家族のリソース
第1課「家族は創造主の計画の中心をなすものである」


第1課

「家族は創造主の計画の中心をなすものである」

目 的

家族の永遠にわたる重要性を強調するとともに,参加者が結婚と家族関係コースを十分に役立てるには何をしなければならないかを理解させる。

準 備

  1. 「教師としてのあなたの責任」(本書 ixxi)にある原則を復習する。教える準備をする際にそれらの原則を応用する方法を探す。

  2. この課の教義と原則を示す太字の見出しを読む。準備として1週間を通しそれらの教義と原則について思い巡らし,参加者の必要に合ったレッスンを行うには何を強調すればよいかを御霊みたまの導きを求めながら決める。

  3. 『結婚と家族関係参加者用学習ガイド』(36357 300)ivページにある「家族-世界への宣言」を祈りの気持ちで研究する。

  4. 各参加者のために『結婚と家族関係参加者用学習ガイド』を日曜学校会長会,ワード書記,または教材担当ワード書記補助から入手する。

  5. 一人か二人の参加者に事前に連絡し,神殿で結婚したときにどのようなことを感じたかをレッスンの中で短く話してもらう。伴侶はんりょと永遠に結び固められたことによって味わっている喜びや祝福についても話してもらう。この責任をだれに割り当てるかについては,御霊みたまの導きを求める。

  6. クラスが始まる前に,黒板に次の引用を書いておく(Stand Ye in Holy Places〔1974年〕255)。

    第11代大管長 ハロルド・B・リー

レッスンの進め方の提案

末日の預言者は結婚と家族が永遠にわたって重要なものであることを宣言している

次の実話を紹介する。

「見たところ洪水で家財一切を失ったらしい一人の男の人が,激しく泣いていました。しかし彼は家財を失ったことでそれほど絶望したわけではなく,それよりもはるかに大切な,愛する妻と4人の子供たちの姿が見えなかったので,きっと洪水にのまれたものと思い込んで絶望していたのです。しかし,程なくしてよい知らせが届きました。彼の家族は奇跡的に救助されて,近くの避難施設で彼を待っているというのです。間もなくこの家族は再会しましたが,それはこの上ない喜びと幸福にあふれた光景でした。この喜びの中で彼の語った言葉が今も心に残っています。そのとき彼はこのように言いました。『この世の財産はすっかりなくしてしまいましたが,それでも再び家族を得て,わたしは大金持ちにでもなったような気分です』と。」(「主の宮居」『聖徒の道』1981年4月号,15

結婚と家族についてのあなたの確信とあかしを簡潔に述べる。適切であれば,家族に対する自分の気持ちも話す。次に,十二使徒定員会会員ボイド・K・パッカー長老の話を読む。

「教会の中心はステークセンターでもなければ教会堂でもありません。……この世で最も神聖な場所は必ずしも神殿ではないかもしれません。教会堂やステークセンターや神殿は神聖ですが,それは教会の中で最も神聖な場所である家庭を築くことと,教会の中で最も神聖な人間関係である家族の祝福に貢献していることが条件になります。」(That All May Be Edified〔1982年〕,234-235)

各自に『結婚と家族関係参加者用学習ガイド』を配る。ivページを開かせ,大管長会と十二使徒定員会が1995年に結婚と家族に関する世界への宣言を出したことを説明する。この宣言の中で教えられている教義と原則の多くはこのコースで扱うことになる。参加者とこの宣言を読む。段落ごとに別々の参加者に朗読してもらう。

  • 家族の宣言で教えられている教義や原則にはどのようなものがあるだろうか。(参加者の答えを黒板に書く。)今の世の中がこのような勧告や警告を必要としているのはなぜだろうか。

    第15代大管長ゴードン・B・ヒンクレーは,次のように説明している。「わたしたちはなぜ今,このような家族の宣言を出すのでしょうか。それは,家族が今危機にさらされているからです。世界中,どこを見ても家族が崩壊しています。社会の改善を始めるべき場所は家庭の中にあります。子供は,おおかた,教えられるとおり行動するものです。わたしたちは家族を強めることによって,世界をより良いものとする努力をしているのです。」(「霊的な思い」『聖徒の道』1997年8月号,4)

