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イエス・キリストの福音を教える(第1部)
はじめに
イエス・キリストの福音には人が神のもとへ戻り,日の栄えの王国に昇栄するのに必要な永遠の教義,原則,律法,聖約,儀式があります。福音の第一の原則と儀式は,イエス・キリストを信じる信仰,悔い改め,水に沈めるバプテスマ,聖霊の賜物です。求道者がバプテスマと聖霊を受ける前に,イエス・キリストを信じる信仰を持ち,罪を悔い改める助けができるよう宣教師候補者は備える必要があります。
事前準備
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『わたしの福音を宣べ伝えなさい』の60-63ページを研究します。
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「息子アルマの改心」(『福音の視覚資料集』77番)または同様の絵を見せる準備をします。
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ビデオ“Jesus Christ Is the Way”〔英語〕(5分2秒)を見せる準備をします。このビデオは,LDS.orgで視聴可能です。
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このレッスンの最後にある「悔い改め」の配付資料のコピーを作ります。この資料は悔い改めを教えるためのアイデアで使用します(任意)。
教えるための提案
キリストを通して,罪から洗い清められる
今日のレッスンから生徒が学ぶ準備をさせるために,授業が始まる前に次の質問をホワイトボードに書いておきます。
授業を始めるときに,何人かの生徒にホワイトボードに書いた質問に答えてもらいます。何人かの生徒が答えてから,「わたしの福音を宣べ伝えなさい」61ページの「罪」という表題の欄の文章を一人の生徒に声に出して読んでもらいます。その後,次の質問をします。
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求道者がイエス・キリストの福音を学ぶ前に,罪とは何か,その結果について学ぶことはなぜ大切ですか。
次の質問をホワイトボードに書いて,生徒が『わたしの福音を宣べ伝えなさい』60-61ページの「わたしたちはキリストを通して罪から清められる」の項を研究するときに,その質問の答えを見つけてもらいます。
生徒が読む時間を十分取った後で,彼らが見つけたことを発表してもらいます。生徒の答えには次のような真理が含まれるとよいでしょう。
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神が愛する御子イエス・キリストをこの世に送られることで,わたしたちが死んだ後に神のもとに戻って住むことができる可能性が生まれた。
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主の恵みと憐れみによってのみ,わたしたちは罪から清くされる。
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イエス・キリストの贖罪と復活により,全ての人は裁きを受けるために主の前に連れ戻される。
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いかなる汚れた者も,神のもとに住むことはできない。
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イエス・キリストはわたしたちの代わりに,わたしたちの罪のためにその罰の苦しみを受けた。
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わたしたちがイエス・キリストを受け入れ,悔い改め,戒めに従うときに,主はわたしたちの罪を赦してくださる。
次に,生徒に数分の時間を与えて,今読んだ段落の中,または61ページの「聖文研究」の欄にある,たった今見つけた原則の一つが示されている聖句を,研究するか,印を付けてもらいます。クラスの半分には今読んだ段落にある聖句を読んでもらい,もう半分には「聖文研究」の欄にある聖句を読むように指示してもよいでしょう。これらの聖句をどのように使うことができるかを説明できるよう生徒に準備してもらいます。これらの聖句は,わたしたちが罪の影響に打ち勝つことができるように天父とその御子イエス・キリストがされたことを求道者が理解するのを助けるために使用します。数分時間を与えてから,何人かの生徒に学んだことを説明してもらいます。
イエス・キリストを信じる信仰
『わたしの福音を宣べ伝えなさい』1ページの「あなたの目的」という表題の欄にある宣教師の目的の文章を生徒と復習します。その後,次の質問をします。
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(1)人が「キリストのもとへ来」て回復された主の福音に帰依するのを助けることと(2)単に誰かが教会の会員になるのを助けることにはどのような違いがありますか。
