新しいことを習得する準備ができている状態

子供の成長と発達の過程で忘れてならないのは,本人に学ぶ準備ができているかどうかが最も重要だということです。親が子供のペースに合わせて新しいことを学ばせようとするなら,多くの問題を未然に防ぐことができるでしょう。親の期待に子供を合わせるのではなく,親が子供一人一人の必要に合わせるようにしてください。

例えば,歩き始めるのは普通1歳前後です。親はその兆候を見て取ることができます。家具などにつかまって立ったり,歩いたりするようになります。親は子供の手を取って立たせたまま一緒に遊びながら,1歩か2歩足を踏み出させます。このような遊びを通して,一人のときよりも,もっと早く歩けるようになります。これに対して,もし子供が自分で体重を支えられなければ,この遊びは役に立たないばかりか,子供をいらだたせ,体に害を及ぼすことさえあります。準備ができていない状態で歩かせることは,長い目で見て子供のためにはなりません。子供は準備ができれば歩き始めるものです。

トイレトレーニングは,心と体の準備ができてから始めるべきです。2歳までにしつけなければならないという考えは,非現実的で,不可能なことを子供に押しつけることになりかねません。親からの簡単な指示を理解し,従えるようになったり,汚れたおむつを脱ごうとし始めたり,親がトイレを使うときの様子を見てまねようとしたら,トイレトレーニングを始める準備ができているというサインです。3 歳を過ぎても,体の準備ができていないためにおねしょをする子供や,夜中にトイレに行かなければならない子供もいます。そのようなときに親が怒ったり,いらいらしたりすると,望ましくない行動を助長することになりかねません。親はゆったりとした気持で待つことが必要です。子供はやがて,きちんとがまんして,トイレでできるようになるのです。

同じように,4歳の子供に補助輪なしで自転車に乗れるようにと期待するのも無理な話です。この年齢の子供は,それほどバランス感覚が身に付いていないのです。6歳か7歳になれば,ほとんどの子供はちょうどいい大きさの自転車に補助輪なしで乗れるようになります。

子供がお手伝いに関心を示したときに家の仕事を手伝うことを教え,キャッチボールをしたがるときにボールを投げてやり,自分で髪の毛をとかしたいと言うときに自由にやらせてあげるとき,最も良く教えることができます。そのときに,楽しみながらできるようにすると,さらにうまくいきます。子供の努力を大いに褒め,励ましてあげるとよいでしょう。親があまりに多くのことをあまりに早くから期待すると,子供は新しいことを学ぼうとする意欲をそがれ,興味を失ってしまいます。

発達の段階

社会的および情緒的発達はおおよそ一定の年齢に段階を追って見られます。子供の健全な発達には各段階を良い形で終えていくことが大切です。本セッションで取り上げる発達に関する情報は一般的な指針でしかありません。子供たちはそれぞれのペースで発達していきます。早く進歩したからといって,それは後の人生での成功を約束するものではありません。子供を一人の人間として理解し,愛情を注ぐ親は,子供が成熟した立派な大人へと成長するために,最も良い助けができるでしょう。4

信頼することを学ぶ(乳児期)

思いやりのある親は新生児の空腹や苦痛の合図に気づき,その必要にこたえます。多くの場合,赤ん坊は,泣くことで苦痛を知らせます。親は子供を抱き,愛情を示し,体と心の必要にこたえることによって子供を助けることができます。子供が落ち着き,安心するまで慰め続けます。

親が新生児の空腹や苦痛の合図に気づき,愛を込めてそれにこたえるとき,赤ん坊は信頼することを学び,親が将来にわたって自分の必要にこたえてくれるという信頼を築いていきます。赤ん坊は親に愛着を感じ,自分の置かれている環境に安心感を抱きます。子供に対する親の愛も深まっていきます。

親が子供の必要にこたえてやらないと,子供は不安や心配を抱き,他人を信じる気持ちを築くことが困難になります。むずかる子供をはんりょに任せてしまう親は,子供に対して強い愛情を持つことができません。