  • この宣言にある勧めに従うことによって,あなたの家族はどのように強められてきただろうか。

永遠の結婚はこの世から永遠にわたって喜びと大いなる祝福をもたらす

永遠の結婚が天父の偉大な幸福の計画の中心を成すことを強調する。家族は永遠の結婚を通してこの世では真の喜びを見いだし,その後も永遠にわたって進歩し続けることができる。

  • 永遠の結婚をした人は,この世でどのような祝福を得ることができるだろうか。

    割り当てておいた参加者に以下のことを短く話してもらう。(1)神殿で結婚したときに感じたこと。(2)伴侶はんりょと永遠に結び固められることで受ける喜びと祝福(「準備」の第5項参照)。

    以下から一つ以上の言葉を紹介する。

    ジェームズ・E・ファウスト副管長はこう教えている。「多くの聖約はこの世と後の世で幸福を得るために欠くことのできないものです。最も大切な聖約の一つに夫と妻の間で交わされる結婚の聖約があります。人生最大の喜びは,この聖約からもたらされます。」(「神よ,どうか,わたしを探って,わが心を知ってください」『聖徒の道』1998年7月号,19

    ボイド・K・パッカー長老は次のように語っている。「『ロマンスと愛と結婚,そして子供の養育という体験』が『人生の中で最も純粋で美しく魅力ある経験』である。」(「この世から永遠にわたって」『聖徒の道』1994年1月号,25

    十二使徒定員会会員のジョセフ・B・ワースリン長老はこう説明している。「永遠の結婚における伴侶はんりょとの関係は,神がその子供たちに授けられた最大の祝福の一つです。確かに,わたしは美しい妻と過ごした何年もの間に,最も深い喜びを味わってきました。時の初めから,夫婦という婚姻関係は,幸福をもたらす天の御父の偉大な計画の根本的な要素でした。愛する家族との交わりという祝福を楽しむとき,わたしたちは互いに善い影響を与えて,ともに高められます。」(「価値ある交わり」『聖徒の道』1998年1月号,37

    ゴードン・B・ヒンクレー大管長は,大管長としての一般教会員への最初の説教でこう語った。「今月末で,結婚58年になる愛する妻に感謝しています。……わたしはこのすばらしい女性に心から感謝しています。彼女は晴れの日もあらしの日もわたしに連れ添ってきてくれました。二人とも昔ほどの背丈はありませんが,互いへの愛は少しも小さくなってはいません。」(「主のみ業」『聖徒の道』1995年7月号,75

多くの人は,結婚や家庭生活がこの世のものだけであると信じている。しかし,教会員であるわたしたちは,ふさわしい夫婦が神殿に参入して神聖な神権の儀式を受けることにより,永遠に夫婦として結び固められると信じている。永遠の家族単位はこのようにして結婚した男女によって始まる。

  • 神権の力によって結婚し,その聖約に忠実な夫婦には,どのような永遠の約束が与えられるだろうか。(参加者と一緒に教義と聖約131:1-4132:19-24,30-31を読む。以下は答えの例である。黒板に書くとよい。)

    1. 日の栄えの最高の階級に昇栄して天父やイエス・キリストとともに生活する(教義と聖約131:1-3132:20-24)。

    2. 夫婦は「この世においても永遠にわたっても」一緒である(教義と聖約132:19)。子供たちも永遠の家族としてともに生活することができる。(教義と聖約132:19にある「約束の聖なる御霊みたま」とは聖霊を指すことを説明する。聖霊はわたしたちの忠実さに応じて,わたしたちが受けた神権の儀式と交わした聖約が神に受け入れられていることを確認してくださる。)