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誰かが教会の会員になるのを助けることよりも,キリストのもとに来るよう助けることが宣教師にとってさらに大切なのはなぜですか。
『わたしの福音を宣べ伝えなさい』61ページの「イエス・キリストを信じる信仰」という表題の項の最初の段落を生徒に研究するように言います。生徒が研究するときに,イエス・キリストを信じる信仰は,人が回復された福音に帰依するためのどのような助けになるのかを見つけてもらいます。その後,次の質問をします。
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今読んだことから,イエス・キリストを信じる信仰を持つとはどういうことですか。
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イエス・キリストを信じる信仰は,人が回復された福音に帰依するのをどのように導くでしょうか。
次のことをホワイトボードに書きます。イエス・キリストを信じる信仰は行動へとつながる。『わたしの福音を宣べ伝えなさい』61-62ページの「イエス・キリストを信じる信仰」の残りの部分を生徒に読んでもらいます。生徒が読むときに,イエス・キリストとキリストの贖罪を信じる信仰を表す行動の幾つかに印を付けてもらいます。数分たってから,次の質問をします。
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求道者がイエス・キリストを信じる信仰を育んでいることを示す行動にはどんなものがありますか。(次のような答えが考えられます。救い主のことについて学び救い主のようになる,戒めに従う,罪を犯さないようにする,誘惑に打ち勝つ力を求めて祈る,神の言葉を学ぶ,福音の原則に従うという決意を守る。)
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今読んだことによると,わたしたちがイエス・キリストを信じる信仰を働かせるとき,主はわたしたちの日々の生活においてどのように祝福してくださいますか。(次のような答えが考えられます。人生の困難に立ち向かう力を与えてくださる,わたしたちの心の願いを変えるのを助けてくださる,肉体的,霊的にわたしたちを癒やしてくださる。)
次の質問の答えを学習帳に書いてもらいます。
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あなたのイエス・キリストを信じる信仰は,この項に表されているような行動をするのにどのような動機づけになりましたか。
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イエス・キリストを信じる信仰があることを示すのに,他にどんなことができますか。
生徒たちに二人一組になってもらいます。そのペアにイエス・キリストを信じる信仰についての2-3分のレッスンを準備してもらいます。準備するときに,『わたしの福音を宣べ伝えなさい』の61-62ページにある内容(聖文研究の欄にある聖句も一つか二つ含める)を使うように言います。『イエス・キリストの福音』という名前の宣教師用小冊子を生徒たちが使うこともできます。生徒が準備する時間を十分与えてから,各ペアが別のペアと組んで4人のグループ(各グループに二つのペア)になるようにします。一つのペアがもう一つのペアに教えるようにします。レッスンでは自分の言葉を使い,単純明快に教えるように説明します。
生徒たちがレッスンの練習を終えたときに,レッスン中に良くできたこと,教えるのが難しかったこと,なぜ難しかったのか,教えられている二人がイエス・キリストを信じる信仰を持つことの大切さを感じるのにレッスンがどのように助けになったかを,4人の小さなグループで話し合ってもらいます。
次に役割を交代してもらい,教えを受けたペアが今度は教える側になります。お互いにフィードバックを与える時間を取るようにします。
この練習を終えるときに,何か質問はないか,どんな洞察を得たかを尋ねます。生徒が答えをためらっているようであれば,「レッスンを教えていた二人から聞いたことで,好きだったことはどんなことですか」という質問をしてもよいでしょう。生徒が自分の生活でイエス・キリストを信じる信仰を持つことによって祝福された経験を分かち合ってくれる人がいるか尋ねます。
悔い改め
「息子アルマの改心」(『福音の視覚資料集』77参照)の絵を見せて,一人の生徒にアルマの息子の改宗談を短くまとめてもらいます(アルマ36:6-24参照)。それから数人の生徒にアルマ36:13,17-21,23-25を順番に声に出して読んでもらいます。
その後,次の質問をします。
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アルマはイエス・キリストを信じる信仰があることをどのように示しましたか。
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アルマが信仰を示した結果,どうなりましたか。
