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第21課 健康的な食生活


第21課

健康的な食生活

目的 健康によい食事を計画できるようになる。

規則正しい食事

世界中のほとんどの地域では,日に3回か4回の食事をします。この習慣を生かすためには,食事のときに健康と成長に必要な栄養素を含む食品を摂取することです。家族が一緒に食事をすれば,両親は子供たちが様々な種類の健康的な食物を適量食べるように助けることができます。また,栄養を取るだけでなく,家族が時間をともにし,家族の祈りをささげ,互いの経験について話し合う機会を持てます。さらに両親はこの時間を使って,形式ばらない方法で子供たちに福音の原則を教えることもできます。家族全員で献立を立てて一緒に食事をすれば,生活費をもっと賢明に使うようになるでしょう。毎日の食卓に上る基本食品は,間食するスナック類よりも一般的に値段が安く,栄養もあります。家庭で食事をきちんと取っていれば,健康によくないスナック類や間食を少なくし,費用を節約できます。

規則正しい食事をすることの利点はほかにもあります。食事の時間が決まっていれば,家族は毎日それまでに帰宅するよう調整できます。規則正しい食事をすれば,不規則な食事や間食をするよりも体調はよくなります。また,仕事の能率は上がり,胃の病気の予防にも役立ちます。規則正しい食事は,子供にも良い影響を与えます。子供は空腹になると,飽きやすく,ぐずるようになりますが,規則正しく食事をすればそのような状態を避けられます。

ある末日聖徒の家族は,古いしきたりのある国に住んでいました。それは,父親と年長の兄弟が最初に食事を取り,残りの食物を年下の子供と母親が分け合うというものでした。この家族は福音を学ぶことによって,そのような習慣をやめました。母親はこう説明しています。「家族で一緒に食事をすることや,十分な食物を取ることの大切さについて学んでから,古いしきたりには従わなくなりました。」

  • 家族で一緒に食事をすると,どのような利点があるでしょうか。(家族のきずなが強められる。家族の計画や毎日の予定,その日の出来事について話し合える。福音について話し合い,行き違いを解消する良い機会となる。家族が休息し,互いに楽しむ場となる)

  • 規則正しい食事についてはどうですか。(栄養のある食事を計画できる。体の機能を活発にする。家族で1日の予定を立てやすくなる)

各食品群から食物を摂取する

  • 割り当てを与えておいた姉妹に,三大食品群を書いた表を見せるように言い,生徒に「教師の準備」の欄に出ている4つの質問をする。(視覚資料5-a,5-b,5-c参照)

できるかぎり,毎回の食事に各々の食品群の食物を取り入れるようにします。そうすれば,健康の維持や成長に必要な多種多様の食物を取ることができます。米を主食にしている国の中には,毎食,米だけを食べている人が多くいます。そのような家庭の子供たちは,その食習慣のためにビタミンやミネラルが欠乏し,しばしば虚弱体質や病気,成長不良に陥っています。

そのような国では,教会員がバランスのとれた食物を食べることの大切さを教えられ,たとえ十分な量でも,米だけでは健康を維持できないことを学びました。そして,「米はさびしがりや」という標語を頭に入れて,毎食,各食品群の中から何かを食べるようにしました。食生活を改善した家族の子供は,米だけを食べている近所の子供よりも健康になっています。

  • わたしたちは何を主食としているでしょうか。

姉妹たちに,毎食,各食品群の食物を使って食事の準備をすることを思い起こさせるような標語を考えるように言う。標語を黒板に書く。

その標語を常に心に留めて各食品群の食品を使った献立を考えるようにしてください。食事を準備するために,まず主食を決めます。次に各食品群の中から1品ずつ副食になるものを考えます。

  • 各食品群から1品ずつ食品を取り合わせた献立表を前もって作成しておき,それを提示する。姉妹たちに,各食品がそれぞれどの食品群に属するか答えてもらう。また,献立がすべての食品群を含んでいるかどうか確認してもらう。

1食に3品以上を用意するときは,各食品群から少なくとも1品は選ぶという基本パターンに従います。例えば,基本食品に加えて,「エネルギー」源になるグループから1品,「成長」に欠かせないグループから1品か2品,そして,「病気の予防」に役立つグループから1品か2品用意することができます。これでは盛りだくさんな食事になるかもしれませんが,少なくとも各食品群から1品を取り入れるようにします。

適量を摂取する必要性

毎食,すべての食品群から少なくとも1品ずつ準備するのが習慣になったら,各食品の適切な摂取量について考えます。各々の食品の量が少なければ,十分とは言えません。一人に少なくとも3口から4口は行き渡るように準備します。

わたしたちは,次のような間違いをしないように注意する必要があります。ある日のこと,10人の姉妹が自分たちの食事のために料理を作りました。米を数カップ,トマトソースを大さじ2杯,それに肉を少々使いました。料理ができあがると,彼女たちは思いました。「この料理には『エネルギー』,『成長』,『病気の予防』に必要な食品がすべて含まれているわ。健康によいし,これ一皿だけで十分な食事になるわ。」しかし残念なことに,この料理に入れたトマトソースや肉は,一人一人が食べる量には足りませんでした。各食品の一人当たりの分量について学んだ姉妹たちは,家族のために準備する食事にもっと気をつけるようになりました。