    3. 王位,王国,公国,および力」を受け継ぐ(教義と聖約132:19)。

    4. 永遠にわたって子孫である霊の子供をもうける(教義と聖約132:19,30-31教義と聖約131:4も参照)。

  • こうした祝福は家族が永遠に続くことを理解するうえでどう役立つだろうか。

忠実な末日聖徒の中には,自分の過ちからではなく,この世で永遠の結婚の祝福にあずかれない人が大勢いる。しかし,最終的にすべての忠実な聖徒がこの祝福を得ることができると主が約束しておられることを強調する。参加者にこのことを理解させる必要があれば,十二使徒定員会会員ダリン・H・オークス長老の次の話を引用するとよい。

「わたしたちは,進歩を望んでも現在は理想的な機会と基本的な条件を欠いている,ふさわしくすばらしい末日聖徒が大勢いることを理解しています。独身生活,子供の授からない生活,死,離婚は理想を妨げ,約束された祝福の実現を遅れさせます。さらに,家庭にとどまって母親あるいは主婦としての務めを果たしたいと願っていても,文字どおりやむなく外に働きに出なければならない女性もいます。しかし,このような苦しみは一時的なものです。戒めに従い,聖約を忠実に守り,正しい望みを抱く神の息子,娘たちには,永遠の世界では何の祝福も拒まれないと,主は約束されました。

現世で得られなかった多くの重要な祝福は福千年で実現するでしょう。御父のふさわしいすべての子供たちに,幸福を与える偉大な計画の中で欠けているものがあれば,すべて実現するのがこの福千年なのです。同じことは神殿で行われる諸儀式についても言えることをわたしたちは理解しています。さらに,家庭生活を営む機会についても同様であるとわたしは信じています。」(「人に幸福を与える偉大な計画」『聖徒の道』1994年1月号,84

主の教えが参加者それぞれの状況をも踏まえたものであることを理解させるためには,7ページの「参考資料」の一つまたは両方を読むとよい。

結婚と家族関係のコースは家族関係の中に喜びを見いだすために設けられた

一人の参加者に次の部分を朗読させる。

第11代大管長ハロルド・B・リーはこう語っている。「あなたとわたしが行う最も大切な主の業は,わたしたち自身の家庭という囲いの中にあるのです。」(Stand Ye in Holy Places,255)

  • すべての人がこの簡潔な宣言に従って生活したら,世界はどう変わっているだろうか。

このコースが夫婦のきずなと家族を強め,家族のつながりの中に喜びを見いだすために設けられたことを説明する。レッスンは聖文や末日の預言者の教えの中の教義や原則を基に構成されている。

このコースへの参加を選んだことに,家族を強めたいという参加者の望みが表れていることを指摘する。このコースを最大限に活用するためには,3つのことを行う必要がある。

  1. クラスに参加する。

    結婚や子育てに関してどのような経験を持っているかにかかわらず,このコースの参加者は皆,互いから学ぶことができることを指摘する。話し合われていることが真実であることをあかしし,レッスンに関連した経験を分かち合うよう参加者に勧める。

  2. 『結婚と家族関係参加者用学習ガイド』を利用する。

    参加者に『結婚と家族関係参加者用学習ガイド』を開かせる。各課には「応用のための提案」があることを指摘する。ここには参加者が学んだ教義や原則を応用するうえで役立つ提案が載っている。さらに,各課には教会中央幹部の説教が一つまたは二つ掲載されている。各課を終えるごとに,参加者は提案されている活動のうち少なくとも一つを行い,各説教を研究する。説教を夫婦でともに読んで話し合うことは,既婚者にとって大変有益である。

    学習ガイドの3-6ページを見てもらう。本課の教義や原則を復習するため,参加者に以下を行うよう奨励する。(1)「応用のための提案」にある提案から少なくとも一つを行う。(2)ボイド・K・パッカー長老の説教「この世から永遠にわたって」を学ぶ。

    毎回,クラスに学習ガイドを持参するよう参加者に奨励する。

  3. レッスンで学んだ教義や原則に従って生活するよう努力する。

    福音は単に学ぶだけでは不十分であることを強調する。生活の中で福音の力を享受するには,学んだことを実践しなければならない。ハロルド・B・リー大管長はこう語っている。「それぞれの原則を実践することによって得られる祝福を体験しなければ,いかなる福音の教えも真に理解することはできません。」(Stand Ye in Holy Places,215)

