インスティテュート
第27課:教義と聖約76:1-49


第27課

教義と聖約76:1-49

紹介とタイムライン

1832年2月16日,預言者ジョセフ・スミスとシドニー・リグドンは聖書の霊感訳(ジョセフ・スミス訳とも呼ばれる)の作業を進めていた。ジョセフ・スミスがヨハネ5:29を翻訳していたとき,ジョセフとシドニーがこの節の意味について深く考えていると,教義と聖約76章に記録されている示現を示された。この示現の中で,救い主は,御自分の実在と神性を確認し,サタンの堕落と滅びの子について教え,栄光の3つの王国の性質とそれを受け継ぐ人々について明らかにされた。

教義と聖約76章は,二つのレッスンで教えられる。このレッスンでは,忠実な者に対する主の約束,ジョセフ・スミスとシドニー・リグドンの御父と御子についての証,ルシフェルの堕落と滅びの子についての話を含む,教義と聖約76:1-49を採り上げている。

1832年1月25日ジョセフ・スミスは,オハイオ州アマーストで行われた教会の大会で,大神権の大管長として聖任された。

1832年1月下旬ジョセフ・スミスとシドニー・リグドンは,オハイオ州ハイラムに戻り,新約聖書の霊感訳に取り組んだ。

1832年2月16日教義と聖約76章が与えられた。

1832年3月24-25日ジョセフ・スミスとシドニー・リグドンは,オハイオ州ハイラムで,夜間に暴徒に連れ去られて,激しく打たれ,タールを塗られて羽毛を付けられた。

教えるための提案

教義と聖約76:1-10

主は御自身に仕える者に祝福を約束しておられる

生徒たちに,当時は正しいと思った事柄を読んだり聞いたりしたものの,後にそれが正しくなかったことが分かったときのことを考えてもらいます。一人か二人の生徒にその経験を詳しく説明してもらいます。

  • 真理を学び,真理を知るためにわたしたちは何ができますか。

預言者ジョセフ・スミスは,この世の後にわたしたちはどうなるかに関する理解をもって,同様の経験をしたことを説明します。預言者は,ほとんどのキリスト教会が死後の世界は天国と地獄だけから成っていると信じていた時代に生きていました。義人は天国に行き,悪人は地獄に行くというものです。ジョセフ・スミスとシドニー・リグドンがオハイオ州ハイラムで聖書の翻訳を再開したとき,二人は天国と地獄だけがあるというこの信仰について深く考えました。

一人の生徒に,教義と聖約76章の前書きを声に出して読んでもらいます。クラスの生徒には,なぜ預言者はこのような死後の世界についての考え方に疑問を抱いたのか見つけ,それを発表してもらいます。

預言者が深く考えたとき,主はジョセフとシドニー・リグドンに,救いの計画についての詳細を明らかにする示現をお示めしになったことを説明します(教義と聖約76:11-112参照)。主はこの栄光ある示現をお見せになったとき,真実で忠実な教会員に対して大いなる祝福を約束されました(教義と聖約76:1-10参照)。

教義と聖約76:1-5の要約として,これらの節は,主の知恵,力,永遠性,憐れみ,恵みを含む,主の特質を述べていることを説明します。

一人の生徒に,教義と聖約76:5-6を声に出して読んでもらいます。クラスの生徒には,それを聞きながら,どのような人が主の憐れみと恵みを受けるのか,主はどのような人に誉れを与えるのを喜びとされるのかを見つけてもらいます。

  • 主の憐れみと恵みを得るには何をしなければならないでしょうか(この文脈において,主を畏れるとは,主を崇め,敬い,愛することを意味すると説明します)。

  • 主はどのような人に,誉れを与えるのを喜びとされるとおっしゃっていますか。

次の言葉をホワイトボードに書きます:わたしたちが主を崇め,義をもって真理にかなって主に仕えるなら,主は……

生徒たちに,教義と聖約76:7-9を黙読して,主を崇め,主に仕える者に御自身がお与えになる祝福を見つけてもらいます。自分の聖典の見つけた箇所に印を付けるように,生徒たちに勧めてもよいでしょう。

  • これらの聖句によると,主を崇め,主に仕える者にはどのような祝福がありますか(7節にある奥義という言葉は,啓示を通してのみ知ることができる霊的な真理を指していることを説明する必要があるかもしれません)。

  • これらの節に基づくと,どのようにホワイトボード上の原則を完成させることができますか(生徒たちが答えてから,次の原則を示すように,ホワイトボードの文章を完成させます:わたしたちが主を崇め,義をもって真理にかなって主に仕えるなら,主は真理を明らかにしてくださる)。

