黙示1章
「イエス・キリストの黙示」
象徴が使われているため，黙示録は時に奇妙に見えたり，混乱を招くことがあります。黙示録は，象徴的な表現が多く，理解しにくい部分があるのは事実です。しかし，黙示録に記された多くのメッセージは，イエス・キリストの役割，再臨をめぐる出来事，悪に対する善の最終的な勝利などについての簡潔な真理を示しています。この書は，小アジヤ（現代のトルコ）の教会の7つの会衆にあてて，使徒ヨハネによって書かれたものです。 今日の多くの人と同様に，当時イエス・キリストに従う人々は，イエス・キリストを信じていたために苦しみ，ヨハネが書いたメッセージと比喩によって慰められました。この課は，黙示録の象徴の一部を理解し，それがイエス・キリストについて何を教えてくれるかを理解しやすくします。
象徴の理解。象徴は，意味のある霊的な真理を教えるために，しばしば聖書の中で用いられています。時間を取って，生徒がこれらの象徴を解釈する様々な方法を応用しやすくなるようにしてください。そうすることで，生徒は黙示録全体をより深く理解することができます。
生徒の準備：生徒に，『聖句ガイド』 「黙示録（ヨハネの）」 の項（scriptures.ChurchofJesusChrist.org）を読み，そこから学んだことの中で何に興味を持ったか，またその理由について分かち合う準備をしてきてもらいます。
学習活動案
ヨハネの示現
以下の画像を表示し，その中で何が起こっているのか，そしてそれに関する質問があれば，生徒に話し合ってもらいます。
あるいは，次のようにレッスンを始めてもよいでしょう：教室の前にある机や椅子の上に物を置きます。それが何か生徒に分からないように，それに覆いをかぶせます。レッスンが始まったら，その物が何かを生徒たちに当ててもらいます。幾つか答えが出たところで，一人の生徒に前に来てもらい，自分だけが中身を見ることができるようその覆いを少しだけ上げるように言います。その生徒に，この物について，それが何かには触れず，ほかの生徒たちに説明してもらいます。その生徒に，席に戻ってもらいます。以下の質問をするとよいでしょう：
説明した生徒は，預言者や使徒たちの役割の一つをどのように表しているでしょうか。
「イエス・キリストの黙示」として（ 黙示1：1 ），黙示録は「黙示文書」と呼ばれることがあります。これは，ギリシャ語で「啓示された，または明らかにされた」という意味です（『聖句ガイド』 「黙示録（ヨハネの） 」 の項参照）。
この書は，主イエス・キリストと主の権能，力，そして御父の救いの計画における非常に重要な役割を明らかにしています。また再臨と福千年に至る出来事について，重要な情報も明らかにしています。
イエス・キリストの愛弟子である使徒ヨハネが，この書を記しました。ヨハネは，キリスト教徒が偽りの教え，無関心，そして厳しい迫害に直面していたときに，パトモス島でこの書を書きました（ 黙示1：9 ； 2：4，10，14－15；3：16 ； 6：9 参照）。
モルモン書には，ヨハネが黙示録に記録されていることを書くことが，予任されていたことが記されています（ 1ニーファイ14：18－27 ； エテル4：16 参照）。
これは，生徒の準備の活動で得られた意見を分かち合ってもらうのによい機会かもしれません。
黙示1：1－3 を読んで，ヨハネが，自ら受けた啓示について教えたことに目を向けましょう。（なお，ジョセフ・スミス訳聖書には「この預言の言葉を読む者たちと，これを聞いて理解し，その中に書かれていることを守る者たちとは，幸いである」と 記されています〔「ジョセフ・スミス訳聖書付録」参照〕。）
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これらの節の中で心に残ったのはどの部分ですか。
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ヨハネは，人が黙示録に記されたことで祝福を受けるためには，何をしなければならないと言っていますか。
ジョセフ・スミス訳聖書 黙示1：4－8 を読んで，ヨハネがこれらの聖徒たちにイエス・キリストについて知ってもらい，感じてもらいたいと思ったことを探してください。
「王と……祭司」と「アルパでありオメガ」に関する洞察については，「解説と背景情報」の項を参照してください。
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黙示1：4－8 の中で，ヨハネが聖徒たちにイエス・キリストについて知ってもらい，感じてもらいたかったこととして，何を見つけましたか。
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迫害に苦しんでいたこれらの聖徒たちにとって救いとなったイエス・キリストの真理は，どれですか。
生徒が見つけた真理をホワイトボードに書き出すとよいでしょう。
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あなたが人生で課題に直面したとき，これらの真理はどのような救いになると思いますか。
ヨハネの象徴的な示現
ヨハネはその示現の中で，キリストの声を聞きました（ 黙示1：10－11 参照）。ヨハネが救い主の声の方に振り向くと，レッスンの冒頭に見せた画像に似た象徴的なイメージを目にしました。