無関心な親を持つ子供は,往々にして自分は望まれていない,愛されていないと感じ,自分を価値ある存在として受け入れることが難しくなります。このような感情を抱きながら成長すると,人間関係がうまくいかず,常に人から認められていないと自分は価値ある存在だと感じられなくなります。満たされない思いをほかで満たそうとして,テレビに夢中になったり,過食や性的放縦,薬物の乱用などに陥ったりする場合があります。

自立を始める(1歳から3歳)

「魔の2歳児」という言葉は,しばしば子供が発揮するおうせいな自立心を表して使われます。(自立を示す行動は2歳になるころまで見られないことが多い。)子供はこの時期から,排せつも含めて自制することや,周囲の環境への接し方を学び始めます。この時期には,走る,自分で食べる,コップを使って飲む,おもちゃを引っ張る,ドアを開ける,家具によじ登る,手を洗ってふくといったことができるようになります。2歳までの子供は概して頑固で,要求が多く,欲しい物が手に入るまで待ったり,代わりの物で満足したりすることが困難です。どのような方法で育てられるかにかかわりなく,ほとんどの子供はこの段階を経て成長していきます。

この段階では,食事時,就寝時,トイレトレーニング時に自立心を発揮する傾向があります。体の様々な部分に興味を示すことがよくありますが,これは正常なことです。この機会をとらえて,生殖器の正しい名称を教えます。

両親が正しい姿勢で受け止めるなら,「魔の2歳児」を楽しむことができます。忍耐し,許容範囲内でやりたいようにやらせることです。親子の力対決を避ける方法の一つとして選択肢を与える(セッション8参照)ことができます。この時期は長くは続かないものですが,子供にとって大切な時期であることを理解する必要があります。助けと理解という後押しを受けて,子供は自制する感覚をはぐくんでいくことができます。この自制心は,生涯にわたって続く自尊心と善意を築くうえで基本となるものです。

子供がけがをしたり,何かを壊したりせずに走り回り,探検できるように家の中を整えておきましょう。子供のあるがままを楽しみ,一緒に過ごし,ほかの子供と遊ぶ方法を教え,就寝時に本を読んであげてください。しつけをするときはぜんとした態度で接しながらも,愛にあふれていなければなりません。この年代の子供に対して「だめ」と言うのに,理由は要りません。普通は「お父さんが(お母さんが)だめって言ったから,だめなの」と言うだけで十分です。

この段階で子供をしつけるとき,誤った行動に気づかないふりをしたり,行動の結果を経験させたりすることが効果的です。

発達の初期段階であるこの数年間は,霊的な指導を始めるのに理想的な時期と言えます。

自主性が芽生える(3歳から6歳)

この時期の子供はエネルギーにあふれ,自分にはできるという満足感や周囲とかかわれるような事柄を学び,習得しようとします。この時期に抱く子供らしい空想の中には大げさで,力を誇示するような攻撃的な内容も含まれ,空想をふくらませるあまり,結局はがっかりして終わることもよくあります。空想を建設的に表現する手段やはけ口がないと,子供は無力感や不安を抱き,不機嫌になることがあります。

ほとんどの子供は4歳までに,一人で階段を上り下りでき,ジャンプ,片足立ち,三輪車に乗る,ボールをけるといったことができるようになります。協力して遊び,多くの質問をし,空想遊びを始めます。

この年齢の子供は空想的な話をして,その空想を信じ込んでしまうことがあります。時には不適切な行動を執り,親に反抗します。たたいたり,けったり,物を壊したり,汚い言葉を使ったり,逃げ出したりします。両親が期待していることをはっきりと伝えながらも,厳しくし過ぎることなく,子供にある程度の選択の自由を与えると,驚くほど聞き分けがよくなることがしばしばあります。

6歳ころには,ほとんどの子供は自転車に乗る,靴ひもを結ぶ,ボールをつく,バットで打つ,100まで数えるといったことができるようになります。通常は活発で,意欲的です。感情の起伏が激しく,愛情と怒りを様々な形で表現します。自分が中心であろうとする反面,自信を失うこともあります。何でも思い通りにしたがります。何かするように言われると,反抗したり,理屈をこねたりすることがあります。

