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第31課:教義と聖約84章


「第31課:教義と聖約84章」教義と聖約教師用手引き

「第31課」教義と聖約教師用手引き

第31課

教義と聖約84章

紹介とタイムライン

1832年9月,宣教師たちは合衆国東部における福音の宣教からオハイオ州カートランドに帰還し,それぞれの成果をジョセフ・スミスに報告した。再会の場で,預言者は主に尋ね,教義と聖約84章に記録されている啓示を受けた。この啓示の中で,主は,神の臨在に入り,神の持っておられるものすべてを受けるために,神権者はどのように聖徒たちを備えるべきかについて説明された。主は,御自分の言葉に聞き従うことの大切さをお教えになり,ミズーリ州ジャクソン郡の聖徒たちを,モルモン書と御自分の戒めを軽々しく扱っていることに対して叱責された。また主は,世の人々に福音を宣べ伝えるよう聖徒たちにお命じになり,そのための指示を与えられた。

1832年6月下旬ジョセフ・スミスは,ミズーリ州インディペンデンスからオハイオ州カートランドに戻った。

1832年9月12日ジョセフ・スミスとエマ・スミスは,ニューエル・K・ホイットニーの店に住むため,オハイオ州のハイラムからカートランドへ移った。

1832年9月22-23日教義と聖約84章が与えられた。

1832年10月初旬ジョセフ・スミスとニューエル・K・ホイットニーは,マサチューセッツ州ボストン,ニューヨーク州アルバニー,ニューヨーク市へと旅をして福音を宣べ伝え,カートランドにある店のために商品を買い付けた。 

教えるための提案

教義と聖約84:1-32

主は,新エルサレムに神殿が建設されることを宣言し,神権の目的について説明しておられる

生徒たちに,組織された宗教や神権の儀式がなくても,人は霊的になり神に近づくことができると信じる友人がいると想定してもらいます。この友人にどのように答えるかを考えながら,次の質問について深く考えてもらいます:

  • 末日聖徒イエス・キリスト教会の忠実な会員となり,忠実であり続けることがわたしたちにとって必要なのはなぜでしょうか。

  • 神に近づくうえで,神権の儀式を受けてそれに付随する聖約を守ることが必要となるのはなぜでしょうか。

生徒たちに,教義と聖約84章を研究するに当たり,なぜわたしたちは活発な教会員である必要があるのか,また神権の儀式に携わる必要があるのかを理解するうえで助けとなる教義と原則を見つけてもらいます。

1832年9月12日,ジョセフ・スミスは,オハイオ州ハイラムからカートランドに再び住まいを移したことを説明します。 同月に,合衆国東部での伝道から戻った数人の長老たちが,自分たちの伝道奉仕について報告するためにジョセフ・スミスのもとを訪れました。9月22日から23日にわたり,それらの長老たちの幾人かとともに過ごす中で,ジョセフ・スミスは主に尋ね求め,教義と聖約84章に書かれている啓示を受けました。

一人の生徒に,教義と聖約84:1-2を声に出して読んでもらいます。ほかの生徒には,その箇所を目で追いながら,主が末日に教会を設立された理由を見つけてもらいます。

  • 主は,なぜ末日に教会を設立されたのでしょうか。

2節にある「主の民の回復」という言葉は,イスラエルの集合と彼らが聖約に立ち返ること,そして主が古代イスラエルと交わされた約束を指していることを説明します。

一人の生徒に,教義と聖約84:3-6を声に出して読んでもらいます。ほかの生徒には,その箇所を目で追いながら,主が,集合しつつある聖徒たちに何をするよう期待しておられるかを見つけてもらいます。生徒たちに見つけたことを発表してもらいます。

  • 主は,聖徒たちが神殿を建てたならば,どのようになさると約束されたでしょうか。

6節の「モーセの息子たち」という言葉に注目してもらい,この言葉はメルキゼデク神権を持つ人々を指していることを説明します。一人の生徒に,次の文章を声に出して読んでもらいます。

「この〔言葉〕は,31〔節〕へと続く文の冒頭にあります。その間の節(7-30節)はすべて挿入句であって,モーセとアロンに至るまでの神権の系統に関する記述を含め,その系統がどのようにして現代に回復されたかについて述べられているのです。」(Hyrum M. Smith and Janne M. Sjodahl, Doctrine and Covenants Commentary [1972], 498)

6-31節に含まれる挿入句による説明がなければ,この文はどのように読めるかを生徒たちが確認するのを助けるために,6節の最初の部分(「そして……モーセの息子たち,」)と続きの31節の文(「と,アロンの息子たちは」から最後まで)に印を付けるように勧めてもよいでしょう。「アロンの息子たち」という言葉は,アロン神権を持つ者たちを指していることを説明します。一人の生徒に,6節と31節から,印を付けた文章を声に出して読んでもらいます。この文は,挿入句に当たる聖句で論じられているように,神権の回復が神殿の儀式を行うために必要であったことをわたしたちが理解するのに役立つことを説明します。

