インスティテュート
第3課:御霊によって学ぶ


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御霊によって学ぶ

はじめに

宣教師が福音の中で成長し,永遠の命へと続く道にとどまるためには,福音研究の習慣を身につける必要があります。宣教師訓練センターでは,宣教師は毎日個人で,または同僚と数時間を研究に費やします。伝道地でも,毎日引き続き福音の研究を続けることが期待されています。宣教師は福音の知識の源を築き,自分自身がさらに福音に帰依するために,「研究によって,また信仰によって」学ばなければなりません(教義と聖約88:118)。宣教師が力を受けて教え,宣教師の目的を成し遂げるためには,聖霊に導かれた研究を通じて得た,この知識の源を持つことが不可欠です。

事前準備

教えるための提案

福音研究の重要性

生徒にジョセフ・スミスと兄ハイラム・スミスの絵を生徒に見せ,教義と聖約第11章を開いてもらいます。ジョセフ・スミスがモルモン書の翻訳を行っていたときに,兄のハイラムは御業に強い関心を抱き,他の人に回復のメッセージを分かち合いたいと願うようになったことを説明することで,この章の背景を生徒が理解できるように助けます。ハイラムは,自身への主の御心を知るために,ジョセフに啓示を求めるよう願いました。主の答えが教義と聖約第11章に記録されています。多くの点でハイラムは,回復された福音のメッセージを分かち合うために備えをしているこのクラスの生徒たちと同じ状況にありました。

数人の生徒に教義と聖約11:15-17を声に出して順番に読んでもらい,他の生徒たちには聞きながら,主がハイラムに与えられた勧告を見つけてもらいます。その後,次の質問をします。

  • なぜ主は福音のメッセージを人に分かち合う前に「もう少しの間待ちなさい」とハイラムに告げられたのですか。

生徒たちに教義と聖約11:21-22および26を読んでもらい,今日の宣教師候補者に当てはまる勧告を見つけてもらいます。

  • 人に福音を分かち合う備えをするハイラムに主は何をするよう指示されましたか。神の言葉を得るとはどういう意味ですか。主の言葉を心の中に大切に蓄えるとはどういう意味ですか。

  • 今日伝道に出る備えをしている人にとって,これらの節で述べられている主の勧告はどのように役立つでしょうか。(生徒はさまざまな答えを挙げると思われますが,次の原則を認識できるとよいでしょう。福音の研究を通じて,宣教師は御霊によって力強く福音を宣べ伝える備えができる。

  • 「〔主〕の言葉を得るように努め〔る〕」人に,主はどのような祝福を約束されていますか。

生徒に『わたしの福音を宣べ伝えなさい』の180ページを開いてもらい,一人の生徒に「聖文を使って力強く教えられるかどうかは」で始まる段落を声に出して読んでもらいます。その後,次の質問をします。

  • この段落のどの部分が,効果的な宣教師になることを目指す人に対して毎日の聖文研究の重要性を強調しているでしょうか。(聖文研究を通じて,宣教師は力強く福音を教える備えができる。)

このレッスンの続きでは,個人の聖文研究からさらに多くのものを引き出す方法に重点を置いていることを生徒に伝えます。個人の聖文と福音の研究の効率を高めるために,レッスン中に学んだ事柄を当てはめる方法を常に深く考えるよう生徒に勧めます。

学習帳の活用

『わたしの福音を宣べ伝えなさい』の「はじめに」の部分にあるxページを開いてもらいます。二人の生徒に「学習帳」の項の二つの段落を声に出して読んでもらいます。生徒に読んでもらった後,次の質問をします。

  • この項によると,学習帳を活用することは,あなたが福音を研究するときにどのような助けとなりますか。

  • 福音を研究するときに受ける考えや気持ちを記録することはなぜ大切なのですか。

生徒が学習帳を持っているか尋ね,持っている生徒に,学習帳がどのように役立ったかを発表してもらってもよいでしょう。まだ学習帳を使ったことがない生徒には,使い始めるよう勧めます。学習帳は安価な日記帳,ノート,ルーズリーフのようなシンプルなものでよいことをもう一度伝えます。またLDS.orgにあるメモや日記帳ツール,あるいは電子機器のメモアプリを使うこともできます。授業中に思いついた考え,洞察,感じた気持ちを記録できるように,学習帳を毎回授業に持参するよう生徒に勧めます。