この時期の多くの子供は夜,怖い夢を見ます。両方とも欲しがって,二つのものから一つを選ぶことができません。自分のやり方でやりたがります。

明確な限度を設けて,その中で子供にやりたいことをさせながらも,毅然とした態度を崩さず,忍耐と愛を持ち続けることによって指導してください。テレビ,手伝い,宿題,就寝時刻などについてきちんとしたルールを決めます。態度や行動に問題があれば,選択とその結果から学ばせながら,愛と思いやりのある方法でしつけます。子供と一緒に過ごし,本を読んでやり,子供が家庭や保育園や幼稚園でしていることに関心を示してください。知らない場所を探検したり,外で走り回ったり,ほかの子供と遊んだりする時間を作ってやります。

勤勉であることを学ぶ(6歳から12歳)

この時期は,小学校入学から始まり,思春期に差しかかるころまで続きます。勉強し,成績を上げ,様々な技術を習得することを通して喜びを感じ,自信を深めていきます。より広い社会へ出て行き,文化に触れる中で,ほかの子供と同じようにうまくできたときには,自分には能力があり,周りに受け入れられていると考えます。ほかの子供のようにうまくできないときは,劣等感を持つことがよくあります。この時期をどう過ごすかによって,後に大きな違いが生まれます。勤勉に取り組む子供は生活の中の問題に対して楽観的であることが多く,勤勉に取り組まない子供は自滅的な行動パターンに陥ることがあります。

8歳になると,基本的に善悪の判断ができるようになります。普通,字を書くことができ,ユーモアのセンスを身に付けます。概して非常に活発であり,社交的であり,親友と呼べる友達ができます。だれにでも挑戦しようとします。

この年齢の子供は一般に,進んで家事を手伝い,それによって自分に価値があることを感じ,達成感を味わいます。命令されるのを嫌がりますが,通常は親から頼まれたことに従います。

10歳になると,思春期直前期が始まり,穏やかで素直になり,人と良い関係を築きやすくなります。社交的で,協調性があり,勤勉で,家庭ではよく手伝うようになります。親を大切にし,友達の意見を尊重します。教会や学校でのグループ活動を好みます。

12歳になるまでに,多くの少女は思春期に入ります。概して,子供は家庭と学校で周りとうまく付き合っていきますが,情緒にも行動にも浮き沈みがあり,子供の段階と思春期の段階を行ったり来たりします。責任ある行動を執ることもあれば無責任なこともあり,規則に対して挑戦的な態度を取ってみたり,依存してみたりします。外見を気にするようになり,友達を急に変えることがあります。

周囲の友達と同じように成長していることを自覚させてくれる,身体的な変化も重要です。特に少女に多く見られますが,外見を気にするあまり,食習慣が乱れ,拒食症や過食症に陥る子供もいます。ほとんどの子供が同性の友達と良い関係を保つことが大きな関心事であり,突然友達関係が壊れたりすると,非常に傷つきます。

親は,子供のすることに関心を持ち,よくできたことを認め,褒めることによって,子供に達成への意欲を持たせることができます。子供と一緒に計画や活動に取り組んで,うまくできるように助けます。時間を取って子供の話に耳を傾け,問題を解決できるように助け,意見の対立を解決する方法を教えます。できれば,子供の参加する行事に出席します。

家族のルールや期待される事柄,限度,褒美や罰を決めるときに,子供を交えて話し合います。子供の仕事の分担を増やし,テレビを見る時間を制限すべきです。

この時期の子供たちがメディアから受ける影響については,特に注意する必要があります。少女たちは,ファッション雑誌などの影響で,誤った美意識を持つことがあります。テレビゲームの影響で,暴力や不道徳に引き寄せられる子供もいます。子供がメディアから得ている情報や理解していることについて話し合い,間違っている部分を矯正する必要があります。また子供の友達について知るように努め,友達を家に招くよう勧めます。親は子供の友達を批判してはなりません。

