インスティテュート
第11課:救いの計画を教える(第2部)


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救いの計画を教える(第2部)

はじめに

救いの計画では,アダムの堕落の結果に打ち勝つために救い主が与えられています。救い主の贖罪によって,わたしたちは死,罪,悲しみを克服することができます。それだけでなく,わたしたちは復活し,義人は神のもとに戻り,神のようになることができます。宣教師候補者は,救いの計画の教義を明確に理解し,それを簡潔に説明し,力を持って証できるよう備える必要があります。

事前準備

教えるための提案

イエス・キリストの贖罪

クラスが始まる前に,ホワイトボードに次の文章を書いておきます。

「〔ヨハネ3:16〕は救いの計画全体をまとめている。」(ブルース・R・マッコンキー長老)

授業を始めるときに,ヨハネ3:16を黙読してもらい,この聖句がどのように「救いの計画全体をまとめている」のかを考えてもらいます。

生徒が聖句を読み,考える時間を少し与えてから,この聖句がどのように救いの計画全体をまとめているのかを話し合ってもらいます。必要に応じて,十二使徒定員会のブルース・R・マッコンキー長老(1915-1985年)によるヨハネ3:16についてのより詳細な説明を読んでもよいでしょう。

画像
〔ブルース・R・マッコンキー長老の画像〕

「この聖句より有名で力強い聖句はおそらく他にないでしょう。御父,御子,キリストの贖いの犠牲,さらには善の行いの前提となる主を信じる信仰,忠実な者に与えられる究極の永遠の昇栄を結びつけることで,この聖句は救いの計画全体をまとめているのです。」(Doctrinal New Testament Commentary,  全3巻〔1965-1973年〕第1巻,144)

『わたしの福音を宣べ伝えなさい』51ページの「贖い」の項の最初の段落を一人の生徒に声に出して読んでもらいます。その後,次の質問をします。

  • イエス・キリストの贖いの犠牲が,神の子供たち一人一人にとってなぜそれほど重要なのかを,あなたなら一つの文章でどのように述べますか。(イエス・キリストの贖罪によって,わたしたちが堕落の影響に打ち勝てるようになったという教義を含む答えを生徒が挙げるとよいでしょう。)

  • わたしたち全員が経験する堕落の影響とは何ですか。(主なものは〔1〕肉体の死,〔2〕罪および霊の死〔神から断たれること〕,〔3〕苦しみや悲しみ。)

ホワイトボードに「堕落の影響」と書いて,生徒が答えるときに,その欄に答えを書き出すようにしてもよいでしょう。その隣りには,「贖罪が堕落の影響に打ち勝つ方法」という欄を書いて,その方法を書いていきます(または別の方法でこの表を見せます)。

堕落の影響

贖罪が堕落の影響に打ち勝つ方法

肉体の死

1コリント15:20-22

アルマ11:42-45

『わたしの福音を宣べ伝えなさい』の51ページ,「贖い」の第2段落

罪と霊の死

アルマ34:8-9

教義と聖約19:15-19

『わたしの福音を宣べ伝えなさい』の51-52ページ,「贖い」の第3-5段落

苦しみと悲しみ

イザヤ53:3-5

アルマ7:11-13

『わたしの福音を宣べ伝えなさい』の51-52ページ,「贖い」の第6段落

クラスを3つのグループに分け,それぞれのグループに表の3つのカテゴリーから一つを割り当て,研究してもらいます。彼らが研究した内容は,イエス・キリストの贖罪が堕落の影響に打ち勝つ方法を説明するのにどのように役立つかを発表するための準備としてもらいます。この表の聖句は贖罪の教義を説明するのに使用することのできる数多くの聖句の一例であり,生徒たちはこの教義の理解を深めるためにさらに多くの聖句を研究するべきであると伝えます。研究する時間を十分に与えた後,各グループの数人の生徒に何を学んだか,またそれが贖罪がわたしたちにもたらす祝福について理解するのにどのように役立つかを説明してもらいます。

生徒に少し時間を与えて,彼らがイエス・キリストの贖罪について求道者に教えたいと思う内容を幾つかの文章にまとめて,それを書き留めてもらいます。数分の後,何を書きとめたか数人の生徒に読み上げてもらってもよいでしょう。

ビデオ「神はこの世を愛してくださった」(4分48秒)を見せて,生徒たちがイエス・キリストの贖罪の真理と重要性を感じることができるように,御霊を招きます。イエス・キリストがこの世に愛を示された方法を生徒たちに見つけてもらいます。

ビデオを見せた後,次の質問をします。

  • イエス・キリストはどのように人に愛を示されましたか。

  • このビデオは,どのように救い主の業と贖いの使命についての理解を増す助けとなりますか。

生徒たちがイエス・キリストの贖罪について求道者に教えたいと思う事柄について書き留めたことをもう一度見てもらいます。生徒たちに数分時間を与えて,ここではイエス・キリストの贖罪について彼らが信じていること,証できることをまとめて,その文章を先ほど書き留めたことに追加してもらいます。数分時間を与えてから,生徒にクラスの別の生徒と二人一組になってもらい,イエス・キリストの贖罪について求道者にどのように証を述べるか,お互いにロールプレーしてもらいます。

