イエス・キリスト—わたしたちの平安の源

救い主が現世で教えられた時代と同様，この時代にも，主の驚嘆すべき力のしるしとして，この世的な平和と繁栄を求める人々がいます。人は時々，イエスの約束された永遠の平安が内なるものであり，信仰によって生じ，証によって確立し，愛によって養われ，従順と悔い改めを継続することによって表されることを理解できません。主の約束された平安は心と思いに影響を及ぼす霊の平安なのです。この内なる平安をほんとうに理解し，感じると，世俗的な不一致や争いに対する恐れはなくなります。そして，ほんとうに大切な事柄に関するかぎり，すべてはよしと心の中で言えるのです。

罪の中に平安はありません。解放感，人気，名声，そして繁栄さえ得られるかもしれませんが，そこに平安はありません。「悪事は決して幸福を生じたことがない」のです（アルマ41：10）。啓示された真理と調和しない生き方をして，平安を得られるはずがありません。悪意や争いの中に平安はありません。低俗な思い，性的不道徳，放縦の中に，平安はありません。麻薬，アルコール，ポルノグラフィーに浸る人に，平安はありません。精神的，肉体的，性的を問わず，いかなる虐待行為を行う人にも，平安はありません。虐待を行う人は，心からへりくだってキリストのもとに来て，完全に悔い改めて赦しを求めるまで，精神的，霊的不安に苦しみ続けることでしょう。

時にだれもが「人知ではとうてい測り知ることのできない神の平安」を切望するとわたしは思います（ピリピ4：7）。混乱した心を癒すこの平安は，キリストの光に従うときにのみ得られます。キリストの光は，「善悪をわきまえることができるように，すべての人に……与えられ」（モロナイ7：16），罪を悔い改め，赦しを求めるように促します。

栄えある，しかし壮絶な贖いの業が始まる数時間前，主イエス・キリストは使徒たちに重要な約束をされました。「わたしは平安をあなたがたに残して行く。わたしの平安をあなたがたに与える。」（ヨハネ14：27）

主は愛する弟子たちに，この世が知る平安，つまり安全で平穏で，争いや混乱のない状態を約束されたのでしょうか。歴史を見れば，そうでないことは明白です。最初に召された使徒たちは，その後の生涯を通じてひどい試練や迫害に遭いました。主が先ほどの約束に次のように付け加えられたのは恐らくそのためだと思われます。「わたしが与えるのは，世が与えるようなものとは異なる。あなたがたは心を騒がせるな，またおじけるな。」（ヨハネ14：27）

さらにこう続きます。「これらのことをあなたがたに話したのは，わたしにあって平安を得るためである。あなたがたは，この世ではなやみがある。しかし，勇気を出しなさい。わたしはすでに世に勝っている。」（ヨハネ16：33，強調付加）

心の底から感じる真の平安は，主イエス・キリストを信じる信仰によってしか得られません。この貴重な真理を悟り，福音の原則を理解し実践すると，大いなる平安が天の御父の子らの心と霊に滴ります。救い主はジョセフ・スミスを通してこう語られました。「わたしに学び，わたしの言葉を聴きなさい。わたしの御霊の柔和な道を歩みなさい。そうすれば，あなたはわたしによって平安を得るであろう。」（教義と聖約19：23）

わたしは皆さんに証できることに感謝します。イエスはキリストであり，神の御子であられます。イエスを信じ，信頼して，従うなら，すべての人が福音の与えてくれる快い平安を見いだすことができます。