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アルマの真摯な悔い改めの結果,どうなりましたか。
生徒に1分間時間を与えて,学習帳に悔い改めの定義を一文で書いてもらいます。何人かの生徒に書いた文章を読み上げてもらいます。生徒たちが頭の中で悔い改めの簡潔な定義を確かなものにするために,十二使徒定員会のニール・L・アンダーセン長老が語った次の言葉を見せて,一人の生徒に声に出して読んでもらいます。
「人は罪を犯すと神に背を向けますが,悔い改めるとき,向き直って神に立ち返るのです。……
悔い改めとは,不正直,高慢,怒り,不純な思いといったことに背を向け,それらとは違う,親切,無私の心,忍耐,霊性といったことに目を向けることです。それは向き直って,『再び神に立ち返る』ということなのです。」(「わたしがあなたがたを癒すことができるように,……悔い改めなさい」『リアホナ』2009年11月号,40-41)
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この簡潔な定義は,あなたが悔い改めの説明をするのにどのように役立ちますか。(生徒が答えてから,ホワイトボードに次の原則を書きます。悔い改めとは,向き直って神に立ち返ることである。)
生徒が悔い改めの過程と結果をさらに理解することができるように,モーサヤ3:19;4:1-3;5:2を研究してもらってもよいでしょう。彼らが研究するときに,悔い改めの意味を定義するのに役立つ言葉を見つけてもらいます。十分な時間を与えた後,数人の生徒に見つけたことを説明してもらいます。その後,次の質問をします。
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これらの聖句では,最終的に罪の赦しを受けるためにベニヤミン王の民はイエス・キリストを信じる信仰を働かせたというどのような証拠を見ることができますか。
次の表を配付資料として配るか,表をホワイトボードに書いて,生徒の学習中に書き写してもらうようにします。
悔い改めとは何でしょうか |
どのように悔い改めるのでしょうか |
悔い改めの実,あるいは悔い改めを証明するものとは何でしょうか |
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思い,信条,行動の変化 |
後悔,神の御心に添った悲しみを感じる |
キリストの憐れみを受ける |
『わたしの福音を宣べ伝えなさい』62-63ページの「悔い改め」という表題の項を生徒たちに研究してもらいます。生徒たちがそれを読むときに,『わたしの福音を宣べ伝えなさい』の言葉や文章を用いて,聖典学習帳に書き写した表または配付資料の表に書き込んでもらいます。どのような言葉を入れるべきか生徒が分かるように,各欄には例が書かれています。表が出来上がると,次のようになります。
悔い改めとは何でしょうか |
どのように悔い改めるのでしょうか |
悔い改めの実,あるいは悔い改めを証明するものとは何でしょうか |
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思い,信条,行動の変化 自分自身,神,世の中に対する捉え方が新たになる わたしたちの生活を神の御心に添わせる 罪から遠ざかり,二度と同じ罪を繰り返さなくなる 続けて過ちを正し,改善し続ける |
後悔,神の御心に添った悲しみを感じる 間違ったことをやめる 正しいことを続けるようになる 罪を認める 罪を告白する 神に赦しを求める わたしたちの行いが引き起こした問題を正す 罪を犯したいという思いに抵抗する キリストのような特質を伸ばし,知識を増やし,奉仕する 神に従うことによって,神への愛を示す |
キリストの憐れみを受ける 自分自身と世の中の捉え方が変わる わたしたちと神との関係を理解する 神に従いたいという望みが強くなる 神の赦しを感じる 神の平安を感じる 罪悪感や悲しみが消え去る 御霊の影響力をさらに豊かに感じる 天父と御子とともに住むためにさらに準備ができる さらにキリストのようになる 喜びを感じる |
生徒が表を完成させるのに十分な時間を与えた後,生徒が表に書き込んだ言葉をクラスの他の生徒と話し合ってもらいます。生徒が読み取った教義や原則の理解を深めることができるように,次の質問の一部または全部を尋ねてもよいでしょう。
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1番目と2番目の欄に書き込んだ原則は,求道者が本当に悔い改めているかどうかを知るのにどう役立つでしょうか。
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3番目の欄に書き込んだことによると,悔い改めにより,罪の赦しを受けること以上にどのような祝福がもたらされますか。
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1番目と3番目の欄に書いた事柄について考えます。これらのことを本当に実現させたければ,なぜキリストを信じる信仰がなければならないのでしょうか。