各生徒がロールプレーを行う時間を与えてから,次の質問をしてこの部分のレッスンを終わります。

  • 宣教師が教えている人々に定期的に証を述べることはなぜ大切なのでしょうか。(聖霊の役割の一つはイエス・キリストの証をすることであるため〔ヨハネ15:26;3ニーファイ11:32参照〕,わたしたちが人にイエス・キリストの証をするときに,教えを受けている人の心にわたしたちの証を確認する聖霊を招くことになることを強調してもよいでしょう。)

イエス・キリストと贖罪への感謝を深め,その証を強めるためにできることを生徒たちに考えるよう勧めます。救い主についての証を強めることで,人をキリストのもとに招くための備えがさらにできるようになるという確信を生徒に与えます。

わたしたちの永遠の行く末

『わたしの福音を宣べ伝えなさい』の54ページにある「救いの計画」の図を生徒たちに見てもらいます。まず最初にその図を研究してもらい,その後,『わたしの福音を宣べ伝えなさい』を見ないで生徒独自の図を描いてもらいます。彼ら独自の図は,救いの計画の主要な要素が含まれていれば,どのような形に書いてもかまいません。宣教師は,救いの計画の主な要素を分かりやすい言葉で求道者に説明できなければならないことを生徒たちに思い出してもらいます。

『わたしの福音を宣べ伝えなさい』(52-53ページ)にあるレッスン2の残りの3項目の内容を生徒が理解できるよう,生徒に数分時間を与えて,それらの項を読み,求道者が知る必要のある教義,原則,概念を見つけてもらいます。生徒が読んでいる間に,それぞれの項目の題を書いた表をホワイトボードに書きます。

どんなことを求道者は知る必要がありますか。

霊界

復活,裁き,不死不滅

栄光の王国

一度に一つの項目を生徒たちに学んでもらい,そこで見つけた教義,原則,概念を発表してもらってから,次の項目を読むようにするとよいかもしれません。一人の生徒を呼んで,他の生徒たちが発表した事柄をそれぞれの項目の題の下に書き出してもらってもよいでしょう。その表を生徒の学習帳に書き写してもらい,各項目についてクラスで話し合うときに表を埋めてもらうようにするのもよいでしょう。

次のような質問は生徒たちが読んでいる事柄について考える助けとなるでしょう。

  • わたしたちが地上で下す決断は,来る世でわたしたちにどのような影響を及ぼしますか。

  • 裁きについて理解することは,わたしたちが今下す決断にどう影響しますか。

  • イエス・キリストの贖罪は各段階のわたしたちの世界(前世,現世,来世)にどのように関わっていますか。

  • これらの真理を人に紹介するときに,単純明快にすることがなぜ大切なのですか。

回復の教義で大切なことの一つは,神の子供たちは神のようになる可能性を秘めていることであると生徒たちに説明します。天父について理解することは,イエス・キリストの贖罪によって,わたしたちは進歩し昇栄の祝福を受けることができるという希望を与えてくれます(『わたしの福音を宣べ伝えなさい』の59ページ,「昇栄」参照)。わたしたちはいつか神のようになることができるとしても,神を常にあがめることに変わりはありません。わたしたちの進歩成長が,わたしたちの父や神としての神の存在を変えることは決してありません。(このテーマについての詳細は,lds.org/topicsの福音のテーマで「神のようになる」という表題の記事を参照。)

生徒たちに二人一組になってもらい,人生の目的とわたしたちが死んだ後どうなるかについて誰かに教える準備をしてもらいます。生徒たちが準備するときに,『わたしの福音を宣べ伝えなさい』の51-54ページまたは(利用可能な場合は)宣教師用小冊子『救いの計画』の9-15ページを参考にしてもらいます。教えるときには聖句を最低一つ使うようにしてもらいます。また,自分で作成した救いの計画の図または『わたしの福音を宣べ伝えなさい』54ページのを活用するように言います。教える内容は単純明快にし,最後は証で終わらせるよう説明します。教えるための準備をする時間を十分に与えて,その後教える相手となる別のペアと組んでもらいます。一つのペアがもう一つのペアの生徒二人に教えるようにします。

一つのペアが教え終わったら,その各グループ内で次のことを話し合ってもらいます。レッスンで良かったことは何ですか。今教えたペアは何を改善できますか。

次に役割を交代してもらい,教えを受けたペアが今度は教える側になります。お互いにフィードバックを与える時間を取るようにします。全てのペアが教え終わってから,生徒たちにこの経験から得た洞察をクラス全体で発表してもらいます。

時間があれば,救いの計画についての証を教師が述べるか,生徒たちに証を述べるよう勧めて授業を終わります。

行動するように勧める

救いの計画の理解を深めることができるように,クラスの外で行う活動を次の中から一つまたは複数選んで実行するよう生徒たちに勧めます。

  • 『わたしの福音を宣べ伝えなさい』54ページのを描いて,救いの計画の主な要素を,関連する聖句を使いながら説明する練習をします。

  • 最近家族や愛する人を失くした人を助けるために,どのように救いの計画を教えることができるかを考える。アイデアを短くまとめて学習帳に書きます。

  • 最近の総大会の説教からイエス・キリストの贖罪についての説教を研究します。イエス・キリストの贖罪をさらに理解するのに助けとなる原則をその説教から見つけます。贖罪によってあなたの生活に毎日どのような祝福がもたらされているかリストを作ります。

  • 天父の計画をさらに理解することで祝福を受けることができる人に,救いの計画を教える機会が与えられるよう祈ります。祈ってから,信仰をもって行動を起こし,この教義を教えて誰かの人生を祝福します。