セミナリー
使徒1章


使徒1章

使徒行伝の紹介

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The eleven apostles of Jesus Christ (all except Judas Iscariot) gathered together in Galilee. Two angels (dressed in white) are standing with the apostles and pointing to the heavens. The apostles are looking upward. The painting depicts the ascension of the resurrected Jesus Christ into the heavens. Christ is not depicted in the picture. (Mark 16:19-20) (Luke 24:50-53) (Acts 1:9-11)

復活後40日間,イエス・キリストは弟子たちを教え導かれました。この間,主は天に昇られた後,御自分の教会を導くよう使徒たちを備えられました。古代と同様に,イエス・キリストは今日も御自分が選ばれた使徒を通して御自身の教会を導き続けておられます。このレッスンは,イエス・キリストが使徒と預言者を通して御自分の教会を導かれることがいかに大切かを感じる助けとなります。

生徒の貢献を認識する。生徒はそれぞれ異なる背景や興味,希望,問題を抱えています。生徒がクラスで経験や洞察を分かち合うとき,それぞれの生活状況に影響を受けることがよくあります。これらの経験や洞察はほかの生徒に祝福をもたらし,教師が生徒の必要を評価し,それに応じて教える助けとなります。

生徒の備え:末日にイエス・キリストが御自分の教会を導いておられることを示す例を分かち合う準備をしてくるよう,生徒に勧めます。

学習活動案

キリストの昇天

生徒の必要に基づいて,次のシナリオを調整するとよいでしょう。生徒にロールプレイをしてもらい,この状況の友達に,順番に答えてもらってもよいでしょう:

末日聖徒イエス・キリスト教会の会員ではないあなたの友達から,「あなたが出席している教会を作ったのはだれで,今はだれが教会を導いているの?」と尋ねられたとします。

  • あなただったらどう答えますか。それはなぜでしょうか。

使徒行伝では,イエス・キリストが天に昇られた後の使徒たちの経験が描写されています。救い主が常にともにおられなくなったときに救い主の教会を前進させるのは,教会指導者にとって困難な務めであったに違いありません。しかし,使徒たちは自分たちだけで取り組まなければならなかったわけではありません。使徒行伝に記録されている使徒たちの経験は,イエス・キリストが使徒と預言者を通して御自分の教会を導かれるという真理を示しています。

イエス・キリストが御自分の教会を導いておられることについて感じていることを考えてください。学習帳に次の質問への答えを書いてください。

  1. イエス・キリストが御自分の教会を導いておられることを知ることが大切なのはなぜでしょうか。

  2. イエス・キリストによって導かれる教会で,あなたはどのようなものを目にすることを期待しますか。

  3. 次の尺度を使って,次の言葉にどの程度同意するかを判断してください:「イエス・キリストは今日,使徒と預言者を通して御自分の教会を導かれている。」なぜその回答を選んだか,説明してください:

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New Testament Seminary Teacher Manual- 2023

この課を研究する際,イエス・キリストが天に昇られた後に御自分の教会を導かれたこと,またイエス・キリストが今日も御自分の教会を導き続けておられることを感じる助けとなる御霊の促しに注意を払ってください。

イエス・キリストは昇天後も御自分の教会を導き続けておられる

「イエス・キリストが教会を導いておられることを示す例」というタイトルで学習帳に書きます。この課の間,学習帳に例を書き加え,それらがイエス・キリストと主の教会に対するあなたの証をどのように強めてくれるかについて深く考えてください。

使徒1-5章 の次の聖句を読み,イエス・キリストが昇天後も使徒たちをどのように助け続けられたかを探してください。これらの出来事が,イエス・キリストが御自分の教会を導いておられたことをどのように示しているかについて考えてください。日記に自分の考えを書き加えてください。

生徒に次の資料を配付します。4人一組のグループに分けるとよいでしょう。グループの一人一人に,一つの話を研究し,イエスが使徒を通して御自分の教会を導いておられる証拠を見つけてもらいます。その後,各自の答えをグループ内のほかの人と分かち合ってもらいます。

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New Testament Seminary Teacher Manual - 2023