この時期の子供は,これ以降の年代に比べて,親からの助けを受け入れやすい傾向にあります。子供が問題や心配事を抱えている場合は,親が助けを申し出ることのできるチャンスだととらえましょう。養い育てることが大きな助けになります(セッション4参照)。しばしば子供に愛を示し,励まし,成し遂げたことを褒めます。勤勉であるよう励ましますが,あまり多くを背負いすぎることがないように注意してやります。現実的で達成可能な目標を立てさせます。その目標が,家族の大切な目標や家族の一員として期待されている事柄と矛盾しないように配慮します。

家庭外では,適切な関心事を持ち,良い友達と交わるように励まします。子供のプライバシーを尊重し,子供がルールを守ることについて現実的な期待を寄せます。

自立と独自性を追及する(12歳から18歳)

思春期に入ると子供の体は急速に変化します。性に対する意識が表れてきます。ほかの人,特に親と同等でありたいと思うとともに,他者,特に親から自立することを望みます。同時に,安定した家庭から得られる安心感と慰めを大切にします。

この時期の子供は,自分が大人になっていくのを感じて,どこで,どのように社会に適応していけるのだろうかと考え始めます。この時期に最も大切な課題は,大人の世界で自己意識を確立し,自分の居場所を見つけることです。

14歳になるとほとんどの子供は自分と自分の体に不安を抱き,また人に受け入れられるかどうかを気にするようになります。衝動的で感情が激しくなり,理想主義の傾向があり,あらゆるものを今すぐに手に入れたいと考えます。自己本位で,気まぐれで,理屈っぽく,以前よりも親と対立するようになり,親を時代遅れだと考えることが多くなります。

この時期にほとんどすべての子供は思春期に入っています。一部の少女は思春期を終えます。この時期の子供は,友達を基準にして,社会的に受け入れられる行動とは何かを判断します。人前で親と一緒にいるところを見られるのを嫌がりますが,心の底では,両親を愛し,家族とのつながりを感じています。

16歳になると,ほとんどの青少年は家族に対して心を許し,一緒にいることを心地よく感じます。自分に対する不安は和らぎますが,なお明確な自我を追及して,価値観や信念を模索し続けます。社会の標準と同年代のグループに敏感です。引き続き,規則に反発し,権威に疑問を持ちます。

親は10代の子供が自立しようとしていることを知ると脅威を覚えることがありますが,子供が自立を望むことを歓迎するように努めるべきです。コントロールを次第に弱め,自分の生活に徐々に責任を持たせていかなければなりません。行動に限度を設け,容認できない行為については,その結果を引き受けさせるべきです。

子供に自分で考えさせ,子供が持つ特質を批判したり否定したりせずに,あるがままを受け入れるように努力します。子供が感情的になっているときにも,親は穏やかで一貫した態度を保つように心がけます。

子供が自分から話してくるときは,いつでも耳を傾け,助け,子供が自分の生活を管理できるようにアドバイスします。子供が悲しみや落胆を感じているときには,それに気づけるように注意を払います。苦しみや問題によく耳を傾けます。仲間から受けているプレッシャーへの対処法を教えます。

子供からそばにいてほしくないと言われても,気分を害してはなりません。完全にとは言わないまでも家族のルールに従うことを期待します。どのルールを重視するかを考えて,必要であれば守らない場合の結果を引き受けさせます。

子供はこの時期に,不安な青少年から,自意識と目的と方向性を持つ,確信に満ちた若者になります。自分は受け入れられている,自分には能力がある,将来への準備ができていると感じるとき,自信を持ちます。

自分には能力がない,社会に受け入れられていないと感じている若者は,自分自身とその役割,社会における自分の価値について困惑し,不安を持ちます。自立したい彼らにとって,親は目障りな存在として映るかもしれません。そのような若者は,感謝の気持ちに欠け,不作法で,反抗的な場合があります。徒党を組んだり,非行グループに属したり,十代の英雄たちと一緒にいたりすることで,帰属意識を見いだそうとする若者もいます。

