セミナリー・インスティテュート
第7課:モルモン書と聖書


第7課

モルモン書と聖書

はじめに

聖書に肩を並べるモルモン書は,イエス・キリストの神性と世界の救い主としてのイエスの役割の証です。モルモン書は,聖書から失われた分かりやすく貴い真理を回復します。モルモン書を研究することにより,わたしたちは聖書の教義をより明確に理解することができます。

背景となる読み物

教えるための提案

エゼキエル37:15-192ニーファイ3:11-1229:3-10

聖書とモルモン書は一体となったイエス・キリストの証である

神が既に聖書をお与えになっているためにモルモン書に対する疑問を持つ人に対して何を言うかを生徒たちに尋ねます。

生徒たちに2ニーファイ29:3-10を黙読して,聖書の他にもう一つの聖典をお与えになった主の理由を示す箇所に印をつけてもらいます。

  • 主は,聖書以外の聖文に疑問を抱く者について何と言っておられますか。

  • 8節によると,主は,聖書の他に聖典を明らかにされる主の目的は何であると言われましたか。(生徒はさまざまな答えを挙げると思われますが,次の真理を見いだすようにしてください。聖書とモルモン書は,一体となってイエス・キリストを証する。

  • この聖句から,追加の聖文による証を持つことの重要さを理解するために役立つどのような事柄を学びますか。

聖書とモルモン書がイエス・キリストの証としてどのように一体となって作用するかについての生徒たちの理解を深めるため,十二使徒定員会のラッセル・M・ネルソン会長の声明を見せ,一人の生徒にそれを声に出して読んでもらいます。

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〔ラッセル・M・ネルソン会長の画像〕

「聖文の証は互いの真実性を立証し合っています。この考え方ははるか昔に,モルモン書について書いた預言者の次のような言葉に説明されています。『この記録を書き記しているのは,〔聖書〕をあなたがたに信じさせるためである。また,あなたがたは〔聖書〕を信じるならば,〔モルモン書〕も信じるであろう。』〔モルモン7:9〕それぞれの書が互いについて言及し合っています。そしてそれぞれが,神が生きておられ,預言者への啓示を通じて神の子供たちに話しかけておられる証拠としての役割を果たしています。

モルモン書を愛するならば,聖書も愛するようになります。逆もまた然りです。回復の聖文は聖書と対立するものではありません。むしろ聖書を補完するものです。」(「聖文の証」『リアホナ』2007年11月号,43)

  • ネルソン会長による2冊の聖文の関係についての説明で,特に印象に残った箇所はどこですか。また,それはなぜですか。

ユダの木とヨセフの木が一つになると旧約聖書の預言者エゼキエルが預言したことを生徒に思い出してもらいます。「木」とは,木版,または木の軸に巻かれた巻物を指すことを説明します(ボイド・K・パッカー「聖典」『聖徒の道』1983年1月号,90参照)。一人の生徒にエゼキエル37:15-19を声に出して読んでもらいます。

  • これらの木は何を表わしていますか。(必要に応じて,「ユダの木」が聖書を表し,「エフライムの木」がモルモン書を表していることを説明します。)

  • これらの2本の木,つまり2冊の書物が「あなたの手で一つになる」とは何を意味すると思いますか。(17,19節)

この質問に答える助けとするために,十二使徒定員会のボイド・K・パッカー会長(1924-2015年)が語った次の言葉を読みます。パッカー会長がこの言葉を述べたすぐ後で,モルモン書と聖書の新版が教会によって出版されたことを説明します。モルモン書と聖書には,それぞれお互いを参照するために役立つ注釈と,その他の聖文ヒントが記載されており,新たな方法で2冊の書物を一体にします。聖書とモルモン書を一緒に研究する人に与えられる祝福を聞き取るように生徒を促します。

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〔ボイド・K・パッカー会長の画像〕

「ユダの木,……それにエフライムの木……は,このような過程を経て一つに合わせられたのです。一方を読めば他方も読むことになり,一方から得た知識は他方を読むことによってより明確なものになります。2本の木は,本当にわたしたちの手の中で一つになりました。……エゼキエルの預言が成就したわけです。

年月を経るに従って,この聖典に触れる人々は,次々と主イエス・キリストを知って主の御心に従う忠実なクリスチャンとなっていくことでしょう。……

……〔新しい世代〕は,歴史上かつて誰も目にし得なかった啓示に触れることができます。今や,ヨセフの木とユダの木が彼らの手に置かれました。彼らには,過去の人々には到底なし得なかった研究ができるのです。彼らはイエスがキリストであるという証を持ち,そのように宣言し,主を擁護する力を持つようになるでしょう。」(「聖典」『聖徒の道』1983年1月号,92-93)

  • モルモン書と聖書を一つとして研究するときにどのような祝福を受けることができますか。(生徒たちが次の原則を見いだすようにしてください。聖書とモルモン書をともに研究するとき,イエスがキリストであるというより強い証を受ける。

  • モルモン書と聖書をともに研究することは,イエス・キリストに関するあなたの知識と証をどのように深めましたか。

一人の生徒に2ニーファイ3:11-12を読んでもらいます。(これらの節がエジプトのヨセフの預言であることを明確にするとよいかもしれません。これらの節で,ヨセフは2冊の書物について言及しています。ヨセフの子孫によって書かれた本がモルモン書,ユダの子孫によって書かれた本が聖書です。)