御霊によって学ぶ

生徒たちに二人一組になってもらいます。二人で一緒に『わたしの福音を宣べ伝えなさい』17ページの第2段落を読んでから,聖典を使って意義深い学習経験をするには何が必要かを話し合ってもらいます。生徒たちがこの段落について話し合う時間を取った後で,数人の生徒に話し合ったことの要点を幾つか発表してもらいます。次のような質問をするとよいでしょう。

  • 「誠心誠意」で研究するとは,どういう意味でしょうか。(誠心誠意とは,学んだ事柄に従う,またはそれを実践する意志があることを意味します。)

  • 「誠心誠意」で「義に飢えかわ〔き〕」ながら研究することは,個人の福音研究にどのような影響を与えるでしょうか。(生徒が答えるときに,追加の質問をして,答えをより深く考えるよう促すとよいでしょう。例えば,生徒が誠心誠意とは人が祈るようすに表れると答えたならば,その人の祈りはどのように異なるのかを説明するよう尋ねることができます。生徒がそれは人の願いに現れると答えるならば,それはどういうことか説明するよう尋ねることができます。)

『わたしの福音を宣べ伝えなさい』18ページの「聖霊によって学ぶ」という表題の項を3人の生徒に順番に声に出して読んでもらいます。他の生徒には一緒に黙読して,わたしたちが福音を学ぶのを聖霊が助けられるときにもたらされる祝福に印をつけてもらいます。その後,次の質問をします。

  • 聖霊がわたしたちの福音学習を導かれるときに,どのような祝福がもたらされますか。(生徒が答えるときに次の原則をホワイトボードに書くとよいでしょう。聖霊がわたしたちの福音学習を導かれるとき,一層大きな光と理解を与えてくださる。

生徒が福音を研究するときに,教えを与えてくださる聖霊を招く方法をさらに理解する助けとするため,十二使徒定員会のD・トッド・クリストファーソン長老の次の言葉を読むか見せます。個人の聖文研究からより多くのものを引き出すためにできることを見つけるよう生徒に言います。

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〔D・トッド・クリストファーソン長老の画像〕

「福音が『心にしる〔される〕』ためには,福音が何かを知り,深く理解する必要があります。それは福音を学ぶということです。『学ぶ』とは,読むこと以上の行為です。メッセージの全体像をつかむために,ときどき,聖典1冊を目標期間内に読むのは良いことです。しかし改心したければ,時間内に読む量よりも,聖文にどれだけ時間を割くかに心を向ける必要があります。時には,数節読み,深く考え,同じ節を注意深く読み返し,意味を考え,理解を求めて祈り,心に問い掛け,霊的な考えが浮かんでくるまで待ち,覚えたりさらに学んだりするために感じたことや理解したことを書き留める,そのような読み方をしている皆さんの姿が目に浮かびます。このような方法で学ぶとき,30分かけても多くは読めないでしょうが,心に神の御言葉を受け入れる場所を設け,神が語りかけてくださるのです。」(「あなたが改心したときには」『リアホナ』2004年5月号,11。追加の研究アイデアとして,リチャード・G・スコット長老「個人の生活で啓示と霊感を受ける方法」『リアホナ』2012年5月号,45-47を参照)

次の質問をして,生徒がクリストファーソン長老の言葉について分析する助けとします。

  • クリストファーソン長老は,聖文のさらなる理解につながる行動はどんな行動であると言いましたか。

  • そのような行動は聖霊が教えられるのをどのように招くでしょうか。

  • これらの行動は,あなたが福音の理解を深めるのにどのように役立ちましたか。

聖文を研究するときに,聖霊がわたしたちに語り掛けられる方法を理解することが助けとなると説明します。クラスを二人一組に分けます(できれば前の活動と同じペアにします)。ホワイトボードに次の参照聖句を書き,生徒たちにその聖句を学習帳か紙に書き写してもらいます。教義と聖約8:2-39:7-811:12-14138:1-2,11

