インスティテュート
宣教師への備え 教師用手引き(宗教130)について


宣教師への備え 教師用手引き(宗教130)について

わたしたちの目的

宗教教育セミナリー・インスティテュートの目的

「わたしたちの目的は,以下のことができるよう,青少年とヤングアダルトを助けることです。イエス・キリストの教えと贖いについて理解しそれに頼る。神殿の祝福を受ける資格を得る。天の御父とともに永遠の命にあずかるため,自分自身と自分の家族と周りの人々を備える。」(『福音を教え学ぶ─宗教教育セミナリー・インスティテュートの教師ならびに指導者用手引き』1)

インスティテュートの教師は,効果的に福音を教えることで次の目標を達成する助けとなることができます。「わたしたちは生徒に,聖典と預言者の言葉に見いだされるままの福音の教義と原則を教えます。これらの教義と原則を,彼らが理解し,教化されるような方法で教えます。わたしたちは,生徒が学習の過程における自らの役割を果たすよう助けます。また,福音を他の人々に教える備えができるよう彼らを助けます。」(『福音を教え学ぶ』x

「福音を教え学ぶときの基本」は,教師と生徒の両者が聖文,預言者の言葉,『わたしの福音を宣べ伝えなさい』をともに学ぶときに,宗教教育セミナリー・インスティテュートの目的を達成する助けとなります。これらの基本とは次のとおりです

  • 御霊によって教え,学びます。

  • 愛と敬意と目的意識のある学習環境を作ります。

  • 毎日聖文を研究し,コースの聖典を読みます。

  • 聖典と預言者の言葉の背景と内容を理解します。

  • 福音の教義と原則を見つけ,理解し,それらが真実であり重要であることを感じ,それらを応用します。

  • 福音の教義と原則を説明し,分かち合い,証します。

  • 重要な聖句と基本的な教義に精通します。

「これらの基本的な事柄を,賢明に,また相互に調和を保って実行するとき,生徒は,聖文と聖文に含まれている教義と原則を理解する能力を身につけることができる。また,福音の学習における役割を積極的に果たすよう生徒に促し,福音に従って生活して福音を他の人々に教える能力を増し加える。」(『福音を教え学ぶ』10)これらの基本は,教授法としてではなく,結果としてみなされるべきです(『福音を教え学ぶ』10参照)。本手引きにある教えるための提案には,教えるときにこれらの結果を達成するための方法が記載されています。

本課程の目的

宗教130─『宣教師への備え』は,教義,原則,聖文にある勧告,預言者の言葉,『わたしの福音を宣べ伝えなさい』に焦点を絞ることで,生徒が専任宣教師になるための備えをする助けとなるように考案されたものです。教師が本課程の準備を行い教えるときに,この手引き,聖文,『わたしの福音を宣べ伝えなさい』が主なテキストとなります。『わたしの福音を宣べ伝えなさい』が本課程の生徒用手引きとなるため,生徒が個人の学習とクラスでの学習に使用できるよう各自手引きを入手するように勧めてください。生徒が手引きに精通するようになり,伝道に出る備えにおいてそれを使うのを助けることで,教師は生徒の生活に祝福をもたらすでしょう。

レッスンの構成

この手引きは,召されたばかりの教師だけでなく,経験豊富な教師をも助けるよう考案されています。1学期間使用できるよう構成されており,15のレッスンに分かれています。各レッスンは,90分の授業時間で教えるようになっています。授業時間が90分以下に設定されている場合は,レッスンを短くするか,複数回の授業にわたって教えるようレッスンを分けることができます。

手引きの各レッスンは5つの項から成っています。

  • はじめに

  • 事前準備

  • 教えるための提案

  • 教え方のヒント

  • 行動するように勧める

はじめに

各レッスンは,レッスンで学ぶ教義,原則,主な概念を短くまとめた導入で始まります。

事前準備

この項には,研究するべき重要なリソースが記載されており,事前に準備する必要のある各レッスンの概要で使用するリソース(例─ビデオ,配付資料など)が列挙されています。例えば,レッスンでビデオを見せるよう提案があるときには,事前にビデオをダウンロードするか,その他の方法でビデオを準備しておくのが賢明です。

教えるための提案

この項には指定された授業のテーマを教えるための提案が書かれています。教師はこの項を注意深く研究する必要があります。本手引きの教えるための提案は,『福音を教え学ぶ』の第3章に説明のあるパターンに従っています。それらは,生徒が福音の原則を理解し,応用し,個人の改心を深めるのを助けるために,教師の教えの中に「福音を教え学ぶときの基本」を取り入れる方法を表しています。