発達上の問題や社会的または情緒的問題の兆候

子供に以下のような様子が見られる場合,発達上の問題,あるいは社会的または情緒的な問題がある可能性があります。そのような場合は,小児科医またはカウンセラーに特別な支援を求める必要があるでしょう。

2歳まで

  • 歩けない。

  • 二語文が言えない。あるいは,最低15の単語を使えない。

  • くし,コップ,スプーンなど,ごく普通の物の使い方が分からない。

  • 車輪の付いたおもちゃを押せない。

4歳まで

  • 前述の兆候がまだ見られる。

  • 絶えずよだれを垂らしている。

  • 言葉がめいりょうである。

  • 簡単な指示を理解できない。

  • 他人にほとんど関心を示さない。

  • 母親から離れることが非常に難しい。

  • ごっこ遊びをしない。

6歳まで

  • 前述の兆候がまだ見られる。

  • 三輪車に乗れない。

  • 上手投げでボールを投げられない。

  • 親から離れるときに泣き,しがみつく。

  • ほかの子供たちと交わったり,遊んだりすることに興味を示さない。

  • 怒ったり,気分を害したりすると自分を抑制できない。

  • 服を着ることや眠ること,トイレに行くことを嫌がる。

  • 授業の妨げになるほど異常に動き回る。

  • ほかの子供たちと仲良くできない。友達がいない。

  • おねしょをしたり,ベッドを汚したりする。

  • 太りすぎている。

  • 繰り返し恐い夢を見る。

  • 過度に攻撃的である(口論したり,手を出したりする)。

  • 極度に怖がる。

8歳まで

  • 前述の兆候がまだ見られる。

  • 時計の読み方が分からない。

  • 登校を拒否する。または学校の成績が思わしくない。

  • 反抗し,横柄な話し方をし,素直でないことがよくある。

年齢不問

  • 年齢に応じたレベルで話すことができない(が極端に少ない,文章を作れない,正しく発音できない,どもる)。

  • 年齢に応じたレベルで自分の身の回りのことができない。

  • 人と良い関係を築くことができない(目を合わせられない,顔の表情が乏しい,人と付き合ううえで必要な関心を示すことができない)。

  • 授業についていけない。

  • 年齢に応じたレベルで働いたり,余暇の活動に参加したりすることができない。

  • 健康面や安全面で必要な習慣を身に付けることができない。

  • 年齢に応じたレベルで読み書き,計算ができない。

  • 年齢に応じたレベルで,歩く,う,座る,捕らえる,走ることができない。

  • 物事に集中できない,耳を傾けていない,指示どおりにできない,整理できない,すぐに飽きる,忘れやすい。

  • 落ち着きがない,体をくねらせる,授業中勝手に席を立つ,異常に走ったり登ったりする,長々と話し続ける,質問に対して自分勝手に答える,人の話に割り込む,でしゃばる。

  • かんしゃくを起こす,口答えする,大人から言われたことに逆らう。

  • 怒っていることが多い,失敗を人のせいにする。

  • 人をいじめたり,脅したりする,自分からけんかを仕掛ける。

  • 物を壊す,盗む,規則を破る。

  • 動物や人に残酷なことをする。

  • 性的な行為を強要する。

  • きちんと食事をしない,体重が増えない,異常に体重が減る。

  • けいれんを起こす,奇声を発する。

  • 家や親から離れたとき,あるいはそのような状況を考えただけで,不安や苦痛を感じる。

  • うつ状態に陥る(悲しむ,落ち込む,何をしても楽しめない,引きこもる,罪悪感を持つ,自分には価値がないと考える,無気力,考えたり集中したりできない,体力がない,自殺を考える)。

