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第29課:教義と聖約77-80章


「第29課:教義と聖約77-80章」教義と聖約教師用手引き

「第29課」教義と聖約教師用手引き

第29課

教義と聖約77-80章

紹介とタイムライン

1832年3月,ジョセフ・スミスは,引き続き新約聖書の翻訳に携わっていた。預言者が黙示録を研究するに当たり,主は,使徒ヨハネが記した幾つかの象徴と出来事の意味を明らかにされた。この啓示は教義と聖約77章に記録されている。

1832年3月1日,教義と聖約78章に記録された啓示の中で,主は預言者に,教会の倉と出版業務を管理するために,会社(後に共同商会として知られる)を組織するよう指示された。また主は,この会社を組織するようにとの戒めに従うならば,聖徒たちが受けるであろう祝福について説明された。3月下旬,預言者は,教義と聖約79-80章に記録されている啓示を受けた。その中で主は,ジェレド・カーター,スティーブン・バーネット,イーデン・スミスを召し,福音を宣べ伝えるよう命じられた。

1832年2月-3月ジョセフ・スミスとシドニー・リグドンは,新約聖書の霊感による改訂を続けた。

1832年3月教義と聖約77章 が与えられた。

1832年3月1日教義と聖約78章 が与えられた。

1832年3月7日教義と聖約80章 が与えられた。

1832年3月8日ジョセフ・スミスは,ジェシー・ガウスとシドニー・リグドンを大神権の大管長会顧問に任命した。

1832年3月12日教義と聖約79章 が与えられた。

1832年3月24-25日ジョセフ・スミスとシドニー・リグドンは,オハイオ州ハイラムにおいて,暴徒の一団に激しく殴られ,タールを塗られ,羽毛を付けられた。

1832年3月29日ジョセフ・スミスとエマの養子となったジョセフ・マードック・スミスが死亡した。

教えるための提案

教義と聖約77章

主は,黙示録に関する疑問への答えを明らかにされる

クラスが始まる前に,ホワイトボードに次の言葉を書いておきます:

現代においては,神が語りかけられる必要はない。わたしたちは神の言葉をすでに十分受けているからである。

聖書以上に権威のある聖文はあり得ない。

クラスの始めに,こうした主張やそのほか同様の主張をする人もいることを説明します。生徒たちに,自分ならこのような言葉にどう対応するかを尋ねます。

二人の生徒に,教義と聖約の序文の第1段落と第3段落を順番に声に出して読んでもらいます。ほかの生徒には,聞きながら,このような主張に対応するうえで,教義と聖約がどのような助けになるかを見つけてもらいます。

  • ホワイトボードにある主張が間違っていることを示す,どのような言葉または聖句を見つけましたか。

  • 第1,第3段落によると,教義と聖約にある末日の啓示を研究することは,わたしたちにとってどうして重要なのでしょうか。

一人の生徒に,教義と聖約の序文の第6段落の最初の一文を,声に出して読んでもらいます。ほかの生徒には,しばしば教義と聖約に記録されている啓示を受けるきっかけとなった状況を見つけてもらいます。

  • しばしば教義と聖約に記録されている啓示を受けるきっかけとなった事柄とは何でしょうか。

十二使徒定員会のM・ラッセル・バラード長老の次の言葉を提示し,生徒の一人に声に出して読んでもらいます。

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M・ラッセル・バラード長老

「教義と聖約の研究から学ぶべき一つの教訓があります。啓示は,一般的に,質問に対する答えです。主がジョセフを訪れて,彼の肩をたたき,『あなたへの啓示があります』と言われたのではありません。そうではなく,ジョセフの方が主のもとに行き,答えを与えていただけるように願ったのです。折に触れ,ジョセフはわたしたちに,自分がどのように尋ね求め,それに対して,どのように啓示がもたらされるかについて述べています。ラッセル・ネルソン長老は,最近,この重要な原則についてさらに洞察を深め,次のように述べています。『主は知りたいと願う人にしか教えることがおできになりません。』」(M. Russell Ballard, “What Came from Kirtland” [Brigham Young University fireside, Nov. 6, 1994], 8,speeches.byu.edu)

  • 主から真理と啓示を受けるには,探究心が必要となるのはなぜだと思いますか。

このコースでは,教義と聖約77-138章公式の宣言一に言及していることを説明します。このコースのために,聖文を研究するための目標を立てるよう生徒たちに勧めてください。真摯な質問に対する答えとして主が与えられた啓示の例について研究するに当たり,聖文を調べるよう生徒に勧め,それらの啓示の中に,自分自身の質問への答えとなる真理を見つけるように励ましてください。