一人の生徒に,教義と聖約76:10を声に出して読んでもらいます。クラスの生徒には,それを聞きながら,主を崇め,主に仕える者に主はどのように真理を明らかにされるか見つけてもらいます。

  • 主を崇め,主に仕える者に主はどのように真理を明らかにされるでしょうか。

主は啓示を受ける際の御霊の中心的な役割を教えることで,永遠についてのこの壮大な示現を始められたことの重要性を指摘します。生徒たちに,御霊によって教えられ,啓発された機会について考えてもらいます。何人かの生徒に経験を話してもらいます。あまりに個人的な経験や神聖な経験については話す必要はないことを生徒に思い出してもらうとよいでしょう。

教義と聖約76:11-24

ジョセフ・スミスとシドニー・リグドン,天の御父とイエス・キリストを見る

一人の生徒に,教義と聖約76:11-14を声に出して読んでもらいます。クラスの生徒には,それを聞きながら5-10節で与えられた約束の成就を見つけてもらいます。

  • ジョセフ・スミスとシドニー・リグドンの経験は,どのような点で5-10節にある約束の成就だと言えるでしょうか。

  • 12節によれば,御霊の力は彼らにどのような影響を与えたでしょうか。

一人の生徒に,教義と聖約76:15-19を声に出して読んでもらいます。クラスの生徒には,ジョセフ・スミスとシドニー・リグドンは啓示を受けるために自らをどのように備えたか見つけてもらいます。

  • ジョセフ・スミスとシドニー・リグドンは啓示を受けるためにどのような備えをしましたか(ヨハネ5:29の霊感訳について思いにふけった)。

  • 聖文を研究し,思いにふけるとはどういうことでしょうか(答えには,読んでいることについて深く考えたり思い巡らせたりする,読んでいることについて質問をする,見つけた真理が自分の生活にどのように関係しているかについてよく考えるなどが含まれるでしょう)。

  • 聖霊を通して啓示を受けるためにできることについて,ジョセフ・スミスとシドニー・リグドンの模範からどのような原則が学べるでしょうか(生徒が次のような原則を見いだすようにします:わたしたちが聖文を研究し,それについて深く考えるとき,主から聖霊を通して啓示を受けられるよう自らを備える)。

預言者とシドニー・リグドンが見た示現は,回復についての最も重要な啓示の一つであることを説明します。ウィルフォード・ウッドラフ大管長(1807-1898年)の次の言葉を見せて,一人の生徒に声に出して読んでもらいます。

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〔ウィルフォード・ウッドラフ大管長の画像〕

「特に〔教義と聖約76章の中の〕あの『示現』は,ただそれだけで,人類がこれまでに読んだどの書物のどの啓示よりも,大いなる光と真理と真実を明らかにしています。」(『歴代大管長の教え—ウィルフォード・ウッドラフ』120

数人の生徒に,交代で教義と聖約76:19-24を声に出して読んでもらいます。クラスの生徒には,それを聞きながら,ジョセフ・スミスとシドニー・リグドンが見たことと聞いたことを見つけてもらいます。

  • 預言者ジョセフとシドニー・リグドンは示現の中で何を見ましたか。何を聞きましたか。

生徒たちに,二人一組になって,これらの節から救い主イエス・キリストに関するどのような教義的な真理を見いだすことができるかを話し合ってもらいます。十分な時間を取ってから,数人の生徒にこれらの節から見いだした真理を発表してもらいます。生徒が発表するごとに,一人の生徒に,生徒たちが見いだした教義的な真理をホワイトボードに書いてもらいます。生徒が見いだすべき教義的な真理には次のようなものがあります:イエス・キリストは,生きておられる,栄光に満ちた御方であられる。天の御父とイエス・キリストは独立した別個の存在であられる。イエス・キリストはこの世界,およびそのほかの世界の創造主であられる。イエス・キリストを通して,わたしたちは神のもとに生まれた息子や娘となる。

ホワイトボードに書いた教義的な真理の下に次のように書きます:

これらの真理の中で,特に感謝をしたいのはどれですか。それはなぜでしょうか。

あなたが救い主イエス・キリストに関して真実であると知っていることは何ですか。

生徒たちに,これらの質問の中から一つ選び,パートナーと自分が考える答えを話してもらいます。生徒たちが考えや証を伝える時間を取った後で,これまで話し合った真理を証する御霊をさらに招くために,「主は生けりと知る」(『賛美歌』75)をクラスで歌うことを検討してもよいでしょう。