研究する節

これらの節を研究する前に知っておくべきこと

使徒1:23-26

使徒たちとキリストに従う人々が集まり,イスカリオテのユダの代わりにだれが十二使徒の一人となるのかを話し合いました。

使徒2:37-43

キリストが天に昇られた直後に使徒たちがエルサレムに集まっていたときに,聖霊が力強く彼ら一人一人に降って来られました( 使徒2:1-8 参照)。ペテロは御霊に満たされてイエス・キリストについて証しました( 使徒2:14-36 参照)。この聖句は,この霊的なほとばしりが,それを目にした多くの人に及ぼした影響を説明しています。

使徒3:1-84:8-10

ペテロとヨハネはエルサレムの神殿で足の不自由な男性に遭遇しました。

使徒5:12-16

使徒たちは以前,イエス・キリストについてこれ以上語らないよう,ユダヤ人指導者たちから警告されていました( 使徒4:13-18 参照)。

使徒5:17-25

ペテロとヨハネは,イエス・キリストについて証し,主の御名によって奇跡を行い続けた後,投獄されました。

  • これらの節からイエス・キリストについて学んだことの中で,イエス・キリストに対するあなたの信仰と信頼に影響を与えるのはどのようなことでしょうか。

  • これらの出来事は,救い主が使徒たちを通して御自分の教会を導いておられたことをどのように示しているでしょうか。

イエス・キリストは今日も御自分の教会を導き続けておられる

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All the members of the First Presidency and the Quorum of the Twelve Apostles are seated or standing with the Christus Statue and statues of the Original Twelve at the Visitors’ Center in Rome, Italy. Front Left to Right: Dieter F. Uchtdorf, Jeffrey R. Holland, M. Russell Ballard, Dallin H. Oaks, Russell M. Nelson, Henry B. Eyring, David A. Bednar, Quentin L. Cook, D. Todd Christofferson, Gary E. Stevenson, Ronald A. Rasband, Neil L. Andersen, Dale G. Renlund, Gerrit W. Gong, Ulisses Soares

ラッセル M・ネルソン大管長は,救い主が今日どのように引き続き御自分の教会を導いておられるかを教えました:

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Official portrait of President Russell M. Nelson taken January 2018

「主の教会の会員としてわたしたちは,どなたがこの教会の頭として立っておられるかを知っています。それはイエス・キリスト御自身です。 ……

では,名称にはどんな要素がありますか。主の教会の名称に関して言えば,その答えは『すべて』です。イエス・キリストは,教会を主の御名で呼ぶように指示されました。なぜなら,主の力に満ちた主の教会だからです。

わたしは神が生きておられることを知っています。イエスはキリストです。主は今日御自分の教会を導いておられます。」

(ラッセル・M・ネルソン「教会の正しい名称『リアホナ』2018年11月号,88-89)

  • イエス・キリストが今日御自分の教会を導いておられることを知ることは,あなたの人生にどのような影響を与えるでしょうか。

生徒に,次の質問に答えるときに,クラスの準備を活用するように思い出してもらいます。生徒が答えるのに助けが必要であれば,教会の発展,モルモン書の出現と翻訳,すべてのふさわしい男性に神権の祝福を授ける啓示,教会員の生活の中で起こる奇跡,その他の例など,幾つかの例を分かち合うとよいでしょう。

  • あなた自身の生活や教会歴史の中で,イエス・キリストが今日も御自分の教会を導き続けておられるということを理解するのに役立つ例として,どのようなものがありますか。(これらの例を学習帳に書き込むのを忘れないでください。)

この質問に対する答えを考える助けとなる例を見る必要がある場合は,ChurchofJesusChrist.orgにあるビデオ「今はわたしたちの時代です!」の3:34-5:12を見るか,または「ことごとく,キリストにあって一つに帰せしめる」の10:09-13:58を見るとよいでしょう。

  • 救い主が御自分の教会を導いておられることを示すこれらの例は,わたしたちに対する主の気持ちを理解するうえでどのような助けとなるでしょうか。

深く考える

あなたが今日作成した,救い主が御自分の教会を導かれていることを示す例のリストを見返してください。使徒行伝を研究し続け,救い主と主の教会について学ぶ経験をさらに深める度に,この項目を書き加えるとよいでしょう。この真理についての証を学習帳に書き加えるとよいでしょう。

生徒に自分のリストを分かち合ってもらいます。救い主が今日どのように教会を導いておられるかについて個人的な証を述べ,何人かの生徒にも証を述べるように勧めるとよいでしょう。

