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第6課:信仰と祈りにより夫婦のきずなを強める


第6課

信仰と祈りにより夫婦のきずなを強める

目 的

参加者に,夫婦がイエス・キリストへの信仰を行使してともに祈るときにもたらされる祝福を理解させ,祝福を受けるように努力させる。

準 備

  1. 「教師としてのあなたの責任」(本書 ixxi)にある原則を復習する。教える準備をする際にそれらの原則を応用する方法を探す。

  2. この課の教義と原則を示す太字の見出しを読む。準備として1週間を通しそれらの教義と原則について思い巡らし,参加者の必要に合ったレッスンを行うには何を強調すればよいかを御霊みたまの導きを求めながら決める。

レッスンの進め方の提案

夫婦は協力してイエス・キリストへの信仰を強めなければならない

大管長会のジェームズ・E・ファウスト副管長の以下の物語を紹介する。

昨年の夏,わたしはユタ州プレザント・グローブにあるオリン・ボロヘス長老のご両親の家を訪問しました。彼はアルゼンチンのブエノス・アイレス南伝道部で伝道した大柄でハンサムな,立派な若者です。彼が伝道部に来て11か月ほどたったある夜,何人かの武装した強盗たちが,彼と同僚を襲いました。無謀な暴力で強盗の一人がボロヘス長老の頭を銃で撃ちました。……

ボロヘス長老は今なおほとんどの部分がまったくまひしていて話すことができません。しかし,すばらしい精神力を持っていて,質問には手を動かして答えることができます。彼は今でも宣教師の名札を付けています。両親は,主の召しを受けて奉仕していた貴い息子のうえに,『どうしてこんなことが起こったのですか』と問うことはありません。たぶんそれは,さらに貴い目的があったというほかには,だれも確かな答えを持ってはいないからです。わたしたちは信仰によって歩かなくてはなりません。」(「希望,それは心の錨」『リアホナ』2000年1月号,70-71)

参加者とともにヘブル11:1およびアルマ32:21を読む。ジョセフ・スミス訳のヘブル11:1では「信仰とは,望んでいる事柄を確信することである」となっていることを指摘する。〔訳注:英文ではそれぞれsubstanceassuranceという異なる単語が使われている。一方,日本語口語訳では元々「確信」となっている。〕

  • これらの聖句によると,信仰とは何だろうか。

  • ファウスト副管長が語っているように「信仰によって歩〔く〕」ことが夫婦に要求される状況にはどのようなものがあるだろうか。

    参加者に自分たちの生活からの例を紹介するように求める。健康に恵まれない,子供に恵まれない,老い,障害を持った子供,愛する者の死,財政問題,道をそれた子供,天災などの答えが考えられる。たとえ義にかなった生活をしようと努力しているときであっても困難はやって来る。それを指摘する。

参加者とともにモロナイ7:32-33を読む。わたしたちの信仰はイエス・キリストを中心としたものでなければならないことを強調する。十二使徒定員会会員のリチャード・G・スコット長老は,イエス・キリストへの信仰を行使するときにこそ困難に立ち向かうための強さが得られると説明している。

謙遜けんそんな心とイエス・キリストへの信仰をもって求めるなら,主は天から力を注いで助けてくださるのです。……自分自身が信仰を働かせ努力しなければ,だれもその人を助けられないのです。信仰と努力は個人としての成長にとっても欠かせないものです。不快な思いや苦痛,抑圧,試練や悲しみのない世界を追い求めようとしないでください。これらは,愛に満ちた御父がわたしたちの個人的な成長と理解を促すために用いておられる手段だからです。聖典に繰り返し述べられているように,わたしたちがイエス・キリストへの信仰を行使するなら助けが得られます。キリストへの信仰を表すうえで,主の預言者を通じて語られた主の約束,そして主の言葉を収めた聖典の中の主の約束を心から信じることが大切です。」(「癒し」『聖徒の道』1994年7月号,8)

夫婦は救い主を中心とした生活をするよう協力しなければならないことを指摘する。十二使徒定員会会員のジェフリー・R・ホランド長老はこう語っている。

「皆さんは結婚生活,そして永遠に……力と安心と守りを得たいですか。そうであれば,イエスの真の弟子になってください。正真正銘の言行一致の末日聖徒になってください。皆さんの信仰がロマンスのすべてを左右することを信じてください。なぜなら,ほんとうにそうだからです。……世の光であられるイエス・キリストだけが皆さんと皆さんの恋人の愛と幸福の道を照らしてくれる光なのですから。」(How do I love thee?〔ブリガム・ヤング大学ディボーショナルでの話,2000年2月15日〕,6)

  • キリストへの信仰が増すことは,夫婦が互いの関係を強めるうえでどのように役立つだろうか。(以下に挙げたような答えが考えられる。)

    1. 互いに対してもっとキリストに近い態度で接するようになる。愛にあふれ,相手の力となり,優しく,忍耐強く,進んで互いに耳を傾けるようになる。

    2. より謙遜けんそんで,進んで悔い改めて救い主の教えに従うようになる。夫婦がそれぞれ進んで悔い改めて救い主のようになろうとすればするほど,夫婦関係はむつまじいものになる。

  • 救い主への信仰を増すために,夫婦はどのように協力することができるだろうか。(生徒に救い主への信仰が強まった経験を分かち合ってもらう。生徒の答えに加えて,以下に挙げられている原則を紹介する。)

    1. 福音の律法と儀式に従う。(管理監督であった当時にロバート・D・ヘイルズ監督が語った以下の言葉を紹介する。「主イエス・キリストへの信仰を得るには,福音の律法と儀式に対して従順であることが不可欠なのです。」〔「アロン神権-名誉の帰還」『聖徒の道』1990年7月号,45〕)

