教義と聖約111章

クラスノートか聖典学習帳に，以下の質問への答えを書いてもらい，レッスンを始めます。

• あなたの生活にストレスや不安をもたらすものは何でしょうか。

何を書いたか，数人の生徒に発表してもらうとよいでしょう。（発表内容には非常に個人的な考えや経験もあることを伝えます。）

1836年の夏，ジョセフ・スミスとそのほかの教会指導者たちは教会の経済状態について不安を抱いていたことを説明します。その前の年，教会は主の命令に従ってカートランド神殿を建て，オハイオ州とミズーリ州に土地を購入し，シオンの陣営に資金提供をしたことで，多額の負債を負いました。また教会は家を出ざるを得なかった聖徒たちのためにミズーリ州に土地を購入する必要がありました。1834年，主はジョセフ・スミスとそのほかの教会指導者たちに「すべての負債を返済する」ように指示をお与えになりました（教義と聖約104：78）。しかし彼らが負債を返済しようとした努力は，ミズーリ州での収入を生む幾つかの事業の損失により阻止された形となりました。このように教会指導者たちには，教会の貸し主の要求に見合うだけの十分な財源がなかったのです。

一人の生徒に，教義と聖約104：80を読んでもらいます。ほかの生徒には，それを聞きながら，教会指導者たちの負債問題について主が助けるために何を約束されたかを見つけてもらいます。生徒に見つけたことを発表してもらいます。

1836年，ウィリアム・バージェスという名の教会員がオハイオ州カートランドに到着し，教会指導者たちにマサチューセッツ州セーレムで多額の金銭を得られることを伝えたと説明します。彼はそのお金が，ある家の貯蔵室に置かれていて，その場所が分かる生存者は自分しかいないと告げました。

1836年7月25日，ジョセフ・スミス，シドニー・リグドン，オリバー・カウドリ，ハイラム・スミスがニューヨークにいる教会の貸し主に会うために，オハイオ州カートランドを出発したことを生徒に伝えます。ニューヨークで数日過ごした後，彼らはセーレムに向かいました。セーレムで彼らはウィリアム・バージェスと会いましたが，彼は以前そこにいたときから街がすっかり変わってしまって，お金のある家がどこか分からないと言ったのです。その後すぐにバージェス兄弟はセーレムを去りました。

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地図，合衆国北東部

• 教会の負債を返済するのに役立つ資産を見いだせるという希望をもって，セーレムまで長い旅をして，期待どおりのものが得られなかったならばあなたはどう感じたと思いますか。あなたなら何をしたでしょうか。

教会指導者たちは，報告によれば，お金があるという家を探すためにしばらく時間を費やしたことを説明します。彼らがまだセーレムにいた1836年8月6日，預言者ジョセフ・スミスは，教義と聖約111章に記録されている啓示を受けました。

一人の生徒に，教義と聖約111：1を読んでもらいます。ほかの生徒には，それを聞きながら，主が彼らのセーレムへの旅についてどうお感じになっていたかを見つけてもらいます。見つけたことを生徒に発表してもらいます。（生徒たちが答える際，愚かなという言葉は「説得力に欠ける，またはばかげた行為であり，さほど罪深い行為ではない。理性，あるいは分別のある常識と一致しない行為」〔Noah Webster, An American Dictionary of the English Language, facsimile of the first edition (1828; repr., 1967), “folly”の項〕と定義されていることを説明するとよいでしょう。）

• セーレムへの旅のどんな部分が愚かだと思われたでしょうか。

セーレムでの金銭探しは失敗に終わりましたが，主はそれでもこの旅が主の王国の益になるとおっしゃったことを生徒に伝えます。一人の生徒に，教義と聖約111：2を読んでもらいます。ほかの生徒には，それを聞きながら，主がセーレムの町に何を持っておられると言われたかを見つけてもらいます。

• 主はセーレムに何をお持ちだと言われましたか。（多くの宝と多くの人々）

• 主はセーレムに備えていた人をいつ集めると言われましたか。（時至って）

ジョセフ・スミスと同行者たちは，セーレムで数週間をともに過ごし，滞在中に福音を宣べ伝えたことを生徒に伝えます。5年後，エラスタス・スノーがセーレムへの伝道に召され，その地で120人の教会員から成る支部を設立することになりました（『時満ちる神権時代の教会歴史生徒用資料』第2版〔教会教育システム手引き〕，170参照）。