注釈と背景情報

使徒行伝を書いたのはだれですか。

使徒行伝はルカが書いた「2部作の2番目の書である。1番目の書は『ルカによる福音書』として知られている。」(『聖句ガイド』 「使徒行伝」 の項,scriptures.ChurchofJesusChrist.org。 ルカ1:1-4; 使徒1:1も参照)

この書は何について書かれているだろうか。

使徒行伝は,四福音書にあるイエス・キリストの生涯と教えの記録と,イエスの使徒たちの記述や働きとの間の架け橋となるものです。使徒行伝は,神権の鍵を持つ者に対する聖霊の霊感を通して,救い主がどのように御自分の教会を導き続けられたのかを示しています。聖霊は使徒たちに真理を明らかされ,それから使徒たちは教会を導き教えました。使徒たちも,イエス・キリストの名によって奇跡を行いました。

十二使徒定員会のジェフリー R・ホランド長老は,次のように説明しています:

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Official Portrait of Elder Jeffrey R. Holland. Photographed January 2018.

「〔使徒行伝の〕最初の節が記された時点から,教会は死すべき人の力ではなく,神によって導かれ続けると宣言されていました。実際,使徒行伝という表題をもっとふさわしいものに変更するなら,『主に聖任された使徒たちの生活と務めの中に聖なる御霊によってあらわされた,復活されたキリストの行い』とすべきなのです。 ……

教会を管理する方法も同じです。救い主は前と同じ場所にはおられませんでしたが,教会の管理と指導の原則はまったく変わりませんでした。」

(「それで,何だというのですか。」〔新約聖書に関する教会教育システム大会での説教,2000年8月8日〕,6,si.ChurchofJesusChrist.org

使徒とはどのような人でしょうか。

主は今日どのように御自分の教会を導いておられますか。

十二使徒定員会のクエンティン L・クック長老は,次のように説明しています:

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Official portrait of Elder Quentin L. Cook. Called to the Quorum of the Twelve Apostles on 6 October 2007.

「神から託された教会の使命を管理している教会の指導者たちが,神から助けを受けていることを断言します。こうした導きは,御霊から,また時には救い主から直接もたらされることもあります。どちらの霊的な導きも与えられるのです。わたしは,これまでそうした助けを受けてきたことに感謝しています。しかし導きは,『全能の主が意図的にわたしたちを教育することを選ばれる』〔Neal A. Maxwell,All These Things Shall Give Thee Eperience(2007), 31〕ときに,主のタイミングで,教えに教え,訓戒に訓戒を加えて与えられます 〔2 ニーファイ28:30教義と聖約98:12128:21 参照〕。教会全体に関する導きがもたらされるのは,主の預言者に対してだけです。」

(クエンティン・L・クック「神にお会いする用意『リアホナ』2018年5月号,117)

ChurchofJesusChrist.orgにあるビデオ「わたしたちには生ける預言者が必要です」(2:44)を視聴し,その他の例を見てください。

現代の使徒と預言者はどのように召されるでしょうか。

例を見るために,ChurchofJesusChrist.orgにあるビデオ「教会のための啓示,わたしたちの人生のための啓示」の9:41-11:49,または「預言者の心」の4:08-6:40を見てください。

補足学習活動

古代と現代におけるキリストの証人

救い主が御自分の教会を導かれる方法の一例は,主が御自分の証人を与えてくださるということです。生徒は, 使徒2:323:10-16 ;と 5:32 に記録されているように,ペテロとヨハネがどのようにイエス・キリストについて証したかを研究するとよいでしょう。これらの証を, 2 ペテロ1:16;1 ヨハネ1:1 および 教義と聖約76:22-24 と比較してもらうとよいでしょう。

再臨の際,救い主は栄光のうちに天から降りて来られる

この活動は,救い主が来られる方法について生徒が疑問を持っている場合に使うことができます。生徒に ,使徒1:1-12 から上記の真理を見つけてもらいます。救い主の昇天はオリブ山で起こったことを指摘します( 12節 参照)。救い主が再びおいでになるとき,主は天から降りて来られ,実際にオリブ山の上に立たれる姿を見ることになることを説明します(ゼカリヤ14:4; 教義と聖約45:47-53133:19-20 参照)。これは主が世に御姿を現される前に起こり,その間,「人は皆ともにこれを見る。」( イザヤ40:5) 救い主の再臨が全世界にはっきりと明らかにされると知ることがなぜ大切なのか,生徒に話し合ってもらうとよいでしょう。これはどのような点でわたしたちに対する主の愛の表れなのでしょうか。