教義と聖約84:6-16の要約として,これらの節では,モーセの神権の権能の系統がアダムにまで直接さかのぼって述べられていることを説明します。

一人の生徒に,教義と聖約84:17-22を声に出して読んでもらいます。ほかの生徒には,その箇所を目で追いながら,主が神権について明らかにされた事柄を見つけてもらいます。

  • 17節において,主は神権についてどのようなことを明らかにしておられますか。

  • 「この大神権」すなわちメルキゼデク神権は「王国の奥義の鍵,すなわち神の知識の鍵」(19節)を持つとは,どういう意味でしょうか(必要であれば,「奥義」とは「啓示によってのみ知ることのできる霊的な真理」であることを説明します〔『聖句ガイド』 「神の奥義」の項scriptures.lds.org〕)。

生徒たちが答えた後,ジョセフ・スミスはメルキゼデク神権について,「すべての知識,教義,救いの計画,およびあらゆる重要な事項が天から明らかにされ〔る経路である〕」と教えていることを説明します(『歴代大管長の教え—ジョセフ・スミス』108)。

  • メルキゼデク神権の儀式について,20節からどのような教義を見つけることができますか(生徒たちが次の教義を見つけるように助けてください:神性の力はメルキゼデク神権の儀式において現れる)。

神性の力とは義の力であり,わたしたちはそれによって神を知り,神のようになることを説明します  (see Bruce R. McConkie, The Promised Messiah [1978], 589)

  • 21-22節によると,儀式とメルキゼデク神権の権能が存在しないとき,どうなるでしょうか。

  • メルキゼデク神権の権能によって,どのような儀式が執り行われますか。

十二使徒定員会のD・トッド・クリストファーソン長老とデビッド・A・べドナー長老の次の言葉を提示し,生徒の一人に声に出して読んでもらいます。ほかの生徒には,二人の長老が神性の力について教えていることを探してもらいます。

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D・トッド・クリストファーソン長老

「神との聖約を守る人の生活に,天の御父は神の影響力,すなわち『神性の力』を注がれます(教義と聖約84:20)。御父がそうされるのは,わたしたちが神権の儀式を受けることを通して,選択の自由を行使してそれを受ける選びをしたからです。……

すべての儀式において,特に神殿の儀式において,わたしたちは高い所から力を授けられます。この『神性の力』は,聖霊の影響力によってわたしたちにもたらされます。」(D・トッド・クリストファーソン, 「聖約の力」『リアホナ』2009年5月号,21) 

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デビッド・A・べドナー長老

「イエス・キリストの贖罪を通して用意されている祝福を余すところなく受けるには,誠実な心で聖約を受けて尊び,適切な神権の権能によって執り行われる儀式を受ける必要があります。なぜなら神権の儀式によって,肉体を持つ人間に神性の力が現れるのであって,贖罪の祝福もその中に含まれるからです。」(教義と聖約84:20-21参照)」(デビッド・A・べドナー,「容易に重荷に耐えられるように」『リアホナ』2014年5月号,88)

  • クリストファーソン長老によれば,神性の力とは何でしょうか。

  • 生活の中で神性の力を得るために,どのようなことができますか。

  • べドナー長老によると,メルキゼデク神権の儀式を受けて聖約を尊ぶとき,わたしたちの生活にどのような祝福がもたらされるでしょうか。

生徒たちに,メルキゼデク神権の儀式を受けて聖約を守るとき,自分の生活の中に神性の力がどのように現れたかを深く考えてもらいます。何人かの生徒に,自分の考えや経験を分かち合ってもらいます(きわめて個人的,または神聖な事柄については話すべきではないことを生徒に思い起こさせてください)。あなたの個人的な経験を分かち合ってもよいでしょう。

神性の力が自分の生活の中に現れるように,可能なかぎりメルキゼデク神権のすべての儀式を受けて聖約を忠実に守るよう生徒たちを励ましてください。

生徒たちに,教義と聖約84:23-24を黙読しながら,主は,メルキゼデク神権の儀式を受けることの重要さをどのようにお教えになったかを見つけてもらいます。

  • どのようなことをしたために,イスラエルの子らは自分たちの生活に神性の力を持つ特権を失ったのでしょうか。

25-32節の要約として,イスラエルの子らは心をかたくなにしたため,メルキゼデク神権の鍵とその儀式が民の中から取り去られてしまったことを説明します。それでも主は彼らに,アロン神権を保持することをお許しになりました。主は,モーセの息子たちとアロンの息子たち,すなわち神権を持つ人々は,その後シオンに築かれる神殿で奉仕するようになることも明らかにされました(教義と聖約84:31-32参照)。