各レッスン内容の本文中には,幾つかの重要な教義,原則,真理が太字で強調されています。これらの教義と原則が教科課程の中で明確にされているのは,次の理由によります。(1)聖文と『わたしの福音を宣べ伝えなさい』にある重要な真理を反映している,(2)宣教師候補者の必要と状況に特によく当てはまる,(3)生徒が主との関係を深め,専任宣教師になる備えをするために役立つ重要な真理である。大管長会のヘンリー・B・アイリング管長は次のように勧告しています。「レッスンを準備するとき,改心を促す原則を探してください。……改心を促す原則とは,神の御心に従うように導く原則です。」(“Converting Principles”〔教会教育システム宗教指導者への説教,1996年2月2日〕1;si.lds.org)本手引きは,レッスンで教える教義や原則の全てを明らかにするものではなく,教師は御霊の導きに従って,レッスンの資料では扱っていないその他の教義や原則を教えることもできるということに留意してください。レッスンを適応させる際のアイデアについては,次の「何をどのように教えるかを決める」の項を参照してください。

教え方のヒント

教え方のヒントはレッスン全般でボックスの中に記載されており,さまざまな教える方法,技術,テクニックについての指針となります。宗教教育の基本原則に追加の洞察を提供するよう考案されています。教えるときに,これらの助けを効果的かつ一貫して応用できる方法を見つけてください。

行動するように勧める

十二使徒定員会のデビッド・A・ベドナー長老は次のように教えています。「〔宣教師候補者〕一人一人にわたしが心から望むのは,ただ単に伝道に行くのでなく,宣教師推薦書を提出するずっと前から,また,召しを受け,ステーク会長から任命を受け,宣教師訓練センターに入るずっと前から,宣教師になることです。」(「宣教師になる」『リアホナ』2005年11月号,45)この概念に従って各レッスンには,宣教師候補者が宣教師訓練センターに入る前から,宣教師のように考え,行動し,奉仕するのを始めるよう勧めるために提案された活動が含まれています。この項にある活動は,クラスで学んだ事柄を生徒たちが家庭で実践するよう促します。これらの活動を割り当てたり,提案する方法は幾つかあります。例えば,学期内の各週に行うのに推奨される活動のリストを最初の授業で配付することができます。また,ホワイトボードにその週に行う活動を書き出したり,メールを毎週生徒に送ることもできます。

何をどのように教えるかを決める

生徒の必要を満たす教えるためのアイデアを選ぶ

教える準備をするときに,次のように自問してもよいでしょう。どのような方法または学習活動が,生徒が知る必要のある事柄を理解するのに助けとなるだろうか。生徒が重要な教義や原則を明確にして,それを理解し,説明できるようになるには何が助けになるだろうか。生徒がそれらの教義や原則の真実性と重要性を感じられるようにするには,何ができるだろうか。生徒が自分の生活にこれらの教義や原則を応用できるようにするためには,どのように助けることができるだろうか。

この手引きは,レッスンを計画する過程で教師の助けとなるよう考案されています。レッスンの内容を注意深く見直してください。生徒の必要性に最も合う教えるためのアイデアを選択し,教師個人の教授スタイルに合わせてください。聖霊がその過程で教師を導きます。教科課程の提案を全て使うか,それとも一部だけ使うかは教師が決めることができます。あるいは,生徒の必要と状況に合わせて,提案されている教え方を適応させることもできます。レッスンの内容をどのように適応させるか決める際には,よく準備をすること,また御霊の導きを受けることを忘れないでください。十二使徒定員会のダリン・H・オークス長老の次の勧告を考慮してください。「まず最初に身につけてから適応させるようにします。生徒に教える規定のレッスンをしっかりと学んでおけば,それを御霊に従って適応させていくことができるようになります。」(「ダリン・H・オークス長老とのパネルディスカッション」〔宗教教育セミナリー・インスティテュート衛星放送,2012年8月7日〕6;si.lds.org

教える機会を生徒に与える

本過程で教師ができる最も重要なことの一つは,授業中に生徒が教える練習を行い,証をする機会を多く与えることです。それは多くの若者は福音の教義や原則を教える自信がまだ足りないからです。生徒が質問に答え,福音の真理をクラスメートに説明し,『わたしの福音を宣べ伝えなさい』にある宣教師のレッスンを教える機会を生徒に与えてください。いかに福音の教義や原則が救いにつながるかを宣教師候補者が理解するようになると,彼らはさらに力強く,心から福音を教えられるようになります。

何を語り,何を行うかを学ぶだけでなく,宣教師候補者は求道者の必要性に集中し,改心につながる道を歩み続けるためにそれぞれの求道者が必要としている事柄を御霊によって見極めることを学ばなければなりません。求道者の改心が継続するためには,宣教師が何を語り,何を行うかということよりも,求道者が信仰に基づいて行うかどうかに懸かっていることを生徒が理解するよう助けてください。最も効果的な働きをする宣教師は,求道者が語り,行うことに細心の注意を払い,愛をもって彼らが改心へと進歩できるよう助けます。

生徒に期待される事柄を明確にする

レッスンを教える準備をするとき,次の提案が助けとなるでしょう。

  • 各レッスンの前に『わたしの福音を宣べ伝えなさい』の該当する項または総大会の説教を読んできてもらいます。各授業で何を学ぶか,各クラスの準備のために生徒は何を読むべきかを説明するシラバスまたはコースの概要をコースの始めに生徒に配ってもよいでしょう。事前に準備をする生徒は,授業中に聖霊によってさらに教えを受けるようになります。