それぞれの食品を十分に準備するには,また予算を上手に使うためにも,各食品群の中から安価な物を買う必要があります。

  • 食品群の図表を提示する。各グループに含まれる食品の中で,必要量を摂取するには値段が高すぎる物はどれですか。同じグループの中で,それに代わる比較的安い食品はどれでしょうか。

健康的な食事を準備するには

献立を決める

買い物に行く前に献立を決めます。次に全員が各食品群の食物を十分に摂取できるよう分量を考えます。毎食の献立と必要な食品を書き出しておくと,役に立つものです。

買い物リストを作成する

次に,購入する食品とその分量を書いたリストを用意します。そうすれば,買い忘れを防げるだけでなく,必要のない食品を買わずにすみます。例えば,リストを作れば,値段が高くて健康によくない炭酸飲料や菓子類を買うのを避けることができます。

注意深く計画を立てて買うようにすると,買い物に行く回数が減るので,その分の時間と労力を別の事柄に当てることができます。妻に先立たれて12人の子供を育てているある男性は,マーケットに毎日買い出しに行くのは無理ですが,週に2回ならその時間が取れました。そこで,献立をよく考え,買う物をあらかじめ決めてから買い物に行くことにしました。また,新鮮なものが食べられるように食物の貯蔵に注意しました。

豊富に出回っている安い食品を買う

食品は一般に,豊富に出回っているときが最も安価ですから,そのような物を買うようにします。できれば,季節の物が安く出回っているときに買いだめし,乾燥させるなどして貯蔵しておき,後で食べるようにします。このようにあらかじめ計画を立て,出盛り期が終わった時期のために備えることが大切です。

家庭菜園と家畜の飼育

多くの家族は,家庭菜園で果物や野菜を栽培しています。広い土地がなくても,植木鉢や軒下を利用して植物を育てることができます。菜園が小さければ,そこに実った野菜や果物を食卓にのせることができるでしょう。かなり大きな菜園であれば,新鮮な食物を食べて,残りを保存しておくこともできます。食料の保存法としては,乾燥が一般的に行われています。

多くの国では,家庭で家畜や家禽類を飼育して食用にしています。例えば,あひる,にわとり,やぎ,牛,豚,うさぎといった家畜のほかに,魚も飼育できます。動物は「成長」に必要な食品を提供してくれます。

菜園の種まきや手入れ,収穫,あるいは家畜の飼育には,すべて計画を立てる必要があります。例えば,家族で飼育する場所やえさ,担当者などを計画すれば,家畜によって健康的な食物を得る助けになるでしょう。

慎重に予算を立てる

さらに健康的な食事をするのに役立つ計画がもう一つあります。それは,食費以外の生活費をいかに使うか計画することです。お金をどう使ったらよいか慎重に考えてみれば,ラジオや時計を買うよりも,健康維持に役立つ食物を買う方が賢明であると思うことでしょう。また,スナック菓子や炭酸飲料よりも,三大食品群の中の様々な食品にお金を使う方がよいことに気づくでしょう。

  • 独身の姉妹たちは,この課で学んだ事柄をどのように生かすことができますか。

まとめ

家族が毎日決められた時間に一緒に食事をするならば,健康と家族関係において多くの祝福を受けます。三大食品群から少なくとも1品ずつそろえれば,最も健康的な食事になります。1回に各々の食品を十分に摂取するには,家族一人一人に最低でも3口から4口は必要です。家族の健康や子供の成長に必要な食事を準備するには,食物の購入や栽培のために計画を立てて準備しなくてはなりません。

チャレンジ

今週,家族のための栄養価の高い献立を考える。毎食,三大食品群の中からそれぞれ1品以上をそろえ,各食品が最低3口から4口の割合で家族全員に行きわたるように準備する。家族が健康維持に必要な食物をバランスよく,十分に摂取できるように計画する。そのために,あらかじめ計画を立て,可能であれば家庭菜園を行い,豊富に出回っている物を乾燥その他の方法で保存し,貯蔵するようにする。お金の使い方を検討して,適切な食事のために十分な金額を回せるように改善できる点があれば改める。

教師の準備

レッスンの前に,以下の事柄を行う。

  1. 『末日聖徒の女性A』第22課「家族の栄養」,第25課「家庭菜園」を復習する。

  2. 本書とは異なる方法で食品を分類している国もある。もし4つ以上の食品群に分ける方法が使用されているなら,地元で教えられている分類に合うようにレッスンの内容を調整する。

  3. 一人の姉妹に三大食品群とその働きについて書いたポスターの作成を割り当てる。地元でとれる食物の中で,視覚資料5-a,5-b,5-cのように各食品群に属する食品を分類して書いてもらう。同じ姉妹に,このポスターを生徒に提示しながら食品の復習をするように割り当てておく。生徒に以下の質問に答えてもらう。

  • 三大食品群とは何ですか。

  • 各食品群にはそれぞれどのような特長がありますか。

  • 各食品群に属する地元でとれる食物には何がありますか。

  • 主食になるものには何がありますか。

  1. 三大食品群に含まれる食品を使った献立を幾つか書いたポスターを作成する。

  2. 家庭生産や予算の立て方について質問が出たときには,『末日聖徒の女性A』第26課「家庭生産」,第25課「家庭莱園」,第21課「財政管理」を読んで調べるように言う。

  3. 本課の引用文と聖句の発表を生徒に割り当てる。