教義と聖約84:33-44

主は,神権の誓詞と聖約について明らかにされる

教義と聖約84:33-44において,主は神権の誓詞と聖約について教えておられることを説明します。

ホワイトボードに,見出しとして「聖約」「約束」という言葉を書きます。何人かの生徒に,教義と聖約84:33-44を順番に声に出して読んでもらいます。クラスの半分の生徒に,神権の誓詞と聖約の一部として,神権者が入る聖約を見つけてもらいます。残りの半分の生徒には,主が神権の誓詞と聖約を忠実に守る者になされる約束を見つけてもらいます。何人かの生徒に,見つけたことをホワイトボードの相当する見出しの下に書いてもらいます。

  • 原則の一つとして,これらの聖約と約束をどのようにまとめますか(生徒たちは様々な言葉を使うでしょうが,次のような原則を見いだすようにしてください:忠実に神権を受けた人が自分の召しを尊んで大いなるものとし,主と主の僕を受け入れ,永遠の命の言葉に心を留めるならば,神は彼らを聖め,御自分の持たれるすべてのものを与えてくださる。ホワイトボードにこの原則を書きます)。

神権を得るとはどういう意味かを生徒が理解するのを助けるために,以下の七十人のポール・B・パイパー長老の話を提示し,一人の生徒に声に出して読んでもらいます。

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ポール・B・パイパー長老

「神権のすべての祝福は,夫婦としてともに受けるものであって,そうでなければまったく受けることができません。

興味深いことに,主は神権の誓詞と聖約の中で,得る受け入れるという動詞を使っておられ,聖任するという動詞は使っておられません。男女がともにアロン神権とメルキゼデク神権の両方の祝福と力を得,それを受け入れるのは,神殿においてです。」(ポール・B・パイパー,「死すべき世—その明らかにされた現実」 『リアホナ』2016年1月号,47)

ホワイトボードに書かれた原則に注意を向けます。

  • 神権の権能を通して受けた召しを尊んで大いなるものとするとは,どういう意味でしょうか。

  • 救い主の僕たちを受け入れるとはどういう意味だと思いますか。主の僕たちを受け入れることなくして,主を受け入れることはできないのは,なぜでしょうか。

教義と聖約84:45-59

主は,世界がなぜ暗闇の中にあるかを説明し,聖徒たちに悔い改めるよう警告しておられる

生徒たちに,教義と聖約84:45-48を黙読しながら,神の言葉を熱心に心に留める人々はどうなるかを見つけてもらいます。

  • 神の言葉を熱心に心に留める人々は,どうなりますか。

一人の生徒に,教義と聖約84:49-53を声に出して読んでもらいます。ほかの生徒には,主は,御自分の声を心に留めようとしない人々について,どのように言っておられるかを見つけてもらいます。

  • 主は,御自分の声を心に留めようとしない人々について,どのように言っておられますか。

生徒たちに,教義と聖約84:54-59を黙読しながら,シオンの聖徒たちが,神の言葉をどれほどよく心に留めていたかを見つけてもらいます。

  • 57節によると,聖徒たちは何を軽々しく扱っていましたか。

 57節にある「以前の戒め」とは,教義と聖約の中の以前の啓示や,聖書からの教えを指していると思われることを指摘します。

  • 54-58節から,神の言葉を信じないことや軽々しく扱うことによる結果について,どのような原則が見いだせますか(生徒たちが,次のような原則を見つけるように助けてください:神の言葉を信じなかったり軽々しく扱ったりするならば,わたしたちの心は暗くなり,罪の宣告の下にある)。

罪の宣告の下にあるとは,神により現された光と知識を受け入れてそれに従うことを拒んだだめに,神により罪に定められることであると指摘します(『聖句ガイド』「罪の宣告」scriptures.lds.org教義と聖約93:31-32参照)。

  • 不信仰や神の言葉を軽々しく扱うことで,どのように人の心は暗くなり得るでしょうか。

教義と聖約84:60-120

主は聖徒たちに,福音を全世界に携えていくよう命じられ,宣教の業に召された者たちを導かれる

教義と聖約84:60-120の要約として,主は聖徒たちに,福音を全世界に宣べ伝えるようにお命じになったことを説明します。聖徒たちが「絶えず〔神〕の言葉を〔自分の〕心の中に大切に蓄える」よう努めるならば,主は,福音を伝えるときに言うべきことが分かるように霊感を与えると約束しておられます(教義と聖約84:85 )。主は,御霊において強い者は,弱い者を教化し,強めるようお命じになり,聖徒たちは様々な召しにおいて働くときに,教会を強め,互いに教化し合うことができるとお教えになりました。

教義と聖約84章で教えられている真理について,あなたの証を分かち合って,レッスンを終えます。生徒たちに学んだことを応用するよう勧めてください。