  • モルモン書と聖書が「一つに合わされ」るとき,これらの書物は世界にどのような影響を与えますか。(生徒たちが次の意図を見いだすようにしてください。これらの書物は偽りの教義を打ち破り,争いを鎮め,平和を確立する。)

天の御父,およびイエス・キリストに対する証を強めるために,モルモン書と聖書をどのように共用していくかを生徒たちに深く考えてもらいます。生徒に,各自の考えと印象を分かち合ってもらいます。また,受けた促しを行動に移すように勧めます。

1ニーファイ13:23-29,35-36,38-41

分かりやすく貴い真理が回復された

預言者ジョセフ・スミスが,欽定訳聖書を霊感のもとに改訂するように主から命じられたことを生徒に思い出してもらいます。これらの改訂はジョセフ・スミス訳として知られています。預言者ジョセフ・スミス(1805-1844年)の次の言葉を見せて,読みます。

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〔預言者ジョセフ・スミスの画像〕

「わたしは原著者の筆によって書き記されたままの聖書を信じています。無知な翻訳者や不注意な転写者,あるいは腹黒く腐敗した聖職者たちが多くの間違いを犯してきました。」(『歴代大管長の教え—ジョセフ・スミス』207

  • 聖書の霊感訳が必要であったのはなぜですか。

生徒たちに,ニーファイが聖書の出現についての示現を見たことを思い出してもらいます。一人の生徒に1ニーファイ13:23-25を声に出して読んでもらいます。他の生徒たちには,最初に書かれたときの聖書についてのニーファイの説明を探してもらいます。

  • 天使は,最初に書かれたときの聖書についてニーファイに何を教えましたか。(「主〔の〕聖約が載って〔いた〕」「大いに価値のあるもの」および「主の完全な福音が載っていた」。)

生徒たちに1ニーファイ13:26-28を読み,聖書にどのような理由で何が起こるかについてニーファイが学んだ事柄を探してもらいます。

  • 大きな忌まわしい教会は,聖書に何をしましたか。(大きな忌まわしい教会は,特定の教会や組織ではなく,イエスに反対する者全てを指す総括的な言葉であることを強調します〔1ニーファイ13:4-914:10参照〕。)

  • 27節によると,これらの分かりやすく貴い箇所が取り去られた理由は何ですか。

一人の生徒に1ニーファイ13:29を声に出して読んでもらい,他の生徒には聖書から分かりやすく貴い箇所が取り去られたことによる結果を探してもらいます。

  • 主の分かりやすく貴い教えが聖書から取り去られた結果,何が起きたでしょうか。

  • 今日の世界で見受けられるもので,分かりやすく貴い真理が欠落していることが原因で「非常に多くの人がつまず〔いて〕」いるという証拠には何がありますか。

数人の生徒に1ニーファイ13:35-36,38-41を順番に声に出して読んでもらい,他の生徒にはこの問題に対する主の解決方法を見つけてもらいます。

  • 主は,聖書から分かりやすく貴い真理が取り去られたことによって生じた問題を克服するために何をなさいますか。

  • モルモン書に加え,回復の一部として主によってもたらされた「幾つかの書物」とは何ですか。(「幾つかの書物」には,教義と聖約,高価なる真珠,および聖書のジョセフ・スミス訳が含まれることを各自の聖典にメモするように生徒に勧めます。)

  • 40節によると,モルモン書と「幾つかの書物」は,聖書から分かりやすく貴い部分が取り去られることによって生じた問題をどのように解決しますか。(生徒が次の真理を理解するようにしてください。モルモン書と末日の聖文は,聖書の真実性を確立し,聖書から取り去られた分かりやすく貴い真理を回復する。

聖書にある教義と原則に対するわたしたちの理解をモルモン書がどのように確かにするかを説明するため,七十人会長会で奉仕したタッド・R・カリスター長老の次の言葉を読みます。

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〔タッド・R・カリスター長老の画像〕

「聖書はイエス・キリストについての一つの証であり,モルモン書はもう一つの証です。この第2の証がなぜそれほど重要なのでしょうか。次の図が役立つかもしれません。紙の上の一つの点を通る直線は何本引くことができますか。その答えは無限です。少しの間,一つの点が聖書を表し,その点を通るように引いた数百の直線が聖書の異なる解釈を表し,またその解釈のそれぞれが異なる教会を表すと仮定してみましょう。

しかし,紙の上にモルモン書を表す第2の点があれば,どうなるでしょうか。これらの二つの基準点,すなわち聖書とモルモン書の間に引くことができる直線は何本でしょうか。1本だけです。これらの二つの証により,キリストの教義の解釈はただ一つとなります。

さらにまた,モルモン書は,……聖書の中で教えられている教義を確認し,明確にし,統一する証の役割を果たしています。」(「モルモン書—神からの書物」『リアホナ』2011年11月号,75)

  • イエス・キリストの福音の証としてモルモン書と聖書の両方を持つことが大切であるのはなぜですか。

生徒たちに,モルモン書がどのように聖書をよりよく理解するため,または救い主に近づくための助けとなったかを証し,その例を分かち合ってもらいます。

生徒用資料