    2. ともに聖文を研究する。(参加者とともにヒラマン15:7-8を読む。)

    3. 主を信頼する。(参加者とともに箴言3:5-6を読む。困難に直面するとき,夫婦はより熱烈に主の助けを求める決意をし,信仰を日々の生活においてより不可欠なものとすることができる。)

夫婦はともに祈るときに祝福される

  • 定期的にひざまずいて祈る夫婦にはどのような祝福がもたらされるだろうか。(この質問に当てはまる経験を分かち合うように促す。さらに,以下の言葉と,以下の例の一つまたは両方を読む。)

    十二使徒定員会会員であった当時,ゴードン・B・ヒンクレー長老はこう勧告した。

    「一日の始めと終わりにともにひざまずくことほど,生活にすばらしい影響を与える習慣をわたしは考えることができない。主の前にひざまずき,相手を前にしてお互いに相手がいることを主に感謝し,そして生活のうえに,家庭のうえに,愛する人々のうえに,また希望がかなえられるように主の祝福を願い求めるとき,どういうわけか,結婚生活を襲う小さなあらしは消え去ってしまうのである。

    この家族の祈りによって神はあなたのよき友となり,神との毎日の会話はあなたの心に平安をもたらし,ほかからでは決して得ることのできない喜びを味わうことであろう。伴侶はんりょとの結びつきは歳月を経るとともに強くなり,愛が強まり,相互理解はさらに深められるであろう。」(「主が家を建てられるのでなければ……」『聖徒の道』1971年10月号,305

    ある夫は,妻の祈りはもっとふさわしい夫,そして父親になるように励ましてくれると語っている。彼は妻の隣にひざまずき,彼女の手を取り,祈りの中で自分の心の中にある関心事について天父に切々と語りかける彼女に耳を傾ける。彼は妻の心が清く,動機が純粋であることを知っており,彼の妻に対する愛は増す。彼は妻が天父に語るときには,妻が義のうちに天父に仕えること以外はまったく何も望んでいないことを知っているのである。

    別の家族では,夫が長期にわたって身体的な障害に苦しんでいた。彼と妻は毎晩就寝前に天父に祝福を感謝し,4人の子供をわずかな収入で養っていくに当たって主の導きを求めていた。数年後,夫が仕事に復帰できるようになったとき,彼らはどのようにして困難な時期を乗り越えることができたのかという質問を受けた。彼らはともに努力し,ともに祈ったおかげであるとあかしした。彼らの心からの祈りは,御霊みたまによる慰めを通じて受けた希望を含め,たくさんの祝福となってこたえられたのである。

  • ともに祈ることは,夫婦が夫婦間の問題を解決するうえでどのような助けとなるだろうか。(参加者がこの質問について話し合う際に指摘したいのは,夫婦は互いに対してわだかまりがあるときに,ともに祈ることをやめてしまうときがあるが,ともに祈ることはそのような問題を克服するのに役立つ強力な手段となるということである。)

    大管長会のトーマス・S・モンソン副管長は,彼と妻フランシスがソルトレーク神殿で結び固められた日のことを語っている。儀式を執行したベンジャミン・バウリングは,彼らに次のような勧告を与えた。「お二人に一つの公式を差し上げましょう。これを使えば夫婦の間の問題は一日で解決できます。それは,毎晩ベッドの傍らにひざまずいて祈ることです。モンソン兄弟が祈ったら次の日はモンソン姉妹が祈るというように,声を出して祈ってください。そうすればその日に持ち上がった問題はみんな消えてしまいます。約束します。一緒に祈れば,心の中はいつもお互いへの温かい思いやりの気持ちでいっぱいになるでしょう。」(「幸福な家庭のしるし」『聖徒の道』1989年2月号,72

    十二使徒定員会会員のデビッド・B・ヘイト長老はこう語っている。「もし夫婦の間に何か重大な誤解があるなら,あるいはまた,結婚生活を築くうえで二人の間に何か重苦しいものや緊張を感じるときには,謙遜けんそんな気持ちで天父の前にともにひざまずき,二人を覆う暗闇くらやみを取り除いていただけるよう誠心誠意祈ることです。そうすれば必要な光が与えられて,自分の欠点がよく見え,悪い点を悔い改めて互いにゆるし合い,結婚したころの初心を取り戻すことができるでしょう。神が生きてましまし,皆さんの謙遜な祈りにこたえてくださると心よりへりくだり申し上げます。」(「結婚と離婚」『聖徒の道』1984年7月号,23

既婚の参加者に,伴侶はんりょと祈るために自分が行っている努力について心の中で評価させる。独り親の家庭においては,熱烈な個人の祈りが家庭に神の祝福をもたらすことを強調する。

結 び

協力してイエス・キリストへの信仰を行使し祈るとき,夫婦はいっそう大きな幸福,一致,および困難に対処する能力を見いだすことを強調する。

御霊みたまの促しに従って,レッスンで話し合ったことが真実であることをあかしする。

『結婚と家族関係参加者用学習ガイド』の22-25ページを見てもらう。レッスンでの教義や原則を復習するため,参加者に以下を行うよう奨励する。(1)「応用のための提案」にある提案から少なくとも一つを行う。(2)リチャード・G・スコット長老の説教「人生に喜びを見いだす」を読む。学習ガイドに掲載されている説教を夫婦でともに読んで話し合うことは,既婚者にとって大変有益であることを指摘する。

次回のレッスンに学習ガイドを持参するよう参加者に言う。