生徒が答えるときに,宣教師は,人がイエス・キリストを信じる信仰を育み,悔い改めへと導かれるのを助けるために福音を教えるということを指摘してもよいでしょう。イエス・キリストを信じる信仰と悔い改めは贖罪の恩恵を受けるための条件です。また悔い改めによって,求道者は天父とイエス・キリストにさらに近づけるようになります。生徒たちが悔い改めについて教える練習をするための準備として,次のシナリオを与えます。
あなたと同僚は二人のルームメイトを2週間ほど教えています。二人のうち一人はよく進歩成長しています。もう一人のルームメイトは,興味をなくしたようで,あなたがレッスンを始めると部屋を出て行ってしまいます。興味をなくしたルームメイトにどうにかその理由を尋ねると,彼は現在神の御心に添った生活していないことを自覚しており,今までいつもそのような生活をしてきたこと,それが自分の性格であり,どうしようもないことだという考えに落ち着いたと説明してくれました。
生徒たちに二人一組になってもらいます。ペアに十分な時間を与えて,もう一組のペアに悔い改めについての3-4分のレッスンをどのように協力して教えることができるかを考えてもらいます。シナリオで説明した二人のルームメイトに教えるロールプレーをする準備をするよう生徒に言います。レッスンは単純明快で,ルームメイトが必要としている事柄に焦点を当てたものにするように言います。興味をなくしたルームメイトはなぜ変わる必要があるのか,また救い主の助けによって,悔い改めが可能であることを理解してもらうにはどのように助けることができるかを生徒は考える必要があります。『わたしの福音を宣べ伝えなさい』の62-63ページまたは『イエス・キリストの福音』という宣教師用小冊子の内容を使ってもらうようにします。悔い改めの大切さを説明する聖句を一つか二つレッスンに入れるように勧めます。
一つのグループにつき二つのペアで小さなグループを作ります。一つのペアがもう一つのペアに教えるようにします。教えられるペアはシナリオにある二人のルームメイトの役をします。求道者の役をする生徒たちには,考えられる問題を素直に打ち明けることはかまいませんが,大げさに演じたり,教えている二人に敵対的にならないように指導します。
生徒たちがレッスンの練習を終えたときに,良くできたこと,もう少しうまくできればよかったことをグループ内で話し合ってもらいます。
その後役割を交代してもらい,もう一つのペアが教える練習ができるようにします。お互いにフィードバックを与える時間を取るようにします。
ロールプレーが終わってから,この教える練習で得た疑問や洞察を分かち合ってもらいます。
悔い改めは人々が向き直って神に立ち返る道であることの真理や重要性を生徒が感じることができるように,ビデオ“Jesus Christ Is the Way”〔英語〕(5分2秒)を見せます。
ビデオの後,次の質問をします。
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この姉妹が悔い改めによって真に変わったこと,向き直って神に立ち返ったことが分かるどんな証拠を見ることができましたか。
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福音のメッセージによって,どのようにこの姉妹が変わり,神に立ち返ったかを見て,どのような気持ちがしましたか。
信仰と悔い改めの力について証を述べたい人がいるか,またなぜ福音を分かち合いたいと感じているかを述べたい生徒がいるか尋ねて,授業を終わります。教師も最後に証をします。
行動するように勧める
次に提案する活動を一つまたは複数行うことで,イエス・キリストを信じる信仰によってもたらされる祝福および悔い改めによる罪の赦しと喜びについてさらに学ぶよう生徒に勧めます。
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次回の家庭の夕べでイエス・キリストを信じる信仰と悔い改めの重要性についてのレッスンを教えます。
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『わたしの福音を宣べ伝えなさい』62ページの「聖文研究」の欄にある信仰についての聖句を研究します。自分が伝道中に人に教えるのに使いたいと思う聖句に印を付けます。
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『聖句ガイド』や現代の預言者,使徒たちの言葉を使って,悔い改めの教義について研究します。学んだことを学習帳に書き留めます。自分が伝道中にこの教義について分かち合うことのできる証を持っているかどうかを考えます。毎日悔い改めることで悔い改めの原則への信仰を強め,その経験を学習帳に記録します。
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ソーシャルメディアなどのオンラインツールを活用して,他の人が見られるようにビデオ“Jesus Christ Is the Way”〔(英語〕または救い主とキリストの贖罪についてのその他のビデオ)を投稿します。そのビデオが自分にとってなぜ大切であるかを説明します。
配付資料