• セーレムでのジョセフ・スミスの経験から，また教義と聖約111：1－2の主の教えから，わたしたちは何を学べるでしょうか。（生徒たちは様々なよい答えを言うかもしれません。話し合いの一部として，ホワイトボードに次の原則を書きます。わたしたちの誠心誠意の努力から，主は価値あるものをもたらすことがおできになる。）

• たとえ努力がもともと誤った方向に向けられたものであったとしても，わたしたちの努力から主が価値あるものをもたらされるのは，どのような方法によるのでしょうか。（よくある答えとして，わたしたちが経験から学ぶのを主が助けてくださるというものがあります。）

• あなたの誠実な努力から主が価値あるものをもたらされると知ることで，あなたはどのような影響を受けますか。

ジョセフ・スミスと同僚たちがセーレムにいる間，主は彼らに指示を与えられ，価値あることを成し遂げられるようにしてくださったことを説明します。一人の生徒に，教義と聖約111：5－8を読んでもらいます。ほかの生徒には，それを聞きながら，主がジョセフ・スミスと同僚たちに何を望んでおられたのかを見つけてもらいます。

• 教会の負債とシオンの状況に関して，主はジョセフ・スミスと同僚たちをどのように慰められましたか。

• 8節によれば，ジョセフ・スミスとそのほかの教会指導者たちは，セーレムの町での残りの滞在期間，どこに滞在したらよいかをどのようにして知りましたか。

• 8節の主の指示から，わたしたちはどのような真理を学ぶことができますか。（生徒が答えた後，次の原則をホワイトボードに書きます。わたしたちは主の御霊の平安と力によって主の導きを受けられる。）

• この原則は，あなたが生活で直面する悩みや困難にどう役立ちますか。

生徒に教義と聖約111：9－10を黙読し，ジョセフ・スミスと同僚たちがセーレムにいる間に終えるようにと，主がさらに与えられた務めを見つけてもらいます。生徒たちに学んだことを発表してもらいます。

ジョセフ・スミスとほかの男性たちが主の勧めに従って「〔その〕町のもっと昔の住民と創建者たちについて熱心に調べ」たことを生徒に伝えます（教義と聖約111：9）。彼らはセーレムにいる間に史跡を訪れました。史跡を訪れたことで彼らは，マサチューセッツ州セーレムや周辺のニューイングランド地域の住人の中に，宗教的不寛容やがんこな偏見の結果，迫害されたり殺されたりした人がいたことを知りました。（History of the Church, 2:464–65参照）これらの出来事がきっかけで，ジョセフ・スミスは，自身の歴史に次のように書き記しました。「人はいつになったら人と戦うことをやめ，そして良心の命じるままに神を礼拝するという神聖な権利を奪うことをやめるのだろうか。」（History of the Church, 2:465で引用）。その後預言者は，すべての人が信仰の自由という権利を行使することの大切さを繰り返し伝えました（信仰箇条1：11参照）。ジョセフ・スミスと同僚たちは，セーレムで得られると思っていた金銭を手に入れることはできませんでしたが，この旅で知識の宝など，別の宝を得ました。

一人の生徒に，教義と聖約111：11を読んでもらいます。ほかの生徒には，それを聞きながら，この啓示での主からの締めくくりの勧告を見つけてもらいます。11節で使われている「整え〔る〕」という言葉は，用意しておくという意味だと説明します。

• 11節にある主の勧告を，あなたの言葉で言うとどうなりますか。（生徒は様々な言葉で表現するかもしれませんが，次の原則を必ず理解できるようにしてください。わたしたちが賢くあって罪を避けるならば，主はわたしたちの益となるように万事を整えてくださる。義にかなった人々が試練を経験するときにも，主は「〔彼らの〕益となるように〔それらの〕事を整え」ることがおできになることを説明するとよいでしょう。

• わたしたちができる賢い選択にはどんなものがありますか。（様々な答えを生徒が発表する中に，戒めに従えるよう努力するというものがあるかもしれません。）

• 主が「〔わたしたちの〕益となるよう……，万事を整え」てくださるとはどういう意味だと思いますか。

• この原則の模範を見たのはどのようなときでしたか。

レッスンの最初にした質問の答えを，生徒にもう一度見てもらいます。教義と聖約111章は，困難に直面しているときに役立ちますが，生徒たちにこの学習で学んだことをよく考えてもらいます。クラスノートか聖典学習帳に，自分の考えたことを書き出してもらいます。

このレッスンで話し合った原則についての証をしてレッスンを終えます。これらの原則に従うよう生徒を励まします。