生徒がこれらの聖句を研究する時間を与え,聖霊がわたしたちに語りかけられる方法を説明する言葉に印をつけてもらいます。また,これらの聖句から生徒が学んだ事柄を学習帳に書き留めてもよいでしょう。これらの聖句のどこに印をつけたか,何を学んだか,パートナーと話し合ってもらいます。十分な時間を与えた後,次の質問をします。

  • 聖霊がわたしたちに語り掛けられる方法を説明するどのような言葉を見つけましたか。(ホワイトボードに生徒の答えを書きます。)

  • これらの方法のうちどのような方法で聖霊はあなたに教え,福音の教義や原則の理解を深めてくださったでしょうか。具体的にどんな経験をしましたか。

生徒に『わたしの福音を宣べ伝えなさい』の22ページを開いてもらい,一人の生徒に「研究のためのアイデアと提案」という表題の下にある最初の4つの箇条書きを声に出して読んでもらいます。次の質問をしてもよいでしょう。

  • これらの推奨事項は,宣教師が他の人々に福音を効果的に分かち合う能力にどう影響を与えるでしょうか。

  • 宣教師候補者であるあなたは,どのようにこれらの事柄を今すぐ自分に当てはめ,実践することができるでしょうか。

  • 聖文の研究技術と習慣を改善することは,あなたが宣教師として成功することにどう貢献するでしょうか。(生徒はおそらく次のような原則を述べるでしょう。宣教師が効果的な福音研究の習慣を身につけるにつれて,御霊によって教えを受け,伝道の経験はより充実したものとなり,福音をより効果的に教える備えができるようになる。

クラスを3人または4人から成るグループに分けます。『わたしの福音を宣べ伝えなさい』22-24ページの「研究のためのアイデアと提案」にある6つの項目をグループ内で分けて生徒たちに割り当ててもらい,各自に割り当てられた項目を研究してもらいます。グループ内の何人かの生徒は複数の項目を研究する必要があるかもしれません。各グループでリーダーを立ててもらい,グループ内の生徒が学んだ事柄と,彼らの福音研究をより意義深く効果的なものにするために今何ができるかについての話し合いを取り仕切ってもらいます。各グループで話し合う時間を取った後,生徒たちに次の質問をします。

  • このような研究技術や習慣は,聖文をより効果的に研究するのにどのように役立ちましたか。

話し合った事柄を生徒個人が応用するのを助けるために,配付資料「個人の聖文研究の習慣」を各生徒に配付します。配付資料にある活動を終わらせることができるよう生徒に数分時間を与えます。

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〔聖文研究配付資料の画像〕

時間を十分に与えてから,この練習で得た考えや洞察を生徒に分かち合ってもらいます。生徒が選んだ聖文研究技術と習慣の取り組みを彼らの個人研究でやり遂げられるように生徒を励まします。それを行うことによって,聖霊が彼らの思いを照らし,福音の理解を増し加えてくださることを確信できるようにします。

どのように研究するかだけでなく,いつ何を研究するかも,効果的な宣教師になるために重要なことであると生徒が理解できるように助けます。『わたしの福音を宣べ伝えなさい』の「はじめに」の部分にあるviiiページを開いてもらい「個人学習,同僚との勉強会,ディストリクト・ミーティング,ゾーン大会」の下にある「宣教師の一日のスケジュール」を見てもらいます。その後,次の質問をします。

  • 「宣教師の一日のスケジュール」は,福音研究の重要性をどう表していますか。

  • 今すぐ毎日継続的に聖文研究を始めることは,このような宣教師の忙しいスケジュールに備えるのにどのような助けとなりますか。

聖句に印をつける

十分な時間が残っていれば,ビデオ“Advice for Studying the Scriptures”(2分7秒)〔英語〕を見せて,生徒が聖典に印をつける方法を改善するためのアイデアを考えてもらうこともできます。

ビデオを見せた後,次の質問をします。

  • べドナー長老から聖文研究を改善する助けとなるどのような事柄を学びましたか。

  • 聖典に印をつけることには,どのような目的がありますか。(後で必要になったときに,既に学んだ事柄を思い出す助けとなる。)