1832年3月,預言者は,カートランドから30マイル(約48キロ)ほど南にある,オハイオ州ハイラムのジョン・ジョンソンとアリス(エルサ)・ジョンソンの家に住んでいたことを説明します。当時,ほとんどの聖徒たちは,オハイオ州と,ミズーリ州ジャクソン郡に住んでいました。ジャクソン郡は,主が将来シオンが築かれると啓示されていた地です。1832年2月から3月にかけて,預言者は,現在ジョセフ・スミス訳として知られる,欽定訳聖書の霊感訳に引き続き携わっていました。ジョセフ・スミスがヨハネの黙示録を翻訳しているとき,主は,使徒ヨハネが記した象徴や出来事の幾つかの意味を明らかにされました。この啓示は教義と聖約77章に記録されています。

クラスを二人一組に分けます。次の聖句をホワイトボードに書き,各ペアに次の聖文の一つを読むように割り当てます:

  1. 黙示4:2-8教義と聖約77:1-5

  2. 黙示5:17:1-4教義と聖約77:6-11

  3. 黙示8-29章の前書き10:1011:3教義と聖約77:12-15

まず,割り当てられた黙示録の聖句をそれぞれのパートナーと一緒に読み,ヨハネが述べた象徴や出来事を見つけてもらいます。その後,教義と聖約77章から割り当てられた聖句をそれぞれのパートナーと一緒に読み,黙示録に記された象徴や出来事の意味を明らかにするうえで助けとなる主の説明を見つけてもらいます。何人かの生徒に,得た洞察を発表してもらいます。

  • わたしたちが聖文の意味を理解するうえで助けとなる預言者の役割について,教義と聖約77章からどのようなことを学ぶことができますか(生徒が次のような教義を見いだすようにしてください:主はその預言者を通して聖文の解釈を明らかにされる)。

  • 主はその預言者,聖見者,啓示者を通して聖文の解釈を明らかにされることを理解するのは,どうして重要だと思いますか。

  • ジョセフ・スミスが聖文を理解するために行ったことを,わたしたち個人の聖文研究にどのように当てはめることができるでしょうか(生徒たちは様々な言葉を用いるでしょうが,次のような原則を見いだすようにしてください:神に尋ね求めるとき,神はわたしたちが聖文を理解するように助けてくださる)。

生徒たちがこの原則を理解するうえで助けとなるように,十二使徒定員会のダリン・H・オークス長老の次の言葉を提示し,一人の生徒に声に出して読んでもらいます。

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ダリン・H・オークス長老

「聖書やほかの聖典をどのように読み,用いるかに関して,わたしたちがほかの大半のクリスチャンと異なる点は,絶えざる啓示を信じていることです。わたしたちにとって,聖文は知識の究極の源ではなく,究極の源に先立つものなのです。究極の知識は,啓示によってもたらされます。……

聖文に記された主の言葉は,わたしたちの足もとを照らし導くともしびのようなものであり(詩篇119:105参照),啓示はともしびの明るさを何倍にも増す強大な力なのです。わたしたちはすべての人に,聖文と,聖文に関する預言者の教えを注意深く研究し,その意味を自分自身で知るために,よく祈って個人の啓示を求めるように勧めます。」(Dallin H. Oaks, “Scripture Reading and Revelation,” Ensign, Jan. 1995, 7).

  • よく祈って自分自身で理解を求めるに当たり,「聖文に関する預言者の教え」に加えて,注意深く聖文を研究することが重要なのはなぜだと思いますか(『教義と聖約生徒用資料』〔教会教育システム手引き〕には,教義と聖約の中で教えられている真理を生徒がさらによく理解するのに役立つ末日の預言者の教えが多数含まれていることを指摘します)。

生徒たちに,預言者の教えや祈りによってもたらされた個人の啓示を通して,聖文をさらによく理解できるように神の助けを受けたときのことについて考えてもらいます。そうしたいと感じる生徒がいるなら,何人かの生徒に,自分の経験を分かち合ってもらいます。あなた自身の経験を話すのもよいでしょう。

教義と聖約を毎日読み,預言者の教えを研究し,祈りを通して神に尋ね求めることで,そこに書かれている教義や原則についてのさらに深い理解を求めるよう,生徒を励ましてください。

教義と聖約78章

主はジョセフ・スミスに共同商会を設立するようお命じになり,主の戒めを守る人々への祝福を約束しておられる

聖文の意味に関する啓示を受けたことに加えて,預言者ジョセフ・スミスは,教会の実務的な事柄に関しても啓示を受けたことを説明します。一人の生徒に,教義と聖約78章の前書きを声に出して読んでもらいます。ほかの生徒には,その箇所を目で追いながら,教会基金の管理を助けるために,主が預言者に組織するよう命じられたものは何かを見つけてもらいます。見つけたことを生徒たちに発表してもらいます。

