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第2課:夫婦間に一致をはぐくむ


第2課

夫婦間に一致をはぐくむ

目 的

既婚者が夫婦間の一致を強めるよう助け,独身会員には夫婦間の一致がもたらす喜びを得る備えをさせる。

準 備

  1. 教える準備をしながら,「教師としてのあなたの責任」(本書 ixxi)にある原則を実践する方法を探す。

  2. 太字の見出しを読む。これらの見出しには本課の教義と原則が要約されている。準備の一部として,これらの教義と原則を応用できるよう参加者を助ける方法を思い巡らす。参加者の必要に合ったレッスンを行うために何を強調すればよいかを決めるに当たって,御霊みたまの導きを求める。

  3. 『家庭の夕べアイデア集』(31106 300)がある場合は,255-256ページにある「結婚生活における一致」を研究する。レッスンにおけるこの資料の利用を検討する。

  4. 各生徒のために紙とペンまたは鉛筆を用意する。

レッスンの進め方の提案

主は,夫婦は一体となるべきであると言われた

レッスンを始めるために,黒板に1+1=1と書く。

  • これは夫婦関係をどのように表しているだろうか。

参加者がこの質問について話し合った後,ともに創世2:24を読む。神は夫婦に一体となるように命じられていることを強調する。

  • 夫婦が一体となるとはどういう意味だろうか。

    参加者に十二使徒定員会会員であるヘンリー・B・アイリング長老の以下の言葉を読ませる(『結婚と家族関係参加者用学習ガイド』p.7)。

    「男女が創造されたとき,結婚によって一つとなることが,希望としてではなく,戒めとして与えられました。『それで人はその父と母を離れて,妻と結び合い,一体となるのである。』(創世2:24)天父はわたしたちが心を一つにするように望んでおられます。この愛における一致は,単なる理想ではありません。必要不可欠なものなのです。」(「わたしたちが一つとなれるように」『聖徒の道』1998年7月号,70

このレッスンでは夫婦が一致するための方法について話し合うことを説明する。

夫婦は互いに相手を対等なパートナーとして大切にすべきである

夫婦間の一致に関する大切な原則の一つは,夫婦が互いに相手を対等なパートナーとして大切にすることであることを説明する。ゴードン・B・ヒンクレー大管長は,大管長会の第一副管長であったときにこう語っている。

「結婚生活は,本来,対等な協力関係です。一方が他方に対して支配権を振るうのではなく,むしろどんな責任を果たし,目標を掲げるときにも,互いに励まし合い,助け合う関係になければなりません。」(「私は信じる」『聖徒の道』1993年3月号,7)

  • 夫婦が一体となるためには互いに相手を対等なパートナーとして大切にしなければならないのはなぜだろうか。

  • 夫婦関係において夫婦が対等なパートナーとなるのを妨げる態度や習慣にはどのようなものがあるだろうか。夫婦はそのような問題を克服するためにどのようなことができるだろうか。

    十二使徒定員会会員のボイド・K・パッカー長老はこう教えている。

    「妻や母親だけが夫や息子の神権の義務に身をささげて努力しなければならないということはありません。当然のことながら,夫や息子を支持し,守り,励まします。

    代わりに神権を持つ者は,妻や母親が必要としていることや果たすべき責任に対して自分自身をささげるのです。神権者は,妻や母親の物理的,情緒的,知的,文化的幸福と霊的成長を神権の義務の第一に据えなければなりません。

    赤ん坊の世話や子育て,家事に関連した仕事には,いかに雑多なものでも,夫が対等に責任を有していないものはないのです。」(“A Tribute to Women,” Ensign,1989年7月号,75)

    十二使徒定員会会員のリチャード・G・スコット長老は神権者に次のような勧告を与えている。「夫であり,ふさわしい神権保持者として,あなたは主の神権を持つ者として救い主の模範に熱心に倣いたいと望むでしょう。妻と子供にあなたのすべてをささげることが,これからの人生の焦点となることでしょう。時には男性というものは家族一人一人の運命を支配したいという誘惑に遭います。彼がすべてを決めてしまうのです。彼の妻は彼の気まぐれに振り回されてしまいます。それが文化的な慣習であるからとかどうとか,そんなことは問題にもなりません。それは,主の道から外れたことです。それは,末日聖徒の夫が妻や子に対して執るべき態度ではありません。」(「神殿の祝福を受ける」『リアホナ』1999年7月号,30

  • 互いに相手を対等なパートナーとして大切にしている夫婦はどのようなことを行うだろうか。(黒板に参加者の答えを要約する。必要であれば,以下に挙げられている事項を紹介し,参加者にそれらに関連した経験を話してもらう。)