  • 不安な状態を示す(神経質,緊張,パニック,恐怖感,不運が差し迫っているという脅迫観念,浅い呼吸,胸の痛み)。

現実的な期待

大管長会と十二使徒定員会は次のように教えています。「前世で,霊の息子,娘たちは……神の計画を受け入れました。その計画によって,神の子供たちは肉体を得ることができ,また,完成に向かって進歩して,最終的に永遠の命を受け継ぐ者としての神聖な行く末を実現するために,地上での経験を得られるようになったのです。」5 ほとんどの人は進歩していきますが,幼児,子供,青少年という段階を経てあなたは親として,子供が各段階で人生の様々なチャレンジに備えられるように助けることができます。この間,指針とすべき原則は,現実的な期待を寄せ,段階を追った成長を促すことです。自分の子供を独特な個性を持った一人の存在として理解し,大切にしなければなりません。天の御父がすべての人に注いでおられる愛を子供にしてください。

子供の行動に適切に対応する

子供たちを一人の人間として大切にし,理解しようとする親は,子供の行動により適切に対応でき,正しい原則を教える能力が増します。

子供は時々,指しゃぶりをしたり,何かによじ登ったり,大げさな話し方をするなど,親の意に沿わない行動を執ることがあります。そのような行動は成長段階で自然に見られるもので,子供が成長するにつれてなくなっていくものです。子供が成長し,発達していくことを知っていれば,このような行動を見ても,自分に非があると思ったり,心配したりせずに済み,より効果的に対応することができます。

よくない行動をやめさせようとして子供に罰を与えたり,あざけったり,がみがみしかったりすると,かえってそのような行動を助長してしまう場合があります。親が感情的になると,子供の気持ちを傷つけ,反抗心を抱かせ,その行動に対して過度の注意と関心を向けさせてしまうのです。例えば,指しゃぶりに対して極端に反応すると子供はますますやめられなくなることがあります。これに対して,親がおおらかに対応したり,あるいは無視したりすると,子供は必要がなくなれば指しゃぶりをやめます。

子供が年齢に応じた行動をするとき,必要以上にそれを褒めた場合も,子供はむやみにそれを繰り返すようになり,やりすぎて危険な場合もあります。例えば,よちよち歩きの子供が何かに登ろうとするとき,親が「そうやっているときって,ほんとうにかわいいわ」などともてはやすと,子供がやりすぎてけがをしたりすることも考えられます。

十代の子供は家族との間に距離を置き,親に対して批判的になる場合がよくあります。それを普通のこととして受け止めない親は,子供を自分の言うなりにさせようとして,子供から反発され,反抗期をかえって長引かせます。これに対して,親が感情的にならずに軽く受け流していると,子供は自然に思春期を通り過ぎていきます。一般的に,大人になるにつれて子供は親を受け入れるようになるものです。

子供一人一人を知る

自分の子供は何が好きで何が嫌いか,どんな願いや恐れを抱いているかなど,自分の子供たちを知るには,子供たちと一緒に時間を過ごすことがいちばんです。毎日,家族の祈りと聖文研究を行うこともその一つです。ともに働きながら短い会話を楽しむこともできます。公園を散歩したり,工作をしたり,ドライブやハイキングに行ったり,庭に植物を植えて世話をしたり,ゲームをするなど,様々な活動を一緒に楽しむことができます。いちばんお金のかからないものが,いちばん楽しかったということがよくあります。

子供一人一人と過ごす時間を取り,その子供に一緒にやりたい活動を選ばせます。そのようなときは,子供が興味を持っていることを会話の中心にします。

  1. 「レーマンとレムエルから得られる教訓」『リアホナ』2000年1月号,7

  2. 「正しい声に聞き従う」『聖徒の道』1978年2月号,66

  3. ウィリアム・シアーズ,マーサ・シアーズ共著,TheBabyBook:EverythingYouNeedtoKnowaboutYourBabyfromBirthtoAgeTwo(1993年),536

  4. このセクションの情報の一部はエリック・H・エリクソン,ChildhoodandSociety(ニューヨーク:Norton, 1963年),247-263;フランセス・L・イルグほか,ChildBehavior(ニューヨーク:Harper&Row, 1981年),12-46;ルイス・バイツ・エイムスほか,YourTen-to-Fourteen-Year-Old(ニューヨーク:Dell, 1988年)21-180,318-323を基に編集されました。

  5. 「家族-世界への宣言」『リアホナ』2004年10月号,49