共同商会が監督することになる商業的試みとは主の倉を指しており,オハイオ州カートランドにおいてはニューエル・K・ホイットニーによって,ミズーリ州インディペンデンスにおいてはシドニー・ギルバートによって運営されたことを説明します。 これらの倉は聖徒たちに必需品を供給するとともに,土地の購入資金や主がジョセフ・スミスに与えられた啓示の出版費用を調達するためのものでした。

一人の生徒に,教義と聖約78:3-6を声に出して読んでもらいます。ほかの生徒には,その箇所を目で追いながら,そのほかにこの共同商会が聖徒たちを助けるために行ったことは何かを見つけてもらいます。

  • 3-4節によると,共同商会は聖徒たちにどのような益をもたらし,また祝福したでしょうか。

  • 5-6節によると,なぜ主は聖徒たちに,貧しい人々を助けるようにお命じになったのでしょうか。

  • 6節にある「あなたがたは地上のものにおいて平等でなければ,天のものを得ることにおいて平等にはなれないからである」という言葉は,どのような意味だと思いますか。

以前の啓示において,主は,各家族に関して平等であるように,すなわち各人の状況に応じて,その入り用と必要を満たすのに十分な財力を持つようにと定められたことを説明します(教義と聖約51:3参照)。このように,地上の物事について平等であるということは,だれもが同じだけの資産を持つという意味ではありません。

一人の生徒に,教義と聖約78:7を声に出して読んでもらいます。ほかの生徒には,この世の物事において平等であるようにという戒めに従うならば,聖徒たちにどのようなことが起こると主はおっしゃっているかを見つけてもらいます。見つけたことを生徒たちに発表してもらいます。

  • 7節で主が教えておられることによると,主の命じられることへの従順は,わたしたちにとって何かに備える助けとなることについて,どのような原則を学ぶことができるでしょうか(生徒が次のような原則を見いだすようにしてください:主の戒めに従うことにより,わたしたちは日の栄えの王国における場所に入る備えができる)。

生徒たちに,主の戒めの幾つかについて考えてもらいます。貧しい人々を助けることを含め,それらの戒めがわたしたちにとって日の栄えの王国に備えるうえで,どのように助けとなるのかについて,生徒に説明してもらいます(教義と聖約105:3-5参照)。

教義と聖約78:8-16の要約として,主は共同商会を組織するために,ジョセフ・スミス,ニューエル・K・ホイットニー,シドニー・リグドンを任命されたことを説明します(教義と聖約82章参照)。共同商会の面々は,教会の商取引と出版業務を管理するために,聖約によって結ばれるよう求められていました。主の指示に従うことによって,教会はそのほかの地上のあらゆるものから自立するようになるでしょう。

生徒たちに,教義と聖約78:17-20 を黙読しながら,主が教会指導者に与えられたそのほかの勧告を見つけてもらいます。

  • 17-18節にある主の言葉は,これらの教会指導者にとって,謙遜にさせられると同時に,どのように慰めをもたらすものとなったでしょうか。

生徒たちに,これまで自分が受けてきた主の王国の祝福と永遠の富について,深く考えてもらいます。何人かの生徒に,それらがどのように自分の生活を祝福してきたかを分かち合ってもらいます。

  • 19節において,主は教会指導者に,何をするように勧告しておられますか。

  • 19節によると,すべてのことを感謝して受け入れるなら,わたしたちはどうなるでしょうか(生徒たちが答えた後,ホワイトボードに次の原則を書きます:すべてのことを感謝して受け入れるならば,わたしたちは栄光を受け,主は祝福を増し加えてくださる。「栄光を受ける」とは,最終的に,昇栄を受けることだと説明します)。

  • すべてのことを感謝して受け入れるとは,あなたにとってどのような意味でしょうか。

  • 神から受けるすべてのこと,特に神の戒めを感謝して受け入れるべきなのはなぜだと思いますか。

生徒たちに1分間与えて,自分が感謝していることのリストを作ってもらいます。生徒たちに,神からさらに十分にすべてのことを感謝して受けるために,自分が行おうと思うことを計画してもらいます。

教義と聖約79-80章

主は,ジェレド・カーター,スティーブン・バーネット,イーデン・スミスを伝道の業に召される

教義と聖約79-80章の要約として,主がジェレド・カーター,スティーブン・バーネット,イーデン・スミスを宣教師として奉仕するよう召されたことを説明します。主はジェレド・カーターに,慰め主が真理を教え,行くべき場所を示すと約束なさいました(教義と聖約79:2参照)。主はスティーブン・バーネットとイーデン・スミスに,自分が聞いたこと,信じていること,真実であると知っている事柄を告げ知らせるように命じられました(教義と聖約80:4参照)。

この課で教えられている真理について証を述べて,レッスンを終えます。