教義と聖約76:25-29

ジョセフ・スミスとシドニー・リグドンは,前世におけるルシフェルの反乱を見る

一人の生徒に,教義と聖約76:25-27を声に出して読んでもらいます。クラスの生徒には,それを聞きながら,ジョセフ・スミスとシドニー・リグドンが示現の中で次にどんなことを見たのかを見つけてもらいます。

  • ジョセフ・スミスとシドニー・リグドンは,前世においてルシフェルが行ったことについてどのようなことを知ったでしょうか。

ルシフェルという名前には「『光り輝く者』あるいは『光を持つ者』の意味がある」ことを説明します(『聖句ガイド』「ルシフェル」の項,scriptures.lds.org)。

  • ルシフェルは天の御父の独り子であるイエス・キリストに反抗したためどうなりましたか(滅びという称号は,失う,または破壊を意味すると説明するとよいでしょう)。

一人の生徒に,教義と聖約76:28-29を声に出して読んでもらいます。クラスの生徒には,それを聞きながら,ジョセフ・スミスとシドニー・リグドンはルシフェルの前世における反乱についての示現を見た後,主から何を行うようお命じになったのかを見つけてもらいます。

  • 主は何を行うようにジョセフとシドニーにお命じになりましたか。

  • 29節によれば,サタンが前世で行っていたことと同様に地上でも行っていることは何でしょうか(取り囲むという言葉は,完全に周りを囲むという意味であることを説明します)。

  • どのような点で,今日,サタンは神の聖徒たちに戦いを挑んでいるでしょうか。

教義と聖約76:30-49

ジョセフ・スミスとシドニー・リグドンは滅びの子らの苦しみについての示現を見る

教義と聖約76:30の要約として,ジョセフ・スミスとシドニー・リグドンは,サタンによって打ち負かされた者たちがどうなるかを見たことを説明します。

数人の生徒に,教義と聖約76:31-38を順番に声に出して読んでもらいます。クラスの生徒には,サタンによって打ち負かされた者たちについて主がおっしゃったことを見つけてもらいます。

  • 32節で,サタンによって打ち負かされた者たちに主がお与えになった称号は何ですか。

  • 31節および35節によると,どのような選択が滅びの子になる原因となるでしょうか。

預言者ジョセフ・スミスは,滅びの子になるには,人が「聖霊を受けて,もろもろの天が開かれ,神を知るようになった後に神に逆らうこと」と説明していることを指摘します(Manuscript History of the Church, vol. E-1, p. 1976, josephsmithpapers.org)。

一人の生徒に,スペンサー・W・キンボール大管長(1895-1985年)が述べた次の言葉を声に出して読んでもらいます。

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〔スペンサー・W・キンボール大管長の画像〕

「聖霊に逆らう罪はかなり特別な知識を必要とするので,普通の人にはそのような罪を犯すことは不可能です。」(Spencer W. Kimball, The Miracle of Forgiveness [1969], 123

  • 32-38節に記された滅びの子らが永遠に経験する苦しみについて,どのような点が心に残りましたか。(「主の定められたときに贖われない唯一の者」〔38節〕という言葉は,滅びの子は,復活した後に神の栄光の一部を受けない地上に住んだことのある,唯一の者を意味することを指摘します〔1コリント15:22教義と聖約88:27-32参照〕。)

教義と聖約76:45-49で,ジョセフ・スミスとシドニー・リグドンは,自分たちがそれを経験する者を除いて,だれも滅びの子の苦しみを完全に理解できないことを知ったと生徒たちに伝えます。

一人の生徒に,教義と聖約76:39-43を声に出して読んでもらいます。クラスの生徒には,それを聞きながら,残りの神の子供たちはどうなるのかを見つけてもらいます。

  • 残りの神の子供たちはどうなるでしょうか。

  • 人類の救いを可能にするものは何ですか。

  • これらの節から,イエス・キリストの贖罪を通してだれが救われるのかについてどのような教義を学ぶことができますか(生徒たちが答えてから,次の教義をホワイトボードに書きます:イエス・キリストの贖罪を通して,滅びの子を除いて,神のすべての子供たちは救われる)。

この文脈において,救われるという言葉は,ふさわしくあり,イエス・キリストの贖罪を通して,栄光の王国に場所を受け継ぐことができることを意味すると説明します。

  • この教義はなぜ「喜びのおとずれ」と呼ばれるのだと思いますか(40節)。

最後に,このレッスンで見いだした真理について証を述べて,レッスンを終えます。