  • 宣教師が既に学んだ事柄を思い出すために,効果的な方法を学んでおくことはなぜ大切ですか。

学んだことを実行する

『わたしの福音を宣べ伝えなさい』19ページの「学んだことを実行する」という表題の下の最初の段落を一人の生徒に声に出して読んでもらいます。その後,もう一人の生徒にヨハネ7:17を読んでもらいます。次の質問をして,『わたしの福音を宣べ伝えなさい』とヨハネ7:17で教えられている原則を見つけてもらいます。

  • 聖文について知っていることと聖文に書かれた教えに従って生活することには,どのような違いがあるでしょうか。(生徒はさまざまな答えを挙げると思われますが,次の原則を認識できるとよいでしょう。わたしたちが福音の教えに従って生活するときに,聖霊はそれらの原則の真理を証し,わたしたちの信仰,知識,証を強めてくださる。

十二使徒定員会のデビッド・A・ベドナー長老は,わたしたちが学んだことを実行することの大切さを教えたことを説明します。次の引用文を見せて,一人の生徒に声に出して読んでもらいます。

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〔デビッド・A・ベドナー長老の画像〕

「福音の学習者であるわたしたちは『御言を行う人になりなさい。……ただ聞くだけの者となっては』なりません(ヤコブの手紙1:22)。選択の自由を正しく使い,正しい原則に従って行動するとき,わたしたちの心は聖霊の影響を受けやすくなり,教え証する聖霊の力を招くことができます。」(「目をさましてうむことがなく」『リアホナ』2010年5月号,42参照)

  • 聞くだけの者ではなく,御言葉を行う人となるとはどういう意味ですか。

  • 「正しい原則に従って」行動することは,どのようにして研究のみでは成し得ない方法でわたしたちの理解を深めるのでしょうか。

  • 正しい原則に従って行動することによって,どのようにあなたは従って生活しようと努力している福音の原則に対してより深い理解と証を得ることができましたか。

一人の生徒に『わたしの福音を宣べ伝えなさい』19ページの第2段落を読んでもらい,他の生徒は黙読しながら,福音に従って生活することによって,宣教師の心と能力に影響を与えるその他の方法を見つけてもらいます。読み終えたら,次の質問をします。

  • 宣教師が真理であると知っている福音の原則に従って生活するときに,他にどのような祝福がもたらされますか。(生徒が次の原則を述べられるように助けます。宣教師が福音に従って生活をすると,聖霊が福音を分かち合うための望みを強め能力を高めてくださる。

  • あなたが伝道に備えるに当たって,聖霊はどのように奉仕したいという望みを強めてくださいましたか。

求道者に,教会に出席するよう勧める

宣教師は,求道者に決意を守るよう勧めることでバプテスマに向けて進歩できるよう助けます。例えば,求道者が教会に出席すると,聖霊からさらなる啓示を受けることができ,神に近づきたいという願いが強まります。教会に出席することは,求道者が回復された福音の証を得て,バプテスマに備えるための助けとなります。

誰かに教会に出席するよう勧める方法を実演します。まず,教会に出席することでもたらされる祝福について短く述べます。次に宣教師の小冊子『イエス・キリストの福音の回復』(22-23ページ)を使用して,聖餐会ではどんなことが行われるかを説明します。次に求道者に教会の集会に出席するよう招待する方法を実演します。教師の実演の後,今実演した手順を生徒たちに二人一組になってロールプレーをしてもらいます。全ての生徒が順番に,教会に出席することによる祝福について短く述べ,聖餐会では何を行うかを説明し,誰かに教会に出席するよう招待できるように時間を与えます。

このレッスンで話し合った福音の教義と原則について証を述べます。

行動するように勧める

生徒が伝道に出る備えをする際に,個人の福音研究を優先するよう勧めます。次に提案される活動は,生徒が御霊によって学ぶことに集中する助けとなるでしょう。

  • モルモン書を研究し,それについて深く考えることを含めて,毎日の個人の福音研究の習慣を身につけます。

  • 御霊の助けを求めて,個人の福音研究の始めに祈ります。個人の福音研究のときに,まだ学習帳を使っていなければ,使い始めます。

  • 『わたしの福音を宣べ伝えなさい』の22-24ページにある研究のためのアイデアと提案の一つを選び,今週の個人の研究に取り入れます。