わたしたちの家庭は「あがない主の岩の上に」築かれた「小さな天国」となり得る

今の世の中にあって,家庭は平安を見いだすことができる貴重な場所であることを強調する。その後,大管長会のトーマス・S・モンソン副管長の以下の言葉を読む。

「一生懸命努力すれば,家庭を天国にすることができます。そして,わたしたちの思いと行いと態度が,この世の旅の正否のみならず,永遠の目標を決めるかぎともなるのです。」(「幸福な家庭のしるし」『聖徒の道』1989年2月号,71

  • 家庭はどのような点で「小さな天国」となるだろうか。

参加者がこの質問に答えた後,家庭がどのように小さな天国となり得るかについて教師自身の確信を述べる。適切であれば,あかしの一部として個人的な経験を紹介する。

第12代大管長スペンサー・W・キンボールの以下の言葉を紹介する。

「さらに,過去において家族の結束を強めるうえで少なからぬ働きをしていた社会規範というものが,次第に影の薄い存在となってきています。悪の力が押し寄せる中で,家庭の価値を深くまた積極的な気持ちで信じている人だけが自分の家庭を守ることができる,そのような日が訪れるに違いありません。」(「家族は永遠に」『聖徒の道』1981年4月号,3

参加者とともにヒラマン5:12を読む。その後,十二使徒定員会会員のジョセフ・B・ワースリン長老の以下の言葉を読む。

あがない主と福音の基盤のうえに家庭を築けば,そこは家族が人生のあらしを避けることのできる聖所となるでしょう。」(「堅固な家庭,家族」『聖徒の道』1993年7月号,73

  • あなたにとって家庭を「あがない主の岩の上」に築くとはどういう意味だろうか。キリストを中心とした家庭を持っている家族は具体的にどのようなことを行うだろうか。

このコースでは,夫婦のきずなと家族を強めるうえで役立つ原則について話し合うことを強調する。家庭において天父とイエス・キリストに近づくためには,これらの原則を実践することが必要である。また永遠に家族とともに住むことを可能としてくれている救い主の無限の贖罪しょくざいを決して忘れてはならない。

結 び

このコースに対する教師の熱意を伝え,教師に何を期待できるかを参加者に知ってもらう。例えば,教えるために自らを霊的に備えること,また参加者とともに各課の原則を応用し『結婚と家族関係参加者用学習ガイド』を利用することを約束してもよい。参加者に対して,クラスに参加し,学習ガイドを利用し,学んだ教義や原則を応用するよう決意を促す。

御霊みたまの導きに従い,家族の大切さをあかしする。家族を永遠とすることができるという知識に対する感謝を述べる。

参考資料

家族に関して様々な状況にある参加者の必要に対処する

家族に関する参加者の様々な状況に対処するために,以下の言葉の一つまたは両方を読む。

第13代大管長エズラ・タフト・ベンソンは,教会の独身の姉妹にこう語っている。「皆さんは教会の中で重要な役割を果たしています。もちろん教会は家族を重要視していますが,それによって皆さんが主や主の教会に必要とされていないとか,大事にされていないと考えることのないようにと願っています。教会員同士の神聖なきずなは,結婚や年齢,現在の状況がどうかなどという事柄をはるかに越えた次元のものです。神の娘としての皆さん一人一人の価値は何にも増して貴いものです。」(「独身の姉妹たちに」『聖徒の道』1989年2月号,101)

第10代大管長ジョセフ・フィールディング・スミスはこう教えている。「神殿で永遠に結び固められた夫または妻が罪を犯して,日の栄えの王国で昇栄する権利を失った場合,傷つくのは連れ合いであるが,忠実であった連れ合いの進歩がそのために止まることはない。人は皆自分の行いに対して裁かれるのであって,無実の人が罪を犯した人の罪のために罰せられるというような,正義に反することは起こらない。」(『救いの教義』ブルース・R・マッコンキー編,全3巻,1954-1956年,第2巻,164)