聖書の全編にわたって，預言者たちはイエス・キリストとその福音についてより深く理解するため象徴を用いました。象徴は，異なる言語や文化，異なる世代の人々にも理解されやすいため，効果的な教授ツールとなる可能性があります。象徴は，また幾つかの異なったメッセージを伝えることもできます。さらに，象徴は，言葉だけでは伝えにくい考えや感情を刺激することで，理解を深めることができます。
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あなたは，聖文の中の象徴が意味することを理解する能力に，どのくらい自信がありますか。
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イエス・キリストについて語るために新約聖書で使用されている象徴（小羊，パン，水，岩，羊飼いなど）を幾つか思い浮かべてみてください。これらの象徴は，イエス・キリストに対する理解を深めるうえで，どのような助けになりますか。
黙示1：12－18 を読んで，ヨハネのイエス・キリストの示現におけるさらなる詳細と象徴を探してください。
以下の表は，ヨハネの示現で言及されている象徴の幾つかを表示しています。聖文の中の象徴を理解するためにきわめて有効な方法の一つは，他の聖典を使用することです。
生徒一人一人に配付するプリントのコピーを作成するとよいでしょう。生徒に聖句を読んでもらい，象徴の考えられる意味を書いてもらいましょう。生徒に二人一組になるか少人数のグループで，またはクラス全体でプリントに取り組むとよいでしょう。
この表にない象徴については，「注釈と背景情報」の項を参照してください。
ヨハネの示現における象徴
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象徴 |
考えられる意味 |
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1.七つの金の燭台（ 黙示1：12 ） |
1. 黙示1：20 ； 3ニーファイ18：24 参照 |
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2.救い主の右手（ 黙示1：16－17 ） |
2． 出エジプト15：16 ； イザヤ41：10 参照 |
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3.七つの星（ 黙示1：16 ） |
3. 黙示1：20 ； ジョセフ・スミス訳黙示1：20参照 |
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4.鋭いもろ刃のつるぎ（ 黙示1：16 ） | |
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5.死と黄泉とのかぎ（ 黙示1：18 ） |
5. 2ニーファイ9：10－13 参照 |
生徒が，発見したことや疑問点を分かち合えるようにします。
イエスの栄光と，ヨハネの示現における象徴の潜在的な意味について考え，レッスンの冒頭で表示された画像を思い返します。
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この画像が何を表しているかを，あなたならどのように説明しますか。
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イエス・キリストとイエス・キリストに忠実に従う人々との関係について，どのような真理を学ぶことができますか。
これらの象徴から学ぶことができる一つの真理は， イエス・キリストは，忠実に従う人々を見守り，心から慈しんでくださる ，ということです。
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この真理とこれらの象徴は，七つの教会の聖徒にとってどのような祝福となったのでしょうか。
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このキリストの真理または象徴的なイメージが今日の若者にとって慰めになるのは，どのような状況でしょうか。
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この章で語られた象徴は，救い主がだれか，また救い主がどのような人物であるかについて理解を深めるうえで，どのように役立っていますか。
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黙示録の研究を続ける中で，あなたにとって助けとなり得る象徴について，何を学びましたか。
あなたがイエス・キリストについて感じたことや，イエスがどのように信者を見守り，慈しんでいるかについて，その証を分かち合うとよいでしょう。生徒も，同じように証を分かち合えるかもしれません。
注釈と背景情報
補足学習活動
黙示録の背景状況
黙示録の背景を紹介するために，だれが，どこから，そしてなぜこの書が書かれたのかを尋ねるクイズを作成してもよいでしょう。生徒は 黙示1：4，9 を読んで答えを見つけることがでます。
ヨハネの示現とモルモン書
以下の聖句は，ヨハネの示現が，モルモン書の預言者が教えるほど重要であることを示すために使うことができます。 1ニーファイ14：18－29 を読んで，ニーファイが何を目にしたか，なぜ彼の示現の一部について書かなかったのかを生徒に探してもらいましょう。生徒はまた， エテル4：16 を読んで，ヨハネの示現の実現について主がどのように語られたかを探すこともできます。