    1. 家族がともに祈り,家庭の夕べを開き,ともに聖文を研究するように,その責任を分担する。

    2. 一緒に家計の支出についての計画を立てる。

    3. 家庭でのルールや子供のしつけ方について話し合い,合意する。子供はそのような決定において両親が一致していることを知る。

    4. 一緒に家族の活動を計画する。

    5. 家事について協力し合う。

    6. 一緒に教会に出席する。

夫婦は互いの人格や能力を補い合うべきである

参加者とともに1コリント11:11を読む。その後,リチャード・G・スコット長老の以下の言葉を紹介する。

「主の計画では,完全な者となるには二人,つまり男性と女性が必要です。……人生最大の幸福を得,生産性を発揮するには,夫と妻の両方が必要なのです。二人の働きは結びつき,補い合っています。各人は,主が男女の幸福のために定められた役割に最も合う,それぞれの特質を与えられています。主が意図されたとおりにこれらの特質を行使するなら,夫婦は,一つとなって考え,行動し,喜びを得ることでしょう。また,問題に一緒に直面し,一つとなって克服するでしょう。愛と理解力をもって成長し,神殿の儀式を通して結び合わされた二人は永遠に一つとなるでしょう。これがその計画です。」(「偉大な幸福の計画を実践する」『聖徒の道』1997年1月号,84

スコット長老が教えている原則を説明するために,以下の活動を行う。

各参加者に紙とペンまたは鉛筆を配布する。既婚者には,自分の性格および能力と自分の伴侶はんりょの性格および能力をそれぞれ幾つか書き出してもらう。独身者には,一組の夫婦について考えてもらい,夫と妻の性格および能力をそれぞれ幾つか書き出してもらう。参加者に数分間を与えて書かせた後,以下の質問をする。

  • あなたが書き出した性格や能力は,夫婦が一致するうえでどのように役立つだろうか。(参加者に具体例を紹介してもらう。)

  • 夫婦の相違が夫婦関係における強さとなった例として,どのようなものを目にしてきただろうか。

ゴードン・B・ヒンクレー大管長の妻,マージョリー・P・ヒンクレー姉妹が結婚して最初の1年について語った以下の言葉を読む。

「わたしたちが愛し合っていたことは疑いのないところでしたが,相手に慣れることも必要でした。どの夫婦も相手に慣れなければならないと思います。わたしは結婚当初,常に相手を変えようと試みるよりも相手に慣れるようにもっと努力した方がいいことに気づいたのです。」(Church News,1998年9月26日付,4)

  • 夫婦が「常に相手を変えようと試みる」よりも「相手に慣れ」ようと努力するとき,結果にどのような違いが出てくるだろうか。

夫婦は互いに誠実でなければならない

第15代大管長ゴードン・B・ヒンクレーの以下の勧告を紹介する。

「二人の間に立ち入って結婚生活を崩壊させるものが決してないようにしようと,決心してください。結婚生活を成功に導く事柄を実行してください。実行すると決意してください。そうすれば,心を傷つけ,時には生活をも崩壊してしまう多くの離婚は避けられます。互いに心から誠実であってください。」(「人生の責務」『リアホナ』1999年5月号,4)

  • あなたにとって「誠実」とはどういう意味だろうか。(忠実,偽りがない,信頼できる,などの答えが考えられる。)

主は夫婦が互いに誠実であることの必要性を強調しておられることを説明する。参加者とともに教義と聖約42:22を読む。この戒めは夫と妻に等しく当てはまることを指摘する。

  • 夫または妻と結び合い,その他のものと結び合ってはならないとはどういう意味だろうか。

    第12代大管長スペンサー・W・キンボールはこう教えている。「その他のものと結び合ってはならないという言葉は,ほかのあらゆる人,あらゆるものを排除することを意味します。伴侶はんりょはその生活で最も優先されるものであって,社交,職業,政治,その他の利害,人,物が自分の伴侶よりも優先されるようなことがあってはなりません。」(Faith Precedes the Miracle〔1972年〕,143)

  • 人とのつき合い,職業,および教会に熱心であることが伴侶はんりょに対する誠実さの妨げとならないようにするにはどうすればよいだろうか。

  • 夫婦は互いに誠実であることを示すために,具体的にどのようなことができるだろうか。(参加者がこの質問への答えに困っている場合は,以下に挙げられているような例を幾つか紹介する。)

    1. 夫は妻の誕生日を祝うために,仕事やレクリエーション,その他の予定を変更する。

    2. 妻は夫の仕事がうまくいくように毎日祈る。

    3. たとえ別の用事があるときでも互いに耳を傾ける。

    4. 家族や友人との会話において,伴侶はんりょについて愛と敬意を持って語る。

結 び

主とその預言者は夫婦に対して愛のうちに一致して対等なパートナーとしてともに働くように命じておられることを強調する。夫婦は互いに誠実であることを,思い,言葉,行いを通じて毎日示すことができる。

御霊みたまの促しに従って,レッスンで話し合ったことが真実であることをあかしする。

『結婚と家族関係参加者用学習ガイド』の7-10ページを見てもらう。レッスンでの教義や原則を復習するため,参加者に以下を行うよう勧める。(1)「応用のための提案」にある提案から少なくとも一つを行う。(2)ヘンリー・B・アイリング長老の説教「わたしたちが一つとなれるように」を読む。学習ガイドに掲載されている説教を夫婦でともに読んで話し合うことは,既婚者にとって大変有益であることを指摘する。

次回のレッスンに学習ガイドを持参するように参加者に言う。