  • 生徒が学習者としての役割を果たすことを期待します(『福音を教え学ぶ』6,15,55参照)。

  • 生徒が自ら福音の真理を見いだすようにします。教師がレッスンの準備をする際に経験したような学習過程に生徒を導くと,彼らは教化されます。生徒が自ら教義や原則を見いだすときに,それらの真理を自分の言葉で説明したり,彼らが知っていること,感じていること,これからどうするつもりであるかについて証する機会を与えてください。

  • 生徒が互いに教え学び合うときに,主の御霊を感じることができるような環境を作ります(教義と聖約88:78,122参照)。

  • 生徒に自分の聖典,『わたしの福音を宣べ伝えなさい』,学習帳を授業に持参するよう勧めます。学習帳とは何であるか,またその使い方を説明してください。

何をどのように教えるか決めるときに,十二使徒定員会のデビッド・A・ベドナー長老の次の言葉を心に留めるようにしてください。

「わたしの人生に大きな影響を与えてくれた教師たちには,共通する特徴があります。彼らは皆,信仰によって学ぶ望みを持てるよう助けてくれました。難しい質問に対して,簡単な答えをくれることはありませんでした。実際のところ,何の答えもくれませんでした。その代わり,自分で答えを見つけられるように,そのための行動を起こせるように,道を示してくれました。教師の取ったそのような方法にいつも感謝していたわけではありません。しかし,やがてさまざまな経験をするにつれ,人からもらった答えは忘れやすく,短い間しか記憶にとどまらないということが分かってきました。その反面,信仰を働かせて自分で見つけたり,たどり着いたりした答えは通常,生涯にわたって心に残ります。」(“Seek Learning by Faith”〔デビッド・A・べドナー長老との夕べ,2006年2月3日〕5;si.lds.org

教えるための活動

レッスンの概要で提案された授業で教えるための活動を構成する方法は数多くあります。生徒が興味を失うことなく集中できるように活動の構成を変化させることはたいていの場合良いことです。例えば,ロールプレーの間,宣教師と求道者の役,適切な場合は評価者としての役を交代で行ってもらうとよいでしょう。必要であれば教師もこのいずれかの役を担うこともできます。

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〔4人のグループの図の画像〕
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〔2,3人のグループの図の画像〕

MMissionary(宣教師);IInvestigator(求道者);EEvaluator(評価者)

訓練モデル

生徒が技術と能力を高める助けとするため,宣教師訓練センターで使用されている訓練モデルを本過程で使用するのに適応させることもできます。生徒が練習を通じて改善する助けとするという目標を最も効率良く達成するために,このモデルの要素をあらゆる順番で繰り返し使用することができます。

説明する—実演する—練習する—評価する—再度練習する

説明する

生徒が知っておくべき概念や技術を教え,これらの技術や概念が宣教師としての目的を果たすのにどのように役立つかを説明します。

実演する

生徒たちが行うことの模範を提示します。生徒の前で実演したり,ビデオを見せたり,その他の方法で行うことができます。

練習する

二人一組またはグループで生徒に練習してもらいます。

評価する

生徒からのコメントを求めて,うまくできたこと,技術を向上する方法を見つけてもらいます。生徒を励ましてください。

再度練習する

可能な場合は,繰り返し練習できる時間を与えます。

オンライン伝道活動

生徒たちが専任宣教師になると,次のような場面で伝道のツールとしてインターネットを使用するようになります。求道者を見つける,求道者や会員に連絡を取る,地元の神権指導者および伝道主任とともに働く,質問に答える,求道者の紹介を受ける,紹介された求道者に連絡を取る,決意が守れているかを確認する,約束を確認する,『わたしの福音を宣べ伝えなさい』から原則を教えるなど。本手引きの至る所に書かれたさまざまな提案を使うことで,生徒たちがオンラインのツールを使用して福音を分かち合い始めるよう勧めることができます。

本コースの教師は,一週間のうちにメールやソーシャルメディアを使って生徒に連絡を取り,宿題のフォローアップをしたり,授業に来る前に勉強するよう励ましたり,モルモン書を毎日読むことを忘れないよう伝えたりするとよいでしょう。

障がいのある人に合わせて手引きを使う

障がいのある生徒に教えるときは,生徒の能力に合うようにレッスンを適応させることができます。例えば,読むことができない生徒に適応させるには,教師が読むか,他の生徒に読んでもらうか,録音された教材(音声版または動画版の聖典や『わたしの福音を宣べ伝えなさい』,総大会の説教など)を使うことができます。レッスン中に筆記で答える必要がある場合は,代わりに答えを口頭で述べるよう勧めるとよいでしょう。障がいのある生徒に個別に教材を読んだり,代わりに答えを書いたりするなど,他の生徒が助けることもできるでしょう。

さらにアイデアやリソースを入手するには,disabilities.lds.orgの障がいに関するリソースページ,および宗教教育セミナリー・インスティテュートのポリシーマニュアルにある「障がいを持つ生徒のための適応クラス